表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕はただ強くなりたいだけなのに  作者: suger
8.レ・ミュー
109/145

18.逆転されたヒューイエン

 ケイは追い詰められたように見せかけていたのか?

 とある荷物の場所に我々は誘導された。それは二股に別れた銃のような見た目をした武器。

 撃ち出す瞬間、僕の髭が反応した。マズイ。動け!


 その直後、音が消えた。


 耳がキンキンしている。髭が細かく震えている。

 少しだけ首を動かし、部下を確認する。体が半分消えていた。あの武器によって打ち抜かれたとか、消し飛ばしたとか、そういうものではない。一瞬の高温によって融けたのだ。

 肉が融け焼けていく臭いがする。一度も嗅いだことのない生肉、しかも今生きている生物の臭いには吐き気がしてくる。


 気持ち悪い。


 しかし、ここで止まるわけにはいかない。弔いだってしてやらなくちゃいけない。

 そもそも、あんな武器、理解ができない。あんなもの、マレットスにあったか? あったとしても構わない。量産できるはずがないのだ。出来るのだとしたら、ケイ以外にも持っていないとおかしい。そうではないのは、できないからだ。

 それに、こんな高威力のものをポンポン連射で撃てるわけがない。出来たら、本当に意味が分からない。こんな技術力をどこにどうして隠していたというのだ。


 足に力を込め、立ち上がろうとする。


 ズキリと足に痛みが走った。そちらに目を向けると、僕の左足の半分が融けていた。左脚の中指から外側が踵側も含めて削り取られていた。

 あまり痛みがない。普通、こんなに抉れていたら、もっと激痛となると思うのだが、その神経すら逝ったか?


 少し力を込める。冷静になれば、この痛みくらい耐えられる。


 ケイのことを見る。岩に頭ぶつけてぐったりしている。頭から血を流して、かなり無防備状態だ。今、襲い掛かれば殺すことができる。

 毒のない、普通の長剣を持ち、何とか立ち上がる。フラフラだが歩ける。傷が痛む。それでも血が出てこない。融けて固まってしまっているのだ。血液の循環はなくなっているに等しい。後で足を切ったり繋げたりしなければ死んでしまうだろう。


 今はそれよりもケイを殺す方が先だ。


 ケイの目の前に立ち、長剣を振り上げる。体がボロボロすぎて振り上げるだけでも精一杯だ。このまま振り下ろせばケイを殺せる。

 ケイはこちらに中指を立てた。


「ここにいるの、僕だけだと思った?」

「……何?」

「ホイ」


 どこか気の抜けた声。それと同時に側頭部に衝撃。


「ぐッ!? な、何だ!?」


 見ると、そこには糸目金髪の獣人族がいた。何の獣人だ? 虎? 犬? 猫? どれでもない。どれであったとしても微妙に違う。


「あんさん、周りが見えてへんなぁ」

「な、何だ、貴様!」


 獣人の娘は口元を扇で隠しながら、袖の中を探る。


「これなんやけど」


 獣人が一枚の布を見せる。その布には獅子の頭に山羊の角が生えた、謎の生物が縫われていた。


「それは、バフォメット教の?」

「お? あんさん、知ってはる? どこにおるのか」


 この娘はバフォメット教なのか? バフォメット教といえば、殺人や強姦、誘拐など、どんな犯罪も厭わない組織集団だ。まさか、この女が?


「妾はこの人たちを探しておりんす。知ってはります?」

「僕知っているよ~~?」


 間延びした声。ケイが手を挙げている。


「代わりに起こして?」

「フム。等価交換というやつでありんすね? じゃあ妾の手を掴むでありんす」

「それで等価になってんのか分かんないけど」


 ケイが助けを借りて、立ち上がった。


「ホレ、これいるけ?」


 獣人の娘が長剣を渡そうとしている。それで僕を殺す気か?


「お?」


 ケイが目を丸くして獣人の娘を見た。


「いいの?」

「協力者はんにええ顔すんのは、妾のためになりんすからね」

「ハッハ。成る程ね」


 ケイがしっかりとした足取りでこちらに近づいてくる。

 さっきまでぐったりしていたのに何があった? あの獣人の娘が何をしたというのだ?


 ケイが長剣を振り上げる。軌道を考えると、僕の首を切ろうとしているな?

 体が動かない。血が足りないのか、何かしらの魔法の影響なのか、なぜか避けることが出来ない。


 あー、くそ。唐突に出てきたあの獣人の娘は何者なんだ。

 そして、ケイが長剣を振り下ろした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ