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第一話 「新生エバン・ベイカー」

 ーー俺、佐山優斗は異世界に転生した。


 この世界は剣と魔法、魔物や魔王などが蔓延るファンタジー世界。


 転生した一年くらいはワクワクが止まらなかったか。一応オタクな高校生だったからな。


 なぜかはわからないが、幸運にも前世の記憶をもって来れたらしい。


 これはもう勝ち組というやつではないだろうか。


 何で転生したのかは知らん。


「エバーン、ちょっとこっちに来てくれないかー?」


 おっと、そうだった。


 俺の名前はもう「佐山優斗」ではなくなっていた。

 新たに名前を貰ったのだから自己紹介しなければ。


 俺はエバン・ベイカー。


 ベイカー家の長男として生まれた。転生してからもう10年は経っている。兄弟が欲しかったが、俺は一人っ子らしい。まあ欲張りはしないが。


 転生先はこの大陸の首都である『アルセルダ王国』から少し離れた村『イーリッチ』。


 どうやらこの世界には地球と同じように、主力国家がいくつか存在しているらしい。


 俺はその中でもテンプレの平凡で静かな村に生まれ、生活していた。


 昼食を食べ終え、俺の名前を呼ぶ父親の所へ向かう。


「エバンよ、明日が何の日かは知っているな?」


「……? いや、知らないけど」


「明日は教会で偉い神様から魔法適正や加護、スキルなどを授けてもらえる日だ!!」


 …いや、初耳だ。


 なぜそんな心躍るビッグイベントを黙っていた?


「お父さん、何でそんな大事そうなことを前日に言うの?」


「でもな、そんな凄い力は誰でも貰えるわけじゃないんだ」


 おい、無視するな。


「何も貰えなかったら、遠慮なく我が鍛冶屋を受け継いでもいいからな! 俺はいつでもお前を鍛える準備はできているからな!!」


 この今熱烈に喋っている男はラバン・ベイカー。

 今世の俺の父親で、37歳の熱血男だ。


 ちなみに母親はサラ・ベイカー。

 …俺が4歳の頃に他界してしまった。


 何らかの病に侵されてしまっていたらしい。

 性格は穏やかで、ラバンとは対の雰囲気だったのを覚えている。


 ラバンは男手一つで俺を育ててくれているのだ。


 それについては感謝しているのだが……。


「俺は魔術師や魔剣士とかになりたいよ。ほら、なんかえっと、カッコいいし」


「鍛治師も十分カッコいいだろ!! 焔と鉄が交わる最高の職だぞ!!」


 ダメだ、俺にはこの熱気耐えられん。


 以前はサラがラバンの熱血ストッパーになってくれていたのだが、最近は少し歯止めが効かなくなってきている。


 そして何故かラバンは俺に鍛治師になるようにやたら勧めてくるのだ。


 ラバンは村の人たち曰く、凄腕の武器鍛治職人らしい。王国からの使命依頼を受けたこともあるとかなんとか。


 実際、この家には立派な鍛治場があった。リビングの壁にもラバンが作ったらしい剣やら盾やらが飾られている。


 それは、まあ凄いよ?


 だがベイカー家は代々受け継いできた武器鍛治師の家系というわけではないらしい。


 単に自分の技術やら何やらを教えたいだけなのではないだろうか。


 嫌だよ、せっかく異世界にきたんだから戦わないと。

 魔法とかぶっぱしてみたり、剣で魔物に斬りかかったりしてみたい。


 それに、鍛治師なんて武器作るだけで人生終わりそうじゃないか。


「まあ明日で人生の道が決まると言っても過言ではない! 魔法適正は高い確率で授かることが多いからな!! そうなった時は己の道を歩め!! 魔法を極める魔術師にでも武術を極める戦士にでも何でもなると良い!!」


「そうさせてもらうよ。ていうか、何でそんなに鍛冶屋を受け継いで欲しいの?」


「ん? 特に意味は無いな!! 強いて言うならお前を俺のような男にさせたいからだな!!」


 ……マジかよ、特に意味は無いのに俺を鍛治職人にしようとしてたのか。


 まあ、いいや。 


 魔法やスキルが使えれば、かなりモチベーションが上がるな。今の生活も多少楽になるかもしれないし。


 俺は異世界転生者だし、何かしらの特典は貰えてもおかしくはないだろう。


 高確率で魔法適正をもらえるらしいので、たぶん心配はいらないと思う。


 どうせなら火属性魔法とか使ってみたいなぁ。



**



 翌日の朝。


「さあ!! 行くぞ我が息子よ!! 新たな力を授かりに!! 別に授からなくてもいいがな!!」


「...んあ? あーえっとおはようお父さん。取り敢えず静かにしてもらえる? 二度寝するからさ」


 …朝っぱらからうるさい。


 ていうか、教会に入れるのは昼ごろからとか言ってなかったか?


「さあ!! 起きるんだエバン!! 魔法や鍛冶スキルや加護、鍛治スキルや鍛冶スキルや製造スキルは待ってはくれないぞ!!」


「夕方まで待ってもらえるよ」


 真面目なのかただのバカなのかわからなくなってきたな。


 もう少し落ち着いてほしいものだ。

 鍛治鍛治鍛治鍛治言ってて疲れないのだろうか。


  ……もうこのまま昼まで寝続けてやろう。



**



 俺が思っていたよりも、夢の異世界生活ではなかった。


 まず、当たり前なのだが科学が発展していなかった。


 この世界では、魔法やスキルなどに頼りがちだ。

 あまり必要としていないのだろうか。


 それには現代人だった者には相当来るものがある、ほとんどが手動なので、普通に生活するだけでも大変だ。


 次に、魔属性という連中だ。


 我ら人類その他の種族めがけて攻撃してくる迷惑な奴ら。


 魔属性とは魔王や魔王軍側の魔人、魔獣などの総称のこと。


 そいつらは大昔、その他の種族に被虐を受けたので、その報復を成し遂げたいとかなんとか。


 可哀想だけど、もう少し平和に生きていける道はないの?


 はあ、この世界ではそれが当たり前なんだ。

 もう文句もでない。


 とりあえず昼になったら教会に向かおう。


 チート能力や何やらに期待して今後の方針を今から考えるとしよう。


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