3.モンスター狩りをするユーヤ
巨木のモンスター以来、初めてこの森に入る。
モンスターがあまり見えない。この森はモンスターに蹂躙されてしまう程危険な場所のはずだ。何でモンスターが見えないのか。
僕はこの新品の剣の試し切りがしたいのだ。素振りでは分からない使用感がある。それを確かめたいのに、モンスターが出てきてくれない。
「どうした、ナミビエの森。あの時の巨木モンスターがいたら、突っ込んでいるぞ」
ガサガサと草が揺れる。おっと、モンスターかな? モンスターだよね。モンスターだよな!?
ジッと睨んでいると、一つ目で角の生えたモンスターが出てきた。こいつの名前は知らない。
一つ目角モンスターが木でできた棍棒を振り上げた。このモンスターは攻撃力が高いだろう。棍棒での攻撃は、人間を簡単に肉塊にできるかもしれない。
一つ目角モンスターが棍棒を薙ぐように振るう。
僕は跳んで躱し、剣を振り下ろした。剣が少し軽いが、腕力で何とかすればいい。
一つ目角モンスターは頭を振り、角で受け止めてきた。
バキッ!
モンスターの角半ばまで剣が入った。僕は剣の柄を軸にして、角に回転蹴りを叩き込んだ。
角を折り、剣を解放させた。空中にいるまま、剣を掴み取る。
一つ目角モンスターは、顔を反らしながら、棍棒を振り上げる。僕は脚を斜めから当て、その場で後方回転する。
僕は右足一本で、膝を曲げながら着地した。伸ばしている脚も着地させ、右膝を伸ばす。
無防備となっている一つ目角モンスターの腹筋を斬った。
一つ目角モンスターの上半身がズレ、下半身を残して倒れた。
僕はそこらに生えている草を採って血を拭う。
「専用の布を用意しておいた方がいいか」
僕は剣を掲げ、陽の光に当てながら呟く。
地が揺れた。この揺れはモンスターの歩行だ。こっちに近づいてきている。
そこにいたのは赤い肌をした人が立つのモンスター。また名前の知らないモンスターだ。血の匂いに誘われたのだろう。
モンスターが僕を見下ろしてくる。何を考えているのか分からない目だ。しかし、溢れるオーラが次の行動を予測させる。
僕も餌にする気だな。
モンスターが木でできた棍棒を振り上げた。さっき見たな。
「ブゥゥオオン!!」
モンスターが棍棒を振り下ろす。先程のモンスターは薙ぎ払いだったが、今回は振り下ろし。
僕は棍棒を見てから余裕をもって躱す。
棍棒が地面に当たった瞬間、地面が割れた。
僕は屈んで、片手を地面に触れる。バランスを整えると、そのまま宙に浮いている地面を足場にして飛ぶ。一度木に着き、その撓みを利用して加速する。
モンスターが棍棒を引き抜く前に、剣を届かせる。
こいつは一つ目角モンスターに比べれば、かなり強い。この僕の一撃程度では死なないだろう。
モンスターの首に届いた剣が、分厚い筋肉を断っていく。
ズバッ!
首が飛んだ。
「え?」
僕は呆気に取られた。僕は切れると思っていなかったのだ。
地面に靴の線を作りながら着地する。そして、剣を見る。
血が付いていない。それほどの逸品。
素晴らしいが、同時に恐くなってくる。これ、いくらだ?
これはミデリーが押し付けてきたものだ。これの代金を僕は支払わなきゃいけないのか?
「い、いや、今は考えるのをやめておこう」
僕は剣を鞘にしまった。
冷や汗が流れているような気がするが、気にしない気にしない。気にしないったら気にしない。




