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僕はただ強くなりたいだけなのに  作者: suger
4.ケイ
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13.ケイと戦うユーヤ

 言っている意味が解らない。何だ、相応しいって。

 めっちゃ薄い胸を張っていやがる。何でだ?


 うお、睨まれた。本当になんなんだ。


「済まんな、ユーヤ。何つーか、付き合ってくんねェか?」

「ご飯食べたい」

「じゃあ、先に朝御飯にしようぜ。気持ち悪くなっちゃうかもしれないけど」


 ケイはクライネの方に行くと、既に盛り付けられているサラダを机に置いていった。

 机は部屋の中央に配置させられている。


 クライネを含めて机の周りに集まり、朝食会が始まる。


 僕はフォークでキャベツを刺し、口に運ぶ。シャキシャキしていて美味しい。


「超しゃきしゃきじゃん。新鮮大好き」

「えぇ、私の家裏の畑で育てたものです。他にもいろいろと育てています。今後をお楽しみにしてください」

「魔眼は使わないで楽しんでおこう」


 ケイが馴染んでいる。さっき会ったばかりのはずなのに、打ち解けている。僕にはできない芸当だ。

 いや、僕が会ったことないだけで、他の者は知り合いっぽいんだよな。実際エルから教えてもらったしな。


「何見てんの?」


 ケイが話しかけてきた。いや、と言いながら目を逸らす。


 不思議だ。ケイを見ても強そうに見えない。それでもエルが戦ってみろと言った。

 何かの強さがあるのだろう。そこは戦ってみないと分からないが、絶対に何かある。


――――――――――――――――――――――


 朝食後、僕とケイは中庭に出た。


 何で戦うのか、僕はよく分からない。でも、戦わなければならないらしい。僕は刃の潰れた剣を抜いて構えた。

 ケイは膝を曲げるようにして腰を落とし、膝に手を当てている。肩を中に入れるストレッチをしている。

 最近の僕は負け続けている。ミデリーにエル、そしてアイネ。皆が強者。


 強者に勝つには正攻法じゃ無理だ。上から潰されてしまう。いつかは正攻法で越えるべきなのだが、今はできない。客観的な判断による結論だ。


 奇襲。だまし討ち。これしかない。


 剣を構えながら、ケイを見る。


「ちなみに、いつ始めんの?」

「ん? あぁ、合図的なこと? それならいつでもど……

「フッ!」


 ケイが話し終わる前に攻撃を仕掛ける。


 鋭い一閃。僕史上でも上出来な奇襲だ。

 しかし、ケイはそれを躱した。最小限の動きで、かつギリギリで。


 気付いてから修正しても、当たらない位置だ。


「あ、ぶ……」


 ケイが冷や汗を掻きながら、剣身を見て息を拭く。


 ケイは独特なステップを踏んで間合いを取る。

 僕はそれを逃さないように踏み込んで剣を振るう。ケイの逃げ足の方が早く、剣が届かない。


 どんどん距離が開く。追いつくために僕も足の回転数を上げる。


「悪手」


 そんな言葉が聞こえてきた気がした。

 ケイは急激に止まり、むしろ反転してこちらに向かってきた。


「ナッ!?」


 僕も止まろうとする。しかし、向こうの行動の方が速かった。

 ケイは屈み、自らの体を石ころにした。僕はその石ころに足を引っかけた。僕は何とか踏み止まろうをするが、勢い余って手を着く。そのまま体を一回転して反転させる。


 ケイは口端から血を流しながら背を丸めている。ん? どの時のなんだ? あの血。

 ケイが丸めていた背を伸ばす。どこも痛くなさそうだ。嘘だったのか?


 ペッと血を吐き捨てたかと思うと、手を招いてきた。


 挑発だ。簡単に乗っちゃだめだ。これに乗ると自分のペースを乱すことになる。乱されれば負ける。相手のペースになっているということだからだ。


 冷静に考えてみる。


 ケイは魔眼族だ。どんな魔眼を持っているのかを不明だ。それでもあの戦い方を見ればわかる。

 僕の動きが見えている。それを裏切るにはどうすればいい。


 そう、より疾く。

 これしかない。


 僕は剣を腰に溜めて、足に力を込める。そして力一杯に踏み出す。

 さっきの二倍は早い。明日は痛くて歩けないかもしれない。それでも打つ。


 ケイは分かっていたかのように横に逸れ、棒を取り出して水平にした。そこにあるのは僕の腹。


 ドゴンと当たる。


 僕は手を当てながら、ケイに剣先を向けて反転した。


「は?」


 僕の視線の先では、ケイが倒れていた。


「え? 何? どうした?」

「……」


 答えが返ってこない。ケイのことを見ると、かなりの汗を流していた。しかも、右の手首が外れていた。


『えぇ~~~~~~~?????』


 僕は思わず叫んでしまった。

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