表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
77/142

アパート

 理沙ちゃん達を送る時に最初に計画した、より安全で全部宿に泊まれるコースを辿る。街道では馬車と行き違う事もしばしばあり、順調に走った。少し気になったのは?赤黒のツートンの馬車がやけに多かった。

「盗賊狩りかもしれんと、狙われない工夫じゃろ。」

確かに、以前カトリーヌのリクエストで古い荷車をペンキで赤黒に塗った時位のクオリティーの馬車も多かった。

「こんなに居たら、ニセモノだと思って襲われる可能性もあるかもです!」

「ちーの言うとおりじゃ、用心するに越したことはないじゃろう。」

そんな事を言っていると、後から赤黒の馬車が追い抜いて、すぐ前で急停車。後にも赤黒がピッタリ詰めていた。どう見ても盗賊のルーティーンだよね?盗賊から逃げたい一般の馬車が、『盗賊狩り』を模して安全を求めた様に、盗賊の方も赤黒を隠れ蓑に使っているようだ。

「お嬢ちゃん達、おじさんがいい仕事紹介してあげるよ、気持ちいい事をして暮らせるなんて夢のようだろ?」

人型のカトリーヌがひょいと馬車を降り、

「おじさん、『盗賊狩り』怖く無いの?」

「ハハハ、迷信だよ!それにね、話に聞く馬車は、半分位が黒なんだって、お嬢ちゃん達のは黒が少ないでしょ?それにね、馬は白!白馬なんだって!」

カトリーヌを捕まえようと間を詰めるとカトリーヌは宙返りをして、

「白馬ってこんな感じ?」

馬に変身すると、一声嘶いた。すると盗賊の馬車を引いていた馬達が暴れだして盗賊達を蹴散らした。ボスらしいのを竜になって捕まえると、急上昇。米粒か胡麻粒位になったら急降下。着陸して優しく地面においた。泡を吹いて動か無くなったボスも含め、いつものように拘束して、馬車3台連なって街道を進んだ。

「馬車がこの色やったら、通報もされへんやろな!」

そう言えば、返り討ちにした盗賊の馬車のお陰であらたに会えたんだった。あの時の盗賊達には感謝して置くべきだね!あと、打ち解けてからのあらたがすっかり南国弁。なんとなく明るいイメージの言葉なので、旅が更に楽しくなった。

 その後は何事もなくホームタウンに戻った。支部は閉まっている時間だったので盗賊達は裏の空き地に置いて、いつもの食堂で遅い晩ごはんを食べて、僕らのアパートに帰った。姉貴とベルとあらたは寝袋で、僕らは二段ベッドで久々の自宅を満喫した。

 朝が来て、朝ごはんを考えていると、ばあちゃんが来て、

「7人なの?14人なの?」

カトリーヌと猫達のご飯が要るのかの質問だった。

「うん、14人!」

「じゃあ、半分ずつ交代でおいで!」

風香の争奪戦が始まる前に、風香とエテ、オートヌ、イヴェールとベルとあらたとカトリーヌを連れて行った。風香の両隣を逃したイヴェールはあらたに貼り付いて、ベルは元々は同世代のじいちゃんと話し込んでいた。皆んな美味しそうに食べていた。

 交代で来たプランタンを見たばあちゃんは、

「あら、三つ子だと思ったら、四つ子ちゃんなのね!」

音、愛菜、シフォン、姉貴、ショコラと僕で後半戦。最近はご馳走続きだったけど、やっぱりばあちゃんのご飯は幸せの味がする。しっかり食べてアパートの建替えの話をした。

「ばあちゃんは、ここで不満は無いし、建替えても何年住めるかわからないだろう?」

「ちーのアパートにして、儂らが住まわせて貰うってのはどうだ?」

「あらおじいさん、賢いわね!相続とかよく解らないから、今のうちにスッキリしていた方がいいよね。」

いきなりトントン拍子に進んで、僕等の空想が現実の物になりそうな勢いだった。取り敢えず、書き貯めたメモとか見て貰ったら直ぐに気に入って貰えた。支部に報告に行くので具体的な話は後回しになったけど、僕等の案に任せてくれる事になった。

 支部に行っておっちゃんに報告。コロニーの件はバラさんから報告済みで、理香さん、理沙ちゃんに帰りも会ってきたことや、赤黒の馬車の盗賊を話をした。

「また、ちょくちょく狩って来てくれよ!あとな、アパートの建替えの件、業者見繕っておいたから、会って見るか?」

岬で話していた事を覚えていて、調整してくれていたようだ。おっちゃんが午後業者さんを連れて来てくれる事になり、盗賊の処置とかの事務手続きを済ませてお昼前に家に帰った。

 じいちゃんとばあちゃんは、空いているワンルームに仮住まい、食堂お風呂を馬車を置いていたスペースに仮設して、半部壊してそこに新しいアパートを建てる計画で決定、あっという間に工事関係の馬車で道路が埋まっていた。早送りの様なスピードで荷物が運び出され、仮住まいの部屋と、いつの間にか出来上がっていた、仮設の食堂とお風呂に吸い込まれていた。バタバタと追い出されると、テントを畳む様なペースで、アパートの半分が、更地になった。

 

 工事の馬車がこんなに来るのは半月位らしいので、しばらく、西国の魔窟を周る事にした。まだ行っていないのは10カ所くらいなので、移動を合わせると、落ち着いた頃に帰って来れる筈。建築に役立ちそうなアイテムをいっぱい拾っていたので、

「コレ、良かったら使って下さい!あと欲しいモノがあれば差し上げます!」

大工さん達は、馬車屋のおじさんと同じような反応で、

「すんげぇアイテムだな!いい家にすっから楽しみにしとけ!」

やっぱりいいアイテムだったらしい。工事をお願いして、西国向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ