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僕はただ強くなりたいだけなのに  作者: suger
4.ケイ
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14.横たわるケイ

 意識の覚醒は僕の得意技だ。起きて三秒で仕事をするためだ。

 陽光の温かみに瞳が熱を持ち始める。体にだるさが残っている。オーバーワークのせいで疲れが天元突破だ。

 

 僕は目を瞑ったまま首を横に振る。


 少し頭が重い。慣れないことをしたせいで、筋肉痛が翌日どころかもう来ている。三日五日は続くだろう。嫌だなぁ。


 瞼を開けて最初に飛び込んできたのは、少し切り傷の付いた木材だった。いつもの人工的な印象の白い天井ではない。

 昼を象徴する陽光がぼんやりと淡く部屋の中を照らしている。


 寝起きの頭でそれを確認し、僕は首を傾ける。


「……枕って置いてないの?」

「ないよ。起きたんだな」


 キッチンに背を預ける形でユーヤがいた。ユーヤは何やら不服そうな顔をしている。僕が倒れた理由だろ? いいよ、別に、話してやるよ。


「まぁまぁ、聞いてくれよ。僕が倒れた理由について愚痴らせてくれよ」

「いいぞ、話して」


 ユーヤの半眼をスルーしながら上体を起こす。


「がぁ!! 体痛っ!! イッタ!」


 すぐにベッドに沈んだ。


「え!? いや、マジで何? どうした!? 呼んだ方がいい? エルでもアイネでもクライネでも、誰か呼んだ方がいいのか?」

「いらん! ……いや、エルは欲しいな。一緒に寝たい」

「欲望だだ漏れじゃん」


 ユーヤはこの二人仲いいな、ちょっと妬けるし憧れるとか考えながら家を出ていった。呼びに行ってくれたようだ。優しい。ケイちゃんポイントを上げよう。


「で? それで私が呼ばれたの?」


 エルは僕の横を陣取り、腕枕をしてくれている。好き。結婚しようぜ、エル。


「まずユーヤの知っている通り、僕は魔眼族だ」

「うん」

「普通魔眼族は魔眼を持って生まれてくる」

「まぁ、魔眼族っていうぐらいだしな」

「で、普通、大半の魔眼族は一種類の魔眼を持っているんだ。ごく稀に二種類の奴がいるんだよ」

「フーン。ケイは?」

「ん」

「四!?」


 僕はおどけたように右手で四本指を立てた。ユーヤの眉根が寄る。


「あ、ごめん。魔眼は全部で八種あるんだ。さっきの戦闘で活躍させていた魔眼は鑑定眼と未来眼だよ。君の脳内でこういう攻撃をするぞって”起こり”で避けてたんだ」

「当たんないわけだ」

「心の声も聞こえてたから躱しやすかったぜ」


 ユーヤが苦い顔をする。僕も眉根に皺ができてしまう。あれ? こいつの心の反応、想定と違うぞ。

 心の中が読まれることに引いたり嫌がったりすると思っていたのに、心が読める奴の倒し方をシミュレーションしていやがる。ガチ戦闘狂かよ。そのくせして戦う理由が特にないのが怖いな。


「攻撃が当たんない理由は分かった。じゃあ、最後に倒れたのは?」

「動きすぎてオーバーワークしちゃった」


 テヘペロ♪

 おい、引くな。事実なんだよ。


「魔眼族の強さは魔眼なんだよ。魔眼が強ければ強いほど、肉体が弱いんだ。体力もな」

「つまり四つも持っているから」

「その通り。肉体が弱いし、体力もない。石ころになってお前に蹴られた時、僕の内臓は破裂したし、骨もバッキバキだったぜ」

「え、今は大丈夫なのかよ」


 うお。凄い心配してくれているな。本当に。心の底から。


「僕はこれでも理属性魔法の極致なんだぜ。死にそうになりながらでも生き永らえることだ出来るのさ」


 おい、ドン引きすんな。これが出来なきゃ何度死んだと思ってんだよ。


「だから右手首も治りました~~」


 僕は右手首をアピールするようにひらひらさせる。


「じゃあ倒れたのは?」

「理属性魔法じゃ体力は戻らんのだよ。で、体力尽きて倒れちゃった」

「そこまで戦ってたのかよ」

「いや~~、エルに頼まれたから張り切っちゃったよ」

「倒れるから心配しちまうだろ」

「ヤッバ。おい、ユーヤ聞いたか今の」

「え、あぁ、聞いてたけど……_?」

「ヤッバ。エル優しい! 好き! 超好き! 結婚しようぜ!」

「レイベルスもマレットスも異種婚は認めいるけど、同性婚は認められてないぞ」


 エル自身は否定しない。ただ政策を持ち出すだけ。もし認められていたらしてくれるみたいな!


「え、僕法律変えるの張り切っちゃうよ~?」

「国王を困らせるんじゃね~ぞ~」

「ふぁ~~~い」


 僕は頭を撫でられながら、意識を落としていった。

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