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妖怪村の異類婚姻譚  作者: 鍵の番人
第三章 花と香りと、特別な約束
55/81

19.


「……っ」


 ――唐突に、小姫は目を開けた。


 暗闇の中、天井が視界に映る。秒針が時を刻む音が、静かな室内に響き渡る。

 まだ、真夜中だ。誰もが寝静まり、少し身じろぎをしただけの音がやけに大きく鼓膜を震わす、そんな時間に。


 ――なぜ、目が覚めたのだろう。


 夢をみていたような気がする。立体感があって、体にも心にも負荷がかかる、現実とさして変わらない、そんな夢。


 なんとなく目元に違和感を抱き、小姫は右手で頬に触れた。そこで、胸を突くような痛みに襲われた。

 頬に、涙のあとがあったのだ。


 なんで、とつぶやく声が、夜の静寂を破る。


 ――なんで。なにが。この涙の原因は何――……。


 わからないまま、また一つ、水の粒が生まれ――。


 前の跡をたどって、頬を滑り落ちていった。


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