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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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北の魔窟・東ブロック

 元気になった円さんは、一応お医者さんに見てもらい、健康な事を確認すると、

「弥生の結婚祝いに行くよ、連れて行っておくれ!」

子供の頃はお金が無く、働き出したら暇が無く、どちらも出来た頃には体力が無くなり、旅行らしい旅行はした事が無かったそうで、子供のおねだりの視線で攻められると、断わる事は出来なかった。お店は、お弟子さんが充分に対応出来るそうで、いつ引退しても困らないらしいので、たまの休暇なんてへっちゃらみたい。

 魔窟のトンネルが使えないので、借りていた馬車を返して、別の馬車で帰るのがベターかな?コッチで借りたら返しに来なきゃならないから面倒だよね?まずはカトリーヌと二人で、馬車を返しに古の魔窟へ向かった。カトリーヌは馬になっているので、僕一人で乗っている事になる。市街地から魔窟までは30分足らずなんだけど、その短い間に、3台の馬車に囲まれていた。怪しい感じじゃ無く、赤黒の『盗賊狩り』仕様で、たまたま並んだだけかとも思ったけど、降りて来た人達は、迷う余地の無い盗賊だった。前後と隣から4人ずつ、カトリーヌの一声で手綱を取っていた3人は吹き飛ばされ、数人が蹴散らされ、竜になったカトリーヌが一人を咥えて、二人を掴んで急上昇。残り戦力になりそうなのは3人だけ。パワーアップした日光、月光には音が魔力を纏わせてくれていたのでサッと振って魔力刃を飛ばした。二人を倒して残るは一人。黒い力の武器や防具を使っていないので、北国から流れて来たヤツかな?構えで判断すると、結構な手練だろう。スキの無い動きで間合いを詰めて来た。僕は、体型と武器の特性から、更に詰めて懐に入り刀を払い落した。拾いに行く所を峰打ちで鎖骨を砕いて勝負あり。失神した3人をカトリーヌが降ろして、コンプリート。借りている馬車に盗賊達を詰め込んで、都合のいい鎖をクルクルと首に巻きつけるとガッチリ拘束できた。

 そのまま魔窟の出張所に行って、盗賊の報奨金の手続きをして、馬車と馬を残して戦利品を売り払った。馬車を返して盗賊から取り上げた馬車で町に帰った。

「これ3台でゆったり帰れるよ!」

ワザワザ買ってきたのかと、円さんは驚いたので、

「捕まえた盗賊からの戦利品なんです!」

報奨金が振り込みなので貰ってきた、控えの書類を見せると、

「一人で15人も捕まえたのかい?」

余計驚かせた様だった。

「カトリーヌと二人だよ!この子達も手伝ってくれたしね!」

赤黒の3台に荷物を積み込んで、北国を目指した。


 プライベートでは、東国の都さえ出た事の無かった円さんは行く先々で大はしゃぎ。

「子供まで若返れば良かった?」

姉貴は冗談かどうか微妙な感じで呟くと、

「弥生も私位なのよね?今の年齢がいいわ!」

観光しながら、狩りをしながら、たまに盗賊にあったりしながら国境を越えた。身分証明はバラさんにお願いして作って貰っていたので、難無くパス。北国側では、理香さんのお屋敷経由じゃなきゃならないシステムになっているようで、今回もお屋敷にお泊り。ご主人は、骨董品を円さんに見てもらい、想定外のお宝だったり、殆ど価値の無いものだったりと一喜一憂していた。全部がガラクタでも経済的にブレるような領主様じゃないので、大損したのが武勇伝の様に盛り上がっていた。

 今夜はツインで姉貴と同室。カトリーヌ達は理沙ちゃんとお泊り。元々使用人さん達の部屋なんだけど二段ベッドを2台入れて、二人ずつで眠るみたい。理沙ちゃんの今の目標は、猫に変身することなんだって。

 姉貴は二人になると、

「ちーがウチの店に来ていなかったらアタシ、今頃何してたのかな?」

「極秘任務っておっちゃん達と黒い力の組織を攻めた時に『はじめまして』だったかもです!」

「協会離れて長かったからね、お呼び掛からなかったわよ。」

「このピアスが無かったら、あんな無茶しようと思わないでしょうから、きっとあのままね、あれはあれで悪く無かったけどね。」

「僕等のせいで死にかけた姉貴を僕等が助けたなんて、おかしな話しですね!」

「そうよ、大変だったんだから!」

姉貴は笑って、僕のベッドに乱入。ギュッとハグしてそのまま眠ってしまった。

 テントや大部屋が多いので、こう言う時には大抵、えっちな話題になるので、今日もどうしたら良いのか困っていたけど、意外とすんなり寝てくれたのでホッと出来た。安らかな寝息を聞きながら僕もウトウトし始めると、姉貴の寝息が安らかじゃなくなって、気付くとベッドが小刻みに揺れていた。気が付かないフリで、一睡も出来ずに朝になっちゃった。

 

 北国の東ブロックの魔窟がここを拠点に回るのが便利とご主人が勧めてくれたので、2泊3日の小遠征を2回で6箇所、帰りがけに2箇所でクリアの計画にした。円さんはお屋敷に残って、理沙ちゃんの家庭教師をして貰う事になった。来年、学校に上がった時に困らないよう、魔法の基礎を教えるらしい。残念ながら、猫になる魔法は円先生の守備範囲ではないみたい。


【東ブロック小遠征その1】

初日  出発、移動ー宿泊

2日目 攻略ー移動ー攻略ー宿泊

3日目 移動ー攻略ー移動、帰着


 お屋敷で休息。理沙ちゃんの勉強の成果に驚いた。円さんは元々教育関係の仕事をしていて、母さんが小学生の時、専属で習っていたそうだ。因みに、学校に入るまでは弥生さん(ばあちゃん)、中学生の時は師匠(じいちゃん)だったそうだ。


【東ブロック小遠征その2】

初日  出発、移動ー宿泊

2日目 攻略ー移動ー宿泊

3日目 攻略ー攻略ー移動、帰着


 全ての魔窟が最下層まで攻略済みで、お宝は無く、これと言った収穫は無かったけど、あらたが進化したのか、登鯉が進化したのか、魔力刃が撃てるようになっていた。円さんに武器の手直しをして貰ったからだってあらたは言うけど、円さんは、そんなに顕著な効果は無い筈って言ってるので、あらたの進化なんだよね?ますます置いてけ堀り感が強くなって来ちゃった。


 残りの2箇所は、都への通過地点なので、国境のお屋敷とはお別れ。すっかり円先生に懐いた理沙ちゃんの涙を堪える姿に、ウルッとしながら馬車を進めた。


【東ブロック小遠征その3】

初日  出発、移動ー攻略ー移動ー宿泊

2日目 移動ー宿泊

3日目 攻略ー移動


 順調に制覇してあとは、宿に泊まって移動、宿に泊まって移動の繰り返し。移動の中には、狩りや盗賊狩りもある、いつもの旅のパターンでアパートに帰った。

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