表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕はただ強くなりたいだけなのに  作者: suger
5.イアウカ
54/145

1.三連戦するユーヤ

 僕の家にはたくさんの者が住んでいる。クライネ、アリス、メリッサ、エル、アイネ、そしてケイ。え、数えたら六人いるじゃん。

 全員にはそれぞれの良さがある。


 クライネには魔法剣士という特殊性がある。剣士としての腕ももちろんあるが、魔法だけでも一級品だ。本人に戦う意志が希薄であるため、僕は戦ったことがない。

 メリッサは戦闘職でないが、なぜかアリスに付き合わされ、中級の実力がある。まぁ、戦闘職ではないため、もちろん意味はない。

 ケイも戦闘職ではない。しかし、戦闘をすることができる。あれ以来戦ってくれないが、理属性魔法で回復をしてくれる。とってもありがたい存在。


 そして、今僕は残りの三人と戦っている。


 初戦はエル。攻撃力が高く、速度もある。その上、数多くの魔法が使える。多種多様で強力な攻撃ができることが強みだ。

 僕は一、二度の反撃をさせてもらえたのだが、関係なく捻り潰された。

 アイネも攻撃力がある。エル以上にある。一撃で臓器が破裂してしまう程の威力だ。実際に破裂した。ケイがいなければ僕は死んでいたかもしれない。


「前にケイが言っていたことを僕は今実感しているよ」

「は? あぁ~~、成程ね。だろう? 体力は戻らないだろう」

「あぁ。三連戦持たせる体力をつけるのが今後の課題だな」

「ポジティブお化けだな」


 回復が終わると、僕はアリスの方を見る。アリスはストレッチをしてやる気十分だ。


「今なら勝てる!」

「その妄言覆してやるよ」


 アリスはその赤い瞳を見開き、異常な剣気を垂れ流してくる。

 アリスの脅威はその潜在能力だ。初めて会ってから約四か月。もうこの成長度合いだ。


 抜かれたくない。


 強くなるとはそういうことだ。僕の負けず嫌いが反応している。

 アリスの潜在能力は本物だ。いつかは必ず抜かされる。それでも抜かされたくない。今は特に、だ。


 だってそうだろう? 簡単に超えられる壁だなんて思われたくないんだから。


 僕が一歩足を進めた瞬間、皮膚がピリピリとしてきた。

 すぐに横へ飛ぶと、さっきまで僕がいた場所に雷が生えた。下から上へ。雷って落ちるもんじゃないのか?

 雷が無数の雲を貫き、光輝く太陽へと昇っていく。そこに意識を割くことができない。自分を穿つ戦意を捉えてしまっている。


 僕の心臓が荒れ狂い、発汗が止まらない。僕は魔法に対する耐性が低い。これを食らってしまったなら、打撃以上のダメージを貰ってしまっただろう。

 その後も何発か雷が昇っていく。


 マズイ。何度も移動を繰り返したことに加え、煙が立ち込めているせいで、アリスのいる場所を見失ってしまった。

 何度も体を回転させる。どこだ? どこにいる? 気配を読もうとしても、完全に気配が消されてしまっている。


 戦い方を変えてきたのか。


 やがて、太陽の光が煙を切り裂き、徐々に散らしていく。

 後ろの空気の流れが揺れ動き乱れる。真後ろから真っ赤な瞳が輝いたのを感じた。


 次の瞬間、煙を突き破ってアリスが襲い掛かってくる。僕は振り向きざまに剣を薙ぐ。模造の剣と模造の剣が火花を放ち、激突した。

 視界の端でエル達がお酒を呑んでいる。酔っ払いが喧嘩を眺めているような状態か。後で覚えておけよ。


 放たれる斬撃。アリスの低い身長に合わせて作られた特注の短剣。速く鋭い斬撃が眼前を通過、次の一撃を防げばまた次が来る。三度の斬閃。


 赤髪が振り乱されながら疾走。懐へ、側面へ、死角へ。怒涛の乱打を畳みかけてくる。

 防戦を強いられ、反撃が許されない。


 隙を作らないとマズイ。


 激しく打ち合う長剣と短剣。別に意識を移していたからか、対応が遅れ始めてしまっている。

 力は僕の方が上だが、速さは追い付かれ始めている。技をもって捌き切り、瞬速の駆け引きを制していく。


 過去の交戦の記憶が霞むほどの交戦。

 成長、などと呼びたくない。これはもう別人だ。

 能力も、技も、駆け引きもそのすべてが一線を画している。魔法の扱い、攻撃の威力、体の切れ、素直で愚直で真っ直ぐな技、一瞬の閃き。


 約四か月でこれ? 一年経ったら確実に抜かれる?

 一年後のことは一年後の僕に任せよう。今は今。


 僕はケイのことを信用した策を打つことにした。

 チッと舌打ちが聞こえた気がする。


 アリスが短剣を薙ぐ。左側から剣が来る。まだ体力があれば屈み、タックルをしていただろう。


 僕は左腕を差し出した。


「な!?」

「え!?」


 メリッサとアリスが驚きの声を出す。エル達は出していない。ケイはともかく、他の者はこの策が分かっていたのだろうか。


 でも、僕は左腕を差し出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ