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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

賽銭泥棒

作者: ヒロモト

春。深夜。俺は賽銭箱に棒キレにガムを着けた物を突っ込んだ。底が浅くて賽銭泥棒するにはちょうどいい。収穫は170円。

この神社は当たりだな。林の奥にある管理者のいない無人神社だ。不法投棄のゴミが山になっていて臭くて汚い。こんな。もう神さんも見放した様な神社にとりあえずで賽銭を投げるバカもいるんだな。コーヒーでも買って帰ろう。


夏。二回目の来店。いまいちだ。55円。棒を突っ込んだ時にぬめっとした感触があった。苔のようなもしくは脂身のような感じ。

この賽銭箱に金を投げてるのは一人だろうな。一人が投げた賽銭を俺がもらう。ご苦労さん。

林の中なので虫の声がうるさい。虫はいいとして野良犬や野良猫の声はちょっと怖い。

55円じゃはなにも買えない。まぁ金に困ってる訳じゃない。趣味だからいいか。


秋。

深夜なのに先客がいた。男は雨だというのに傘も指さず賽銭を投げて熱心に祈っていた。

俺に気がついた男は俺に話しかけてきた。めんどくせー。


「バレたいのにバレない。皮肉ですね。私もあなたも」


何をいっているか訳が分からないがとりあえずうんうんと適当に返事をしといた。


「あなただけが頼りです。近い内にお願いしますね」


ずっと何言ってるか分からねぇよ。男が去った後。俺は棒を賽銭箱に突っ込んだ。ああ。雨水が貯まってるのか?底がグチュグチュになってるよ。

23円?ケチだなぁ。


冬。

俺は警察に殺人の容疑で勾留された。

賽銭箱の中にいたのは170センチ55キロ23才の女。

付いてたけどついてねえよ。この日棒キレの先端にくっついて来たのは金じゃなくて女の目玉だった。

警察が言うには春から夏の間まで女は生きていたらしい。

下着姿で目と耳と口を塞がれて。

餓死だったそうだ。

俺が通報したのに俺が捕まるって何だよ。賽銭箱には俺の指紋しかなかった。だからとりあえず俺を捕まえておけって事かよ。

あの男の話をしても信じてもらえない。


『バレたいのにバレない』


冤罪はこうして生まれるんだろうな。




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