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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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チルドレン

 食堂に行くと、指導係になってから担当したパーティーの女の子が揃っていた。別々に来たみたいだけど、ご近所グルメを聞かれたとき、ここを紹介したので、毎晩誰か彼かとは会っていたから、たまたま重なったみたい。

「慈子があんなに美味しそうな顔で紹介するから、こんなに混んじゃうのよ!」

愛菜はまた不機嫌を装っていた。

 フロアを見渡すと、お目当ての2人を発見。昨日担当した男5女2のパーティーで、男女ともパーティーを分けたがっているけど、女子2人があぶれてしまうので、仕方が無く一緒に居るっていう人達。

「ここ、いいかしら?」

実質1択の質問で相席を強要。戸惑いながら頷くと、さっきの3人と一緒に席に付いた。

 それぞれの境遇を説明して、3人組に居ない、接近戦を得意とする剣士が、目の前の2人だと説明、明日僕らと回って、相性が良かったら移籍することで話がついた。と、言っても僕より2つ上で同い年の5人は直接は面識無かったけど、共通の友人がいたり、お気に入りのお店が一緒だったりして、すっかり仲良くなっていた。もう、明日付かなくてもいい位だった。

 他の皆んなは同じテーブルに座ろうとしたんだけど、実習生達が自分達の席に引っ張って、実習後の成果報告会みたいになっていた。カトリーヌ達もお姉さん達に可愛がられてうっとりしていた。

 おなかいっぱいになってアパートに帰ると、殆ど?いや全員アパートに向かった。古いアパートから移動した人達も女性魔術師ばかりだし、新しく入った人も支部のお姉さんだったな。こんなにいたら満室かな?ばあちゃんに聞いたら、

「応募がいっぱいでね、先に住んでる娘や、ちー達の事考えたら、女子寮みたいにしたほうが安心だろ?お風呂もどっちも使えるだろ?」


 翌日、新パーティー予定の5人と一緒に支部に向かった。初日に潜った魔窟に行くと、アドバイス無しで僕等のスタイルでクリアしていた。もう一組も女子だけの6人組。先の5人を真似て、なかなか器用に熟していた。ポイントを説明するとスイスイ覚えて、教えるのが楽しい位だった。


 10日目でアパートの新入居の21室、32人、8パーティー全員に付いた。

「慈子チルドレンだな、Gランク伝染んなきゃいいけどな!」

おっちゃんはそう言って冷やかすけど、Fだった娘は全員Eに上がったし、Eの娘も何人かDに上がった筈。結局、僕だけがFって事になっていた。

 おっちゃんは、リタイアのあった2日間が協会のルールで無報酬だったのを謝っていたけど、

「戦利品で潤っていたから大丈夫です!あと、女の子が増えて、支部の雰囲気が小綺麗になって、嬉しいです!」

「まあ、そう言って貰えると有り難いな。」

おっちゃんは、埋め合わせだって言って晩ごはんをご馳走してくれた。


 翌朝、アパートの食堂に行くと、増えた入居者でてんてこ舞いのばあちゃんを想定して手伝う積りだったけど、メイドさん?メイド服の女の子が3人、ばあちゃんを手伝っていた。

 初日に辞めた3人で、住み込みで働いて、昼間は交代で支部で働くそうだ。満室になったらじいちゃんとばあちゃんだけでは手が足りなくなるのを想定して、管理人室の奥にスタッフの部屋を用意してあったとの事。各部屋にも小振りなキッチンがあるので、食堂の需要はどうか心配だったけど、家に帰ったら、身体を休める事を優先したい僕等の生活パターンだと、ばあちゃんの朝ごはんは必須アイテムみたいだ。夜も予約して食べられるので、早く帰れる時は、結構食堂利用が多いみたい。

「どうして『ばあちゃん』なの?オバサンでも可笑しいよね?」

新入居の娘が尋ねる。

「うん、ちょっと事情があったんです!やっぱりヘンだから、呼び方考えましょう!」

ん?皆んなに相談したら、僕以外は『弥生さん』が浸透しているそうで、僕も真似る事にした。因みに、じいちゃんは『師匠』との事。

「弥生さん、ご馳走様!今日も美味しかったよ!」

ばあちゃ、、弥生さんはちょっと恥ずかしそうに笑って見送ってくれた。


 遠出になるので、馬車の点検にいつもの馬車屋さんに行って見た。

「おう、ちー坊!お陰で馬車がバンバン売れたぜ、それでな、コレ貰ってくんねえか?」

立派な銀の馬車を指差して、オジサンが笑った。

「竜の鱗を付け替えたら、すぐ使えるようになってるから、今すぐ乗って行けるぜ!」

意味が解からず『?』を浮かべると、

「今度は、銀のレプリカ売りまくるぜ!」

ああ、広告費なのか?

赤黒の馬車に付いていた機能はのそままか、レベルアップして搭載していて鱗を付け替える5分で完了と熱く語るので、カトリーヌに聞いてみた。

「素敵だね!コッチの方が好きよ!」

カトリーヌの了解が出たので、交換してもらう事にした。

「嬢ちゃんのたてがみに合わせて作ったからな、気に入って貰えると思ってたぜ!」

カトリーヌはご機嫌で、鱗の付替えを待った。

 保存食の補充とかの買い出しをして、おっちゃんに挨拶して、明日の出発の準備を済ませた。

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