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真実の告白

ピンポーンとインターホンが鳴る。



 「長田か。」

志田が、立ち上がろうとする俺の腕を掴む。


「私が行くよ」

 志田が、長田と一緒に戻ってきた。



 長田は風邪をひいたのか、俺から移るのが怖いのかは知らないが、マスクをしている。


 もし風邪を引いたなら、馬鹿は風邪をひかないということわざは、嘘のようだ。


 「久しぶりだな。」

「おう。」

長田の返事には、元気がない。



 「長田くん。コーラ飲む?」

「いや、いい」

「じゃあ俺が残り全部飲むわ」

志田からペットボトルを受け取って、五センチくらい残っていたコーラを飲み干す。



 ぬるくなって、炭酸が抜けたコーラは、どれほど栄養満点かがよくわかる甘ったるさ。

 歯がエナメル質に軋む。


 「そういや、お前何しに来たんだ?」

長田に問う。


「お見舞いだな」

長田はスマホを見ながら、ボソッと言う。志田に無理やり連れてこられたのかと疑いたくなる。




 「そういえば、長田くん話あるって言ってなかったっけ?」

「あぁ。それは後でな。」

ゴソゴソと長田がカバンの中に手を突っ込む。


「今は、これやろうぜ!」

 長田がカバンから取り出したのは、サッカーゲーム。


「えーサッカー?」

志田がげんなりする。


「志田もいるんだから、格ゲーにしてやれよ」

「勝てないじゃん」

「そうでもないと思うぜ」


 ベッドの横に積まれているゲームソフトの山から一つ抜き取って、二人に見せる。


「総合格闘技かなるほどな」

長田がうなずく。


 志田が得意なのは、格闘ゲーム。



 主人公が空手の恰好をして、ビームみたいなのを打ったりする奴だ。

 対して、これからやるのは格ゲーと言っても、ほとんどスポーツゲームに近い。これならいい勝負になるはずだ。



 俺たちはゲームを始めた。コントローラーが二つしかないから、負けたら交換というルールで。


 予想通り、勝負は拮抗した。


 もうすぐ母親が帰ってくる時間だなと思った時、インターホンが鳴った。



 「俺行くよ」

コントローラーを握って、騒いでいる二人に言って、玄関に向かう。



 階段を降り切った時、玄関のドアがガチャリと開いた。


「お帰り」

 ドアを開けなくてよくなったから、階段に足をかけながら言う。


「お兄ちゃん。長田さん来てる?」

「え?」

 帰ってきたのは璃奈だった。



 脛まである長いスカートに、灰色のニット。ぺったんこな胸とツインテールの璃奈には、背伸びし過ぎているような恰好。


「ああ。来てる」

俺はそれだけ言って、階段を上った。





 「話がある」

長田が切り出す。


 長い前髪を揺らしながら、マスクを外す。露になる端正な顔立ち。

 赤くなるほど結ばれた唇。


 「ごめん」

長田が頭を下げる。


 俺に向かって。何が何だかわからない。


 長田の隣には璃奈。


 璃奈も一緒に頭を下げる。


 俺の隣には志田。


 睨みつけるとまではいかないが、鋭い眼差しを二人に向けている。


 長田の行動にびっくりした俺は、長田、璃奈、志田の順番に見まわした。


 結局、二人が俺に向かって謝っていることと、志田が二人に対して好意的でないということくらいしかわからない。


 「おい、二人ともどうしたんだ」

未だ頭を上げようとしない二人。


「謝るなら、せめてなんで誤ってるのか説明くらいしてくれよ」

 二人がやっと頭を上げる。


 「あの、お兄ちゃ」

「俺が言う。」

長田がサッと手を出し、璃奈を遮る。



 そこからひどく時間が空いた。


 コーラ2リットル一気飲みが出来たかもしれないし、カップラーメン食べられるようになるほどの時間が過ぎたのかもしれない。


 二人は跪いたまま。

 「俺が相手だ。」

長田が、やっと口を開く。


 「相手?何の話だ?」

 格ゲーで賭けでもしようと言うのだろうか。そこは病人なのも考慮して、少し手加減してくれるなら、受けてあげてもいい。


 「俺が、スキャンダルの相手だ。」




 右手に衝撃。


 続いて、左手にも。




 俺は、自分が長田を殴ったということに気づく。



 「やめて!」

志田が叫んだのか、璃奈なのか俺にはわからない。


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