11.大はしゃぎなケイ
ヤバい。何がヤバいってチョー眠い。
マズイな。眠すぎる。お腹いっぱいにしちゃったからもう眠くなってきちゃっている。家まで辿り着けるかなぁ。
とりあえず魔眼を使ってエルの居場所を探そうかな。そして、あわよくばエルに負ぶってもらおう。そうしよう。
「凄い人数だな」
僕は村の中央を見る。時が夜中へと向かうほど、人が増えていった。一目では数も把握できないほど、観客が犇めいているのが確認できる。
明かりがいくつかついていて、美しい景色が広がっていた。エルがいるのはこの向こうか。じゃあ、ここで待っていたら会えるかな。
僕は道の脇の岩に腰を落ち着かせる。
マズイな。凄い眠い状態なのに体を休めたから、更に眠気が増してきた。
僕は今、この世で最も強い敵と戦っている。睡魔は数多くの者を打ち倒してきた。
目元をゴシゴシとこすりながら、欠伸をする。眠すぎて思考が安定しない。
数分眠ってしまった。危ない危ない。数時間も眠っていたら凍ってしまっていたし、こんなに美少女なのだから未成年お断りな目に遭っていたかもしれない。
ヤバ、エルの奴通り過ぎてんじゃん。
僕は岩から下り、伸びをする。駄目だ。体の疲れが抜けきっていない。まだ若干眠いし、早くエルと合流しよう。
ズボンのポケットに手を突っ込み、静かに近づいていく。
見つけた。でも、エル以外にもいるな。
あれは、龍人アイネとエルフ族長の娘クライネじゃないか。かなりの大物が揃っているな。
で、その中で中心にいるのが一人の男の子。マジで何者なんだ? もうこの距離で気付かれているし。
まぁ、いいや。抱き着きたいだけだし。いっちゃえ。
「やぁ~」
僕は気の抜けた声を出しながら、エルの背中に抱き着いた。
「む?」
「何だ?」
ひょえ!? 何だとか言いながら僕のことを引き剥がそうと襟掴んできやがった。
エルは僕のことを手で押さえながら、男の子の手首を掴んだ。ありがと、エル。あとでメッチャお礼するわ。
「おい、エル、そいつは!」
「大丈夫だ、ユーヤ。こいつは大丈夫だから邪魔しないでやってくれ」
「エルがそういうなら信用しよう」
僕は目を瞑る。
「ね~、エル~~」
「ん、どうした、ケイ」
「背中で寝ていい?」
「んだよ、そんなことか。いつでもいいぜ」
「わ~い」
僕は体をすべて預ける。
実は、僕は魔眼を、瞼を閉じた状態で使えるのだ。頬をエルの後頭部につけて、ユーヤを見る。
「この状態を見ると、本当の子供みたいだな」
「背格好は子供っぽいけど、精神性は超大人だからな。あんまりそういうこと言ってやんなよ」
失礼なことを言っているような気がするが、本当のことなので何も言わない。
と、今はユーヤの方だ。ガチガチに心を読んでやる。後、過去とかも全~部見てやっちゃうぞ!
フフフ。エルの交友関係は僕が精査しようじゃないか。
え~~~~っと? あ~~~~っと? こ、れ、は~~~~~?
成る程ね。あんまりこの過去については触れない方がいいかな。
フムフム。凄い強くなりたいって気があるな。いいね。これはエルに関係なく応援したくなるな。
ん? 強くなりたい……だと……?
おっと、エルの心の中のことを考えると雲行きが怪しくなってきたな。




