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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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ニセ博士

 戦利品を換金して、あらたのお洋服を物色。ほぼほぼメンズオンリーの店しかなくて、寝袋とかアウトドア系をゲットして宿に入った。数件の中で唯一女湯が有る宿で、中では立派な方。ちょっとお高めだけど、いい加減お風呂に入らないともう限界だから仕方が無いですね。

 風香は宿に着くとお風呂場の周りをチェックしてセキュリティの確認。覗きスポットは見つからなかったけど、粘着性の視線を絡めて来る爺さんがいたので、結界で補強して、イタズラトラップも仕込んだそうだ。

 キレイな広いお風呂で、ノビノビ疲れを癒やす。チョエンの襲撃からは、無防備になるお風呂は単独で入らず、入っていない人は、軽く見張るようにしていた。ベル、愛菜、あらた、カトリーヌ、シフォンと一緒に入ると、

「私より控えめな方って、大人で初めてですわ!雑巾(シフォン)やひかりさんの所のお姉さん達のイニシャルの話し、貴女も該当ね!」

そう言えば、シフォンは愛菜()バカ()になったら、Bになれるって言ってたし、ひかり(H)さんが変身したらどんなになるか心配って言うか、期待してたんだよね。そんな説明をすると、

「せやな、ウチ、オールAやで!赤坂(AAAA)あらた(AAA)や!その話しやったら呪いの名前やね!(おとこ)に変装するには便利なんやけどな、あらた(おんな)の場合、貧相やなあ。」

鏡の前でターンして再確認して、陽気に笑い飛ばした。

 男の子だと思って見ていた時はかなり小柄に思えていたけど、女の子としては158センチって、どっちかと言えば大きい方だよね?(どれみ)とかが一緒だと目立たないから、ちょっとビックリ。身長よりも驚いたのは生粋のアスリート体型で、腹筋が割れてた。

「男と同じ力仕事やトレーニングやってたからかな?てか、慈子だってスジ入ってるやん!」

「えっ、僕プヨプヨです!」

「いつの頃の話しですの?タップリなのはここだけじゃない!」

愛菜は僕の膨らみを揉んで、

「ソロソロ交代ね!」

さっさと脱衣所に行ってしまった。

 ロビーで姉貴達と交代すると、少し離れて座っていた爺さんがさっと外に出た。『これから覗きですか?』とは聞けないので放置した。3人が上がって来ると風香は、

「やっぱり、あの爺さん外行ったでしょ?」

姉貴と風香と3人で様子を見にいくと、塀に昇って窓に近づこうとして固まっている爺さんを見つけた。あと数センチで覗けそうな所で、動けない様だった。宿の人に言って通報して貰った。覗きは未遂だけど、柵を壊したり、花壇を踏み荒らしたりしているので、そっちでも充分捕まえて貰える筈。そのまま放置して部屋に入った。

 ご馳走は北国風で懐かしい味だった。あらたのご両親は南国出身で、馴染みの無い味だった様で一品一品食べながら百面相していた。だいたい気に入ったようだった。

「ウチ、北国料理、大好きや!麦酒もええなあ。」

地元の支部のパーティーで飲んだ時は、常温で、原液かそれに近い濃さだったので舐める位がやっとだったけど、薄めて氷で冷やすとなかなか美味しく感じられた。

 ベルは14歳設定なので1年は我慢だね。

「元々そんなに呑兵衛じゃなかったでのう、そんなに辛くないんで、気にせんでおくれ。」

そう言っていたけどちょっとだけ寂しそうだった。僕もお茶に付き合う事にした。ベルは、お酒の種類や飲み方が時代よって変わって来た事を説明してくれて、オツマミは何がいいとか色々教えてくれた。

 協会の人が来て、

「不法な拘束は困りますね、ご同行頂いても宜しいでしょうか?」

「宜しい訳無いじゃない?」

姉貴が噛み付いた。

「任意じゃ無く逮捕にしましょうか?」

「あら?魔族に睨まれて、お漏らししていた坊やが鼻息荒いわね、力ずくで連れて行く?」

姉貴は結界で協会の人を拘束した。どうやら姉貴がって言うか、永吉さんが隊長の時に新人さんだったようで、恥ずかしい失敗談を連発した。

「結界で大動脈塞いじゃおうかしら?」

「えっ、恵比寿隊長?」

「思い出してくれた?」

拘束を解かれた協会の人は、姉貴の前で平伏した。今、塀の上で固まっている爺さんは、小鬼研究の第一人者で文京鹿雄(・・・・)と名乗って、僕らが角無しで、駆除の為に調査していたと言っているらしい。

「ほう!文京博士とな?儂も会ってみたいのう。」

覗き未遂現場に行くと、塀の上の爺さんは、博士になりきって拘束の解除を言付けた。ベルの記憶では、研究所の倉庫番をしていた男で、

「数年前、覗きで捕まってクビにした村田なんとかっていうヤツじゃ。」

愛菜は懸賞金一覧で探して、人相描きが無い雑魚の中に名前と背格好が記載されていた。

「覗きの常習犯ですの、銀貨5枚にしかなりませんわ。」

爺さんの持ち物チェックをしたら、文京鹿雄のニセライセンスプレートと本人のライセンスプレート、塀や目隠しを壊したときに使った、ナイフとか工具が発見された。博士がベルになった時、便宜上文京鹿雄は亡くなった事にしちゃったので、なりすましを思いついたらしい。協会の公認で尋問(拷問?)でなりすましでの悪さを確認しすると、ここに来る前も覗きをしていたようなので、コロニーを片付けたら、村田のジジイを引き回して博士の名誉回復をしつつ、あらたのいた出張所に戻って借家を引き払う事にした。

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