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僕はただ強くなりたいだけなのに  作者: suger
3.アイネ
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7.アイネと話すユーヤ

「よぉ~~、邪魔するぜ」

「邪魔するんだったら帰ってくれ」

「済まん済まん。定型文だよ、定型文」


 とても身長のある女性だ。エルも背が高く、190㎝あるのだが、それよりも高い。2m以上はあるのではなかろうか。

 顔の頬や腕などに紫の鱗が張り付いている。


「鱗?」

「うん? 何だ、珍しいか?」

「まぁ、初めましてだな」

「じゃあ、よく見ておくといい。私は見られても恥ずかしくないからな」


 女性は自分の紫の鱗をコンコンと叩いて、ニカッと笑った。


「ところで、家主は中かい?」

「……僕が家主だけど」

「何だと? まだガキじゃないか」

「あ?」


 ガキで何が悪い? 思いっきり睨んでやる。


「悪い悪い。もしかしてあれかい? ガキみたいな見た目をしておいて、実は齢三桁超えみたいなやつかい?」

「……正真正銘のガキだけど?」

「じゃあ、あれか。ガキって言うな的なやつか」

「えぇ、そうですね」

「そりゃ済まないことをしたな」


 女性は申し訳なさそうに頭を掻いた。


「ところで、ミデリーはいるかい? 家に行ったらサァ、執事に追い返されちまったんだよ。ここに行け、みたいな感じでさ。それで、知らねぇ?」

「ミデリーは知らないな~」

「私も知らねぇ」


 この中の誰も知らないのか。そういえば、最近ミデリーを見ていないな。どこに行っているんだ?


「アイツとの戦いはいつもヒリヒリしていて楽しいからな。体がアレを求めちまっているのさ」


 誰が見ても分かる。こいつは戦闘狂だ。


「つーわけで、エル!」

「や~だ~、申し訳ね~。私は夕飯を作らないといけないから、今回はパスで」

「は?」


 は? 僕も声が出そうになってしまった。え、エルのやつ、夕飯を作る気でいたのか。それなのに、あんながっつりと寝ていたのかよ。


「あ、アリスのやつも夕飯を作っているから、暇なのはこいつだけだぜ」


 エルは僕のことを指差しながら、家の中へ入っていった。


「……お前、戦えんのか?」

「僕はアリスより強くて、エルより弱いよ」

「気に入った」


 女性は二の腕を地面と水平に上げ、爪を強調するように開いて顔の両側に持っていった。


「アタシはアイネ。ミデリーとエルの戦友、アイネだ」

「僕はユーヤ。何も特に言うことはないけど、最強を目指しているユーヤだ」

「最強? そりゃあいい。目指すといい。私でも諦めかけている夢を、果たしてみな」


 そこで、アイネが何かに気付いたように目を丸くした。


「そういえば、今って飯作ってんだよな」

「そうだね」

「あんま近くでドンパチやってっと、迷惑になんじゃねぇか?」


 もしかして常識人か? 戦闘狂の振りをした常識人か? いや、普段は常識人だが、戦闘になった途端豹変するタイプの戦闘狂かもしれない。


「じゃあ、どこで戦うかな?」

「いや、森の中はモンスターがいるから止めておいた方がいい」

「あん? アリスより強いくせに魔物が怖いのか?」

「いや、純粋な力比べに邪魔がいたら楽しめないだろう?」


 アイネが両手で口元を覆った。


「何だよ、お前。そこまで考えてんのかよ。こんなん、惚れてまうやろー」

「何言ってんだ?」

「定型文だよ、定型文」

「何のだよ」


 分からなさ過ぎて呆れさえ出てくる。分からないものは分からない。


「じゃあ、あっちにある広いところでやるか」


 アイネに言われるままに僕も広場へと向かった。

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