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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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ワニ退治

 北国の魔窟を回る。大きく分けて3ブロック、そのうち今回は北の方を攻める。北国は寒さが厳しいので、国の中心部は、地理的には南に寄っていて、北側は広い土地にポツリポツリと集落が点在した状況なので、宿はアテに出来ない。移動距離も結構なもので、北端まで行くと、東国、西国の都より少し遠い位。

 北部の中心的な町、地理的には北国の真ん中辺りが初日の目的地『北央の町』。途中の魔窟は実習生とクリアしているので、移動に専念。但し、赤黒のご利益が無い上、思い切り目立つ銀の馬車は、盗賊が見逃さない方が不自然に思えるので、常に臨戦態勢で過ごしている。

 案の定、人里を離れてすぐに1件目。いつも通りに片付けて、いつも通りに拘束。いつも通りに盗賊の馬車に放り込む。いつもと違うのは、1番の下っ端を充分にビビらせてから逃したのと、協会発行の結界札で馬車ごと拘束して放置、協会に報告して結界札の半券を渡すと回収して、報奨金の手続きや戦利品の換金なんかをしてくれるそう。札の代金で金貨1枚と換金額の5パーセントの手数料が掛かるんだけど、現金や、虫メガネで見て価値のあるものは先に回収して置けばよほどの事がない限り赤字にはならないよね。盗賊の馬車を連ねて通報される心配も無いから安心だし、次のカモが寄って来なくなるのも困る?いや、僕らにとっては困らないけど、『銀の盗賊狩り』を浸透させるには、数を熟した方がいいからね。

 初日は2件片付けて、北央の町に到着。中央から北方面への要の町なのでなかなか活気があった。繁華街にある協会支部に結界札の半券を2枚渡して、宿の情報を尋ねた。近くの宿を紹介して貰って、すぐに宿が取れた。馬車を預けて、繁華街の探索。ラーメン屋さんが沢山あって、どこにしようか迷って覗いて見ると、どこも全員で入れる所が無かったので、3班に分かれて宿から近い順の3軒に入った、僕は音とカトリーヌとプランタン。国の真ん中なので、海から遠いんだけど、ここを通って都に流れるので、海の幸が充実していた。海鮮ラーメンを食べて宿に帰った。風香、ベル、あらた、エテ、オートヌ、イヴェールも同じ頃戻って、ロビーで寛いでいると、姉貴、愛菜、ショコラ、シフォンが大荷物を抱えて帰って来た。

「あたしの部屋で飲むよ!」

泡葡萄酒とチーズやハムを仕入れていた。二次会の買い出しだけじゃ無く、最新の情報が載った地図を手に入れていた。僕らの持っている地図には載っていない道が出来ていたので、少し予定を変えて、明日1箇所だけ西に外れている魔窟を攻めるのが効率良さそうだ。潰れない程度に飲んでそれぞれの部屋に帰った。今日はカトリーヌと2人部屋。最近は風香争奪戦が収まって、風香とエテ、ベルとオートヌ、あらたとイヴェールの組み合わせで落ち着いているみたい。

 お約束の早起きで銀の馬車を走らせた。走り出すとあっという間に人気が無くなり、予想通り?盗賊が登場した。魔法を使えるヤツがいるようで、いきなり魔力弾を撃ち込んで来た。馬車はそれくらいじゃへっちゃらとは予想していたけど、反射した魔力弾は勢力を増して、盗賊の馬車を粉砕した。昨日逃した下っ端が新手を呼んでリベンジのつもりだったのかな?物盗りや人攫いが目的なら、馬車ごと破壊するような攻撃はしないよね?ゴロゴロしている盗賊達をチェックすると、やっぱり昨日の雑魚が混ざっていた。他の盗賊を拘束して、結界札で纏め、同じ雑魚を逃した。

「3度目はないわよ!」

愛菜はそう言うと東雲を振った。死に物狂いで逃げる雑魚は衣類がズタズタになって全裸で逃げて行った。

 午後は何事も無く進んで、夕方には目的の魔窟に到着。受付が出張所を兼ねているので、結界札の半券を渡した。

 宿も食堂も無い集落で、他所から来るのは、魔窟攻略の魔術師だけで、それも数少なく、誰も来ない月もあるそうだ。宿の代わりにトイレと水場が用意してあったので、そこにテントを張った。保存食を食べて、早めに寝袋に入った。

 真夜中に起きて、魔窟に潜った。7階層しか無いので、午前中に済ませる予定。

 予定通り?いや、予定より早く7階層に到着、魔物を始末して、プランタンの出番。猛獣サイズになって、軽快に走り出すと降りてきた階段と反対側で人型に戻った。

「壁の向こうに階段があるよ!」

音が極光の柄で突くと、ガラガラと壁が崩れ、8階層への階段が現れた。

 新規の階層は、黒い力が充満しているのがスタンダードらしく、浄化して、魔物を倒して階段を探す。コレを繰り返して14階層。ずっと楽勝の魔物ばかりだったけど、いきなり巨大なワニが現れた。

 黒い力も格段に濃厚で浄化に時間が掛かるし、結界も張れない状況だった。僕は浄化に専念して、愛菜も白い霧でサポート、ベルは黒いを纏めて刃にしてワニの魔物に撃ち込んだ。ほぼノーダメージだけど、他の皆んなの飛び道具をと合わせて、気を引く事には成功したので、急いで浄化を進めた。黒い力が薄まり、結界が張れる様になると、

「ワニは口を開ける力が弱いんじゃ、閉じた所を結界で縛り付けるのが得策じゃろう。」

「伊達に長生きしてないわね!」

姉貴はベルのアドバイス通り、ワニの口を封じた。

「尻尾も危険だから油断出来んぞ!」

姉貴は口の結界に専念、風香の矢が刺さった尻尾の付け根に白い霧、魔力刃、魔力矢を集中し、黒い力と鱗が剥がれた所をあらたが巨大になった登鯉で斬り落した。

 尻尾が無くなり、バランスが取れ無いのか、殆ど動きが無くなった。背中によじ登って真っ黒だったワニを浄化して茶色にした。やっとトドメと思ったら、体内の黒い力を一気に放出して、姉貴の結界を破って大きく口を開いた。一転ピンチかと思ったら、姉貴は子午棒を伸ばし大きな口から脳天を貫いた。

 ワニは大きな魔石を吐いて息絶えたけど、死骸には黒い力が残っていて、尻尾も含めて浄化すると、かなり気持ち悪くなって来た。

「もう無理しないで!」

姉貴は耐魔繊維の袋に魔石を収め、愛菜は白い霧で残っている黒い力を浄化してくれた。ベルが飛竜で刃にした黒い力は、結晶化しているようで、拾い集めてモルミ液に漬けると溶けて無くなった。プランタンはいつものように下への通路を見つけてくれていた。

 遅いランチで休憩して、気力、体力回復。ワニの魔石を浄化してから、そろそろお宝かもしれない、15階層に降りた。

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