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僕はただ強くなりたいだけなのに  作者: suger
8.レ・ミュー
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4.フロイドに呼ばれるユーヤ

 この手紙は何だろう。


 僕は朝日に手紙を取らしながら畑の横を通り過ぎる。


「クライネ、手紙を読んでくれ」

「手紙ですか?」

「なぁ、先に飯を食おうぜ」


 クライネに手紙を渡す中、アイネは足を投げ出し、腹を鳴らしていた。


「いや、でもケイ達がまだ」

「待ってても無駄だろ。どうせその手紙に書いてあるんだろ? 読んだらそっちに集中しちまうから飯を食べられなくなるだろ? 先に腹に何か入れようぜ」


 僕が先に二人を探そうとするが、アイネが止めた。そしてサラダの葉物を摘まんで口へ放った。


「……分かった。先に食べよう」

「分かりました」


 僕とクライネも食べ始める。

 しかし、食事中にもかかわらず、頭の中は二人のことでいっぱいだ。

 食事が終わるとクライネが手紙を開いた。


「……どうなんだ」

「……申し訳ありません。私はレイベルス語なら読めるのですが、これは読めません」

「え、これは何語なの?」


 まさか、頼りのクライネが読めないとは。え、どうすればいいんだ?


「読めませんので確定的なことは言えませんが、おそらく二人宛てでありますので、マレットス語ではないかと」

「成る程」


 そもそも国によって文字とか言葉とかが違うのか。


「あん? マレットス語なら私が読めるぞ」

「え!? アイネって勉強できたんだ……」

「おい、どういう意味だ、テメェ」


 アイネに頭頂部を叩かれてしまったが、これは僥倖。手紙はアイネに読んでもらおう。


「しゃ~~ねェ~~なァ~~」


 アイネが手紙にざっと目を通す。段々と口が開いて行き、眉根が寄っていった。


「どうした?」

「あ~~、成る程ね。とりあえず今、読んだやつを私なりに噛み砕いて話すぞ」

「おう」

「隣国との戦争に負けそうだから帰ってきてくれ。多分二人は国に帰った」

「ハァ?」


 僕はキレた。なぜいなくなったんだ? ケイは少なくとも僕のことを知っているだろ?


「ゆ、ユーヤ様」


 クライネが怯えている。それを振り返って初めて気づいた。


「フゥー」


 息を短く吐き、オーラを抑えていく。今の僕は怖い状態になってしまっている。


「行くか?」

「当たり前だ」

「お、お待ちください」


 アイネの誘いに乗り、外出しようとすると、クライネが止めてきた。


「どうした?」

「い、いえ。ただ、私達はマレットスのものではありません。そう簡単に行くことができるのでしょうか?」

「飛んで行きゃいいだろ」

「今は戦争中、もしくは戦争準備中ですよ。空からの侵入など撃ち落とされますよ」

「じゃあ、どうすんだよ」


 苛立ちが表に出てしまった。やはりクライネは怯えてしまっている。


「済まん」

「い、いえ、私も不躾なことを」

「全力で走って、船で行って。無理に港を開かせるしかねぇぞ」


 三人で頭を悩ます。どうすれば安全に早く辿り着ける?


「お~困りで~すか~?」

「誰だ?」


 裏口にはクラシックなメイド服を着た女性がいた。背は僕よりも20㎝高い。何者だ?

 いや、見たことあるわ。


「お前、大迷宮の底にいた」

「はい。その通りです。何やら私の力が必要である思いまして、ここにやって参りました!」


 少女は元気よく返事をし、こちら側に身を乗り出してきた。


「大迷宮の底」

「てことは、凄い強そうだな」


 説明が面倒なため、僕はそのまま話を進める。


「お前なら何とか出来るのか。そもそも大迷宮の外に出られたんだな」

「大幅な弱体を受けているため、今の私は上級程度でしょう。何とか出来るか? 当たり前です。そうでなければ名乗り出ませんよ」

「た、確かに」

「上級?」


 当然のことを言われ、僕は黙らせられてしまった。アイネはその強さに懐疑的である。


「あの二人も私を頼ってきましたからね」

「マジか」


 少女は恭しく礼をしながら、右手で進む道を示す。


「どうぞこちらへ。私が送り届けて差し上げましょう」


 少女の笑みはどこか楽しそうであった。

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