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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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神器

 お小遣い程度の報奨金と、それだけじゃ悪いと、バラさんは黒い魔石が沢山詰まった箱をオマケに付けくれた。

 まだ間に合う時間だったので、円さんの宝飾店に走った。


「ありがとうございます!おいくらですか?」

円さんはニッコリ笑って、

「加工費が1つ金貨6枚で、使った銀が1つ金貨1枚よ。採って来てくれた魔鉄鉱を金貨250で買い取って、差し引き194だから、キリのいい所で200枚ね。」

金貨の革袋を4つ渡してくれた。そんなに貰って大丈夫なのか聞くと、

「私が加工したら、今回残った分で2箱は稼げるから心配要らないわ!」

有り難く頂いて、水晶玉の会話を確かめた。シリウスゴールドのお陰なのか、前より聞こえが明瞭になった気がした。デザイン性はもちろん、機能性、魔力補助等細部まで拘っているそうだ。もちろん、素材はシリウスゴールドで、最高品質とされる、銀50・魔鉄50との事。

「鎖はどうするの?」

考えていなかったので相談して、ついでに

「鎖って言えば、魔窟で見つけたお宝なんですけど、何に使えるのか解らないんです!」

魔窟のお宝の鎖を見てもらった。

「あら、丁度良く見つけたのね。コレ使っていいかしら?」

「ぜひ、お願いします!」

円さんは手品の様に鎖を伸ばすとペンダントに丁度良い太さになり、ちょっと撚ると、ただの鎖がお洒落なスクリューチェーンになった。プチプチと千切って、8本作って皆んなに配った。各自、水晶玉の枠に通すとチェーンが自然に輪になった。首に掛けるには、頭がくぐる必要があるけど輪になってしまっては長さが足りなかった。円さんは何も心配せずに、

「気にしないで被ってみて!」

セーターを着る様に被るとスルっと通って、元の長さに戻って、丁度胸元に輝いた。

 会話に使おうと思うとまた、ちょっと短いかな?水晶玉を覗こうとすると、丁度いい長さになった。

「これね、『都合のいい鎖』って言ったらいいのかな、長さや太さを自由に変えられるの。デザインとなると、結構難しいっていうかコツが要るから練習が必要ね。まだまだ使えるから工夫してみるといいわ。」

さっきと殆ど変わっていない鎖と、残りの水晶玉にチェーンを通して返してくれた。

 そのあと、僕らの武器を見てくれた。物理的なメンテナンスは合格だったけど、魔力を増幅したり、溜め込んだりする能力を補助している魔術模様や魔法印が、掛けたり薄れたりしているので、修理してくれた。皆んなの武器を調べて、彫刻刀の様な刃物で削ったり金属の粉を乗せて、手のひらで抑えたりして1つ4、5分で完了。最後に僕の『日光』『月光』を見ると、

「あら、セカンドね!私の作品よ。」

「南国で魔王の封印に使われている伝説の神器のレプリカですよね?」

「ううん、ちょっとだけ違うわ。」

円さんは、金庫から刀を出して、

「オリジナルはこれ、封印に使っているのはサード、後から作ったレプリカよ。サードの方が、完成度が高いわね。」

オリジナルは、化石なの?どう見ても、石なんだよね。円さんの説明によると、100年位前に魔王を闘って、封印と引き換えに力を使い果たして石化したのがオリジナルとの事。それを再現しようとしたのが、僕が持っているセカンドで、改良して、更にオリジナルに近づけたのがサード。円さんは、僕のセカンドを入念に調べて、

「充分に、育っているね!」

と言って、オリジナルの上に重ねて置いた。一瞬、眩しく光ると、セカンドは石の様になり、ボロボロと崩れ落ちた。砂利や粉になりそれを払うと、オリジナルが、輝いていた。

「おや、予想以上だね!これだけでも魔王と渡り合えるわ!」

 興奮した円さんは、刀の石粉をキレイにして、状態を確かめて僕に渡した。

「サードには、あなたのご両親が育てた力が宿っているから、今みたいに重ねるとその力もオリジナルが取り込んで、完全復活する筈よ!」

円さんは興奮状態のまま、伝説の神器の解説を続け、その勢いで倒れてしまった。お弟子さんに聞くと、高血圧であまり体調が良くなかったそうだ。風香のヒールで一命は取り止めたけど、僕等が原因で発作を起こしたようで申し訳ないので、例の薬を調合した。

「じいちゃんとばあちゃんに作った分と同じだけ作って、半分使うのがいいかな?」

早速キッチンを占拠して調合に取り掛かった。

 夜通し、風香が手を繋いて、ヒールをかけ続け、皆んなも交代でヒールを続けて朝を迎えた。出来上がった薬を水に溶いて喉に通したチューブで直接胃に流し込んだ。少しずつ、ゆっくり予定の量を流し込むと、スヤスヤ眠っている感じになった。顔色も良くなり、風香が手を話しても安定した呼吸が続いたので、チューブを抜いて、僕らも一休み。ちょっと仮眠のつもりが、朝まで眠ってしまったようだ。

「慈子ちゃん、大丈夫?」

見覚えの無いお姉さんに起こされた。

「あっ、円さん!おはようございます!って今何時でしょう?」

円さんもキョトンとしていて、お弟子さんが答えてくれた。

「朝の8時ですよ、師匠にお薬を飲ませてから、丸1日経ってます。皆さん、魔力も体力も使い果たしたようで、そっとして置きました。」

皆んなは布団に運んで貰ったみたいだけど、僕は円さんの手を握っていて離そうとすると、円さんが苦しそうにするので、そのままで毛布を掛けてくれていたみたい。

「あら?メガネ?ん?」

メガネ無しでハッキリの視界に驚く円さんは、変身の事は気付いていないみたい。変身した弥生さんと、同世代に見えるから、お薬の量も丁度良かったね。皆んなも起きて来て、円さんに経緯を説明した。

「いつ脳が破裂してもおかしくないって先生に言われてたのよね、頭痛や、動悸だけじゃなく、目は良く見えるし、耳も良く聞こえる、膝とか腰とか痛い所もスッとしてるんだけど、どんな魔法使ったの?」

鏡を持って来て、お薬の説明をすると、

「お洋服買いに行きましょう!」

変身を喜んでくれた様だった。

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