表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラザーズアローン ~世界に選ばれざる《独り》の兄妹~  作者: flyas
第三章 覚悟を決めた先で
63/386

060 見えない力

「……準備、できました」

「おう」


 海に向き合っていたライアスが振り返ると、フライアとイリューアの二人が落ち着かない様子で立っていた。

 ただし、その服装はがらりと入れ替わっている。


 イリューアはフライアの服とローブを身に纏い、フライアはイリューアの鎧と額当てを身に着けている。


「あー……なるほどな」


 笑ってはいけないと思いつつ、ライアスは目を細めながら呟いた。


 イリューアは裾が短すぎてお腹が少し見えているし、フライアは鎧全体がずり落ちてしまっている。靴までは入れ替えられず、足元を見てもやはりちぐはぐだ。


「サイズ合ってない……」

「や、やはり、変ですよね? こんな様で歩いていたら怪しまれるのでは?」


 イリューアはしきりに自分の腰回りを確認している。

 なにしろフライアとイリューアでは身長が十センチほど差がある。こうなるだろうなと、ライアスはある程度予想していた。


「暗い中だったら気にすることもないだろうよ。それに、イリューアはクルサに来たことないんだろ? 知り合いでもいなかったら騎士だとは思わないだろうよ。それに、そのローブはフードもある。うまく隠せないか?」


 イリューアは不安そうに眉尻を下げる。

 フライアはそんなイリューアの背後におもむろに回り込み、背中に垂れた髪の毛に手を伸ばした。


「うーん、と」


 手櫛でイリューアの髪を整え、長い後ろ髪を胸元の方に垂らす。

 さらにフードを頭に被せフライアの杖を持たせる。


「うん!」


 納得したようにフライアが頷く。いかにもヒーラーといった雰囲気が出て、騎士としての面影は残っていない。


「なんだろうな。神秘さと凛々しさと子どもっぽさが共存しているこれは……」


 様変わりしたイリューアの姿にライアスが思わず呟き、フライアがそんな兄の肩をスパンとはたいた。


「何か言いましたか?」


 ジロリとライアスを睨みつけるイリューアにライアスは慌てて両手を横に振った。


「なんでもねえよ。じゃ、早く行こうぜ。船に乗り遅れちまう。さっきの干し肉は食いながら行くぞ」

「あ、あ、待って!」


 そう言ってライアスが逃げるように先を急ぐ。イリューアはなおも短い裾の腰回りを気にしながら、その後を追っていった。


 日が暮れ、夜の帳が辺りを青暗く覆っていく。

 ライアスは甲冑を着込んだ妹を憑依させ、ローブを羽織ったエラセドの騎士を伴いながら、クルサに向かって走り出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ