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妖怪村の異類婚姻譚  作者: 鍵の番人
第一章  花と河童と、予期せぬ出会い
12/81

12.


 ……どれだけ時間が経ったのだろうか。


 暗闇に走る光に刺激され、小姫は目を開けた。


「――お嬢さん!?」


 光源(こうげん)に目が慣れるよりも早く、駆け付けた青峰に抱き起こされる。


「……青峰さん? どうしてここに……」

「いつまでも帰って来ないから、探しに来たんですよ! 近所の人が、お嬢さんが山に入ったのを見かけたって……。それで、なんとなく地面の濡れているところを辿ってきたら、ここに着いたんです」


 青峰は懐中電灯を下ろし、心底ほっとしたようにため息をついた。


(地面の、濡れているところ……?)


 そんなところあっただろうか。

 ぼうっと考えていると、青峰が腕を引っ張って、小姫を立たせてくれた。


「さあ、雨が降る前に帰りましょう!」

「――あっ……。待って! まだ、乙彦が――」


 (うなが)されて数歩歩きかけてから、小姫は立ち止まる。


「乙彦? ってあの、河童の? ……いえ、ここにはお嬢さん以外誰もいませんでしたよ」

「そんなはず……」


 そんなはず、ない。だって、さっきまで、一緒に――。

 小姫はそう言いかけたが、最後まで言えずに口をつぐんだ。乙彦のいたはずの場所を振りかえってみると。


 ……青峰の言う通り、洞窟にはもう、誰の姿も無かった。


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