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次のレベルアップはカレーライス?超楽しみです!

 予想通りとでも言おうか、ハイゼンとその護衛たちがそれぞれ1杯ずつそばを食べて出て行った後、文哉の辻そばは途端に暇になってしまった。明らかに異世界の街並みから浮いている辻そばの店舗。しかも場所が旧王城を囲む城壁の一角。興味を引かれて遠巻きに店を覗く者はちらほらといるのだが、しかしそういう者たちは店内に入ろうとしない。座して待っていても客は集まらないだろう。

 これは表に出て呼び込みでもした方が良いかな、と文哉が考えていると、今度はアダマントが自身の若い部下を5人ほど連れて昼飯を食いに辻そばを訪れた。彼は連れて来た部下たちにそばがどういう料理かを熱弁し、新メニューのわかめそばとほうれん草そばを両方とも平らげ、満足そうに帰って行った。部下の若い騎士たちもそばの美味さに驚き、やはりそれぞれ2杯ほど平らげていった。

 帰り際、彼らは「必ずまた来る。まだソバを知らない同僚たちにもツジソバのことを伝える」と言ってくれた。彼らの口コミ力が如何ほどのものかは分からないが、期待しておいて損はないだろう。


 ともかく、この来客により文哉のギフト『名代辻そば異世界店』はレベル3に成長、新たなメニューとして『特もりそば』と『冷したぬきそば』が追加された。






************************************


ギフト:名代辻そば異世界店レベル3の詳細


名代辻そばの店舗を召喚するギフト。店舗の造形は夏川文哉が勤めていた店舗に準拠する。

店内は聖域化され、夏川文哉に対し敵意や悪意を抱く者は入ることが出来ない。

食材や備品は店内に常に補充され、尽きることはない。

最初は基本メニューであるかけそばともりそばの食材しかない。

来客が増えるごとにギフトのレベルが上がり、提供可能なメニューが増えていく。

神の厚意によって2階が追加されており、居住スペースとなっている。

心の中でギフト名を唱えることで店舗が召喚される。

召喚した店舗を撤去する場合もギフト名を唱える。


次のレベルアップ:来客100人(現在来客3人達成)

次のレベルアップで追加されるメニュー:カレーライス、カレーライスセット、

ミニカレーセット


************************************






 相変わらずステータスについて成長がないが、しかしギフトのステータスについては上記のように成長した。

 次のレベルアップは100人と、前回の10人から一気に10倍に跳ね上がったが、しかし追加されるメニューはカレーライスとそのセットメニュー。正直、カレーライスというのはかなり心強いメニューだと、文哉はそう思っている。カレーこそは万国共通の美味。仮にそばが舌に合わないと言う者があったとしても、カレーが合わないと言う者はいない筈だ。文哉はカレーライスにそれだけの自信がある。異世界で辻そばが戦う上で、カレーライスは必ず強力な武器となる筈だ。


「むふふ……」


 次のレベルアップは来客100人と前途は多難。しかし次に追加されるメニューが最強の一角カレーライスとあって、文哉は1人でほくそ笑んでいた。追加されたメニューは文哉も食べることが出来る。何を隠そう、ブラック企業時代の文哉が最も食べていたのが他ならぬカレーライスセットなのだ。カレーライスとかけそばがセットになったカレーライスセットは文哉にとって思い出の味。次はこれがメニューに追加されるのだから、楽しみでない訳がない。


 ちょっと気色の悪い笑みを浮かべながら1人、厨房で食器を洗う文哉。時刻はそろそろ夕方に差しかかる頃だろうか、最後のコップを洗い終えたところで、不意に店の自動ドアが開いた。来客である。


「あっ、いらっしゃいませ!」


 文哉が慌てて接客に出ると、はたして、そこに1人の少女が立っていた。碧眼、長い金髪、白い肌。典型的な西洋人らしい、整った顔立ちの少女だが、革鎧と細身の剣で武装し、背には少し大きな石弓を背負っている。これは騎士の装備ではない。恐らくはダンジョンに潜って魔物と戦うことを生業とするダンジョン探索者というやつだ。昨夜、簡単にではあるがハイゼンからそういう者たちがいると説明を受けた。


「あ、あああああああぁ………………」


 文哉のことを見るや、少女はいきなり目に涙を溜めて、言葉にもならない声を洩らし始める。


「え? あの……お客様?」


「あああッ! ああああぁ……ッ!!」


 困惑しきりの文哉が声をかけると、少女は遂に声を上げてわんわんと泣き始めた。


※西村西からのお願い※


ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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