4.奴隷を見つけるユーヤ
青髪の青年とそっくりな女性に近づいていく。女性への距離が残り50mとなった時、向こうが気付いてこちらを視た。
僕がユーヤであると気付いたのだろう。彼女の眉がしっかりと上がった。
その直後、バシュンと謎の効果音と共に姿を消した。いや、姿を消したというより、その場から離脱したという方が正しいか。
彼女が目の前に現れたかと思うと、あっという言葉と共にずっこけ、転がっていった。
「え?」
僕は心底不思議そうな顔をしながら、転がっていった女性を見る。体の速度に、身体能力が追い付いていないように思える。初めはいいが終わりが駄目なのか?
「君がユーヤ君だね?」
「あ、はい」
「いや? 会いたかった。どうも、私が空飛ぶ目の発明家兼使用者です」
「アンタか」
「いや~、全部見てた。見てたよ。ヴォジュア・オールドウッド、巨木のモンスターを倒すところから君のことを24時間見てたよ~」
「こ~わ」
もう関わりたくないと思ってしまった。
「それでね、私は知っているわけです。そう、あの精霊クンと出会っていることもね」
「あ? あぁ、そうだな」
「というわけで、精霊クンの元へ行って、収穫祭への参加意思を聞いてきてくれ。ちな参加してほしい。後、これは出来たらでいいけど、エルフのクラリスにも確認を取ってきて」
「……え~~」
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そんなこんなで僕は一人、また森に来ていた。
僕は赤い肌を持つ角の人型の頭を投げ捨てる。群れで8体ほど襲ってきたが、僕にとっては敵ではないため、8体を一振りで片づけた。
剣の消費期限を長く保つために、鋼に付着した血を拭い取る。
ガサと叢が揺れた。血の匂いに釣られてきたのか。
出てきたのは二股の頭を持つ狼。双頭の狂犬はすでにグルルと唸っている。臨戦態勢だ。
先程の赤い肌の角人型より強いモンスターだが、関係ない。
双頭狼が飛びかかってくる。僕は冷静に剣を握り直し、剣を振るった。一振りで二つの頭を切る。
双頭狼の体は着地し、血の線を引きながら滑る。双頭は地面をバウンドして木にぶつかった。
もう一度剣身を拭おうとする。
「布、血が付いているじゃないか」
血の付いている布で拭くのは大丈夫なのか?
「ん?」
僕が顔を上げる。
人の気配がする。今までこの森の中で人の気配する事なんてそんなになかった。あったとしてもエルフ族か獣人族くらいか。
あまり音を立てないようにしながら様子を窺う。
そこには四人の男性と金の毛並みを持っている獣人族がいた。女の獣人の周りを取り囲むように立っている。
女の獣人の服は少しボロボロで肌が露出している。首元に鉄輪が嵌められている。奴隷だ。初めて見た。
奴隷のことを僕は何とも思っていない。成ったのにはそれぞれの理由があると思っているからだ。僕が首を突っ込むようなことではない。
僕が立ち上がろうとした時、男の一人が女獣人を殴った。
僕の脚が止まる。奴隷の運用方法はその主人の勝手だ。しかし、僕にもその暴力が来るかもしれない、という可能性を考えると、無視できない。
僕には両親がいない。そのため、いつ奴隷商人に目を付けられ奴隷に落とされるか分からないのだ。
僕は剣を強く握って、叢から飛び出した。




