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僕はただ強くなりたいだけなのに  作者: suger
1.ミデリー・ランレイグ
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9.交渉しようとするロザリオ

 コト。

 目の前に紅茶が出される。


「ありがとう、エミリシア」

「いえ」


 人間族のメイドが頭を下げて部屋を出ていく。

 私は紅茶を口に含む。味がしない。エミリシアの腕のせいではない。私が緊張しているのだ。なぜ二十歳も年下の女性に緊張しなければならないのか。


「ふー」


 私は天井を見上げる。ミデリーは話を聞かないことで有名なランレイグ家だ。現在の騎士団長も遊撃部隊部隊長もランレイグ家だ。

 一応命令は聞いてくれるものの、自分勝手な行動も多い。


 そんなランレイグ家の筆頭がミデリーだ。何をしでかすか分からない。


「ロザリオ様」

「ルルハットか。どうした」

「ミデリー様が到着いたしました」

「よし、ここに通してくれ」


 ミデリーが来たことを告げられ、私は気合を入れる。私はこれでも外交大臣のヒッパクト家領主なのだ。


 バンッ! と大きな音と共にドアが開かれた。


「ロザリオ! 私が来たぞ!」


 声がワクワクしている。あぁ、ヴォジュア・オールドウッドに期待しているのか。


「あ、あぁ、よく来てくれた。ヒッパクト家一同、歓迎しよう」


 豪快な笑顔を浮かべながら、赤い髪を揺らすミデリーを見て、冷や汗が流れてしまう。


「ハッハッハッ、歓迎か、ロザリオ! それは嘘だろ」

「いやいや、そのようなことは……」


 仁王(テンセンリード)立ちで確信めいて話すミデリーに、冷や汗が止まらない。


「ならば、その汗はなんだ。冷や汗ではないのか?」

「ハッハッハッ。……正解だよ。これは冷や汗だ」


 勘弁してほしいものだ。何だ、その洞察力は。


「聞き及んでいるぞ、ロザリオ。ヴォジュア・オールドウッドが倒されたそうじゃないか」

「ハッハッハッ。……何で知っているんだよ」


 頭を抱えてしまう。ミデリーはランレイグ家の中でも頭が切れる方だ。しかし、そのような情報網を持っていなかったはずだ。


「新しく雇ったのか」

「ん? いや、私の娘だ。風魔法を応用したらしい。私にはさっぱり分からん理論だ。ハッハッハッ」

「……ハハ。一度会ってみたいものだ」


 乾いた笑いしか出ない。ミデリーの娘、アリスには会ったことないが、文句を言いたい。一応機密事項なのだからな。


「さて、ロザリオよ」

「……何だい?」

「お前はヒッパクト家だ。交渉が得意なのだろう?」

「あ、あぁ、そうだな」


 流れを考えるなら、ヴォジュアに代わるやつを用意しろ、ということだろう。仕方がない。これは私側のミスなのだから、それぐらいやらなければならない。


「ロザリオ」

「はい」

「ヴォジュア・オールドウッドを倒した奴を探しに行くぞ!」

「あぁ、分かっ……ん?」

「ん? どうした?」


 早速行こうとするミデリーに、私は遂に驚きを出してしまう。


「い、今から行くのか? ミデリー。君は今日一日しか空いていないのだろう? 探せるのか?」

「私の嗅覚を舐めるなよ」


 ミデリーは自身の鼻をトントンと叩いて、胸を反らした。そんなに自分の能力に自信があるのか。


「私はね、強い奴が好きなんだ」

「知っているよ」

「強い奴と戦っているとね、戦う前から相手が強いか弱いかが何となくわかるようになったんだよ」

「達人のエピソードでそれなりに聞いたことがあるな」

「私はさらにその上をいった」

「……どういうことだ?」

「強い奴がどこにいるのか分かるようになったのさ。こう、(オーラ)的な」

「……成る程。私には分からない領域の話だ。しかし、それが出来るということは、もう場所のあたりが付いている、と」

「私を誰だと思っているんだ? ランレイグ家現当主、人類最強の名を恣にしているミデリーちゃんだぜ」


 ミデリーは自分の胸に親指を立てて、ドヤ顔をした。

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