第二話 girlside
今日は赤坂高校入学式。
「1年B組の担任になった三井悠だ。宜しく。」
三井先生は昨年この学校に着任してきて、一番若くイケメンと評判の先生だった。
「じゃあまず男子の出席番号順で自己紹介を始める。」
「まず、天野!」
「天野輝です。音橋中でした。陸上部に入りたいと思っています。」
少し茶色がかった髪の毛は彼の可愛らしい見た目を引き立たせている。
まあ一言で言うと『天使』だろうか。
女子達が騒がしくなってきた。後ろの女子も「可愛い!」と連呼していた。
「女子達は静かに。次は……」
特に何事もなく五人目まで続いた。
そして六人目。
「次は椎名!」
“爽やかに揺れる黒髪”
私は現れた人物を見て、目を見張った。
一瞬の沈黙後、女子達の黄色い悲鳴が教室に響く。
だがそれもあまり気にならなかった。
(書店であった人だ。偶然……?)
私はそれで頭がいっぱいだった。
「椎名陽。音橋中。」
うるさい女子が面倒臭いとでも言わんばかりに短い挨拶で済ませて席に戻って行った。
女子の心をがっちりと掴んで。
「次の人が困ってるから、静かに!」
先生が注意するも興奮が冷めない様子である。
結局、騒がしいまま私の番になった。
「次は雪野!」
「はい。」
席を立って前に出る。
途端に教室が静かになった。
不思議に思いながらも自己紹介を始める。
「雪野笑です。双葉中学校でした。宜しくお願いします。」
礼をし頭をあげる、その時彼と目があった。
彼も驚いてるようだった。
「ねえあの子ちょっと可愛くない?」
と注目されていることにも気付かず。