12.面倒事だよ、ユーヤ君
狭い。それが今の感想だ。
あの後、僕はアリスを連れて、クライネと逢った沢まで行った。
汗を流したことですっきりしたアリスは、その時お眠になっていた。
メリッサが言う事には、どうやらミデリーはアリスを僕のところに置いて行ったらしい。その方が成長するだろうと考えた結果なんだかとか。
アリス本人は、友達とお泊り会みたいで楽しいと言ってきやがった。
いい時間となり、いざ寝ようとなった時、事件が起こった。
主張1、僕。ベッドは客が使うべきだ。僕は床で眠る。
主張2、クライネ。主従において、主がベッドを使い、従者が床で寝るべきだ。
主張3、アリス。お泊り会だから、皆でお喋りしたい。後、独りぼっちはどうしても嫌。ベッドでも床でもいいけど最低二人。
主張4、メリッサ。主張内容はクライネとほぼ同じだった。差異を挙げるなら、そもそも男女が一緒に寝るのは不味いのでは? 僕はこの主張の意味を理解していない。何がマズいんだ?
この四人の主張を満たせる状況はない。誰かが妥協しなければいけない。
そこでアリスが一言。
「じゃあ、皆で雑魚寝だね!」
その一言が採用され、今は皆で家の床に布を敷いて雑魚寝している。元々一人が暮らすことが想定されている家だ。四人で寝転ぶには狭すぎる。
左に寝返ればクライネが、右に寝返ればアリスがいる。動けない。寝苦しい。
そう考えていた時、ドカンと大きな音。僕はバッと起き上がる。隣にいたクライネとアリスも同様起き上がった。メリッサはまだ寝息を立てている。意外と大物なのかもしれない。
「私が来た!」
大声を出してきたが、お前は誰だ? このようなことをやりそうなのはクンしか思いつかない。しかし、身長が全然違う。逆光のせいで影しか見えない。
体格だけで見ればミデリーに見える。しかしミデリーはあれで常識良識の類を持ち合わせている。わざと壊して登場なんてことはしない。
じゃあ、こいつ誰だ?
「何だ。もう~エルちゃん驚かさないでよ~」
ぽす。
アリスが謎の存在に文句を言うと、そのまま体を倒し、二度寝の体勢。え、誰なのか教えてくれよ。
「おいおいおい! ちょ、待てよ、アリス! 私が来たんだぞ。もうちょっと喜べよ。ほらほら」
「眠いから嫌」
「マジかよ自由人。まぁいいや」
エルはすんと真顔に戻り、自身の腰に片手を当てて、こめかみ辺りを掻いている。
「今日の私の用事はアリスじゃないし、いいか。そっちの男の子に用がある。聞いているぞ、ミデリーから。お前がユーヤだな」
「……用事があるなら明日にしてくれないか。僕も眠い」
「ハハァ。私は夜行性気味かつ今徹夜のテンションだからなぁ」
「ベッドで寝れば?」
僕がベッドを指差す。謎の存在エルはベッドを見る。
「使っていいのか?」
「いいよ」
「……つか、何で誰もベッドに寝てねぇんだ?」
謎の存在エルが呆れている。もうどうでもいいため、僕ももう二度寝の体勢に入る。
「こいつも寝んのかよ。知らない奴というか私がいるのに凄いな、胆力」
呆れた声が聞こえてきたが知らない。僕はもう眠い。
「仕方ねェか。対決は明日だな」
あぁ、やっぱり戦うことになるのか。




