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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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コロニー殲滅

「逃げたわね!」

愛菜は更に山奥を見て呟いた。新は地図を開いて、

「隣のコロニーからの偵察かな?ここの巣の規模と倒した小鬼の数から見ると、他所の巣の奴らですよ!」

続けて地図を指して、隣のコロニー攻略の案を話し始めた。

 獣道を戻って馬車で移動し、次のコロニーへ最短距離のところから山に踏み入る予定だったけど、偵察に来れるって事は、こっちからも行ける筈で行ったり来たりするよりは遥かに近いので直接向かうのもアリとの事。

「地図が当てにならないから、険しい道だと思うけど、こっちの方がいいと思うんだ!」

「お主の勘じゃな?」

新が頷くと、

「儂も賛成じゃ。」

全員一致で新の作戦に乗った。

 思った程は険しくない獣道や藪を漕いで暮れる前に、テントを張れるスペースを発見。愛菜センサーも反応は無いのでそこを宿にした。結界の中で煮炊きして、ひっそり夜を明かした。

 当然のように朝日と共に起きて、次のコロニーを目指した。今度は予想通りに険しい所、決して道とは呼べない所を通過して崖をよじ登ったら小さな洞窟があり、入口はほとんど朽ち果てているけど明らかに人の手による壁があり、ただの獣道じゃなく整備されていた感じの道が繋がっていた。

「ここです!」

新は地図を広げて、

「コロニーができる前、狩人や人参取りが休める山小屋だった所です!」

左に少しで目指していたコロニー、右に数時間で別のコロニーがある筈。早めのランチにして、洞窟を仮設基地にする事にした。僕と新でお昼の支度をしている間に姉貴が手本を見せながら洞窟の大掃除。雷魔法で中を眩しく照らすとコウモリとか暗い所を好む動物や虫が逃げ出した。朽ちた壁を壊して燃やし、水魔法のシャワーで洗い流し、風を送り込んで乾燥。ご飯ができた頃にはすっかり片付いていた。左のコロニーを叩き、ここに戻って一泊して、明日右のコロニーを潰す予定。落ち着いてランチして左に向かった。

 整備の面影が残る道は直ぐに普通の獣道になり藪を漕いでコロニーに到着。愛菜はセンサーに掛かった見張りを魔力弾で処理、入口付近で恒例の二重結界で雑兵を処理。サクサク片付けていたら黒い力の鎧とマサカリを持ったデカイ奴が現れた。雑兵処理とデカイ奴を相手にするのは慣れていないので、僕がデカイのを二重結界から離れるよう誘導しながら戦って、ザコの始末を待った。途中、ザコの目処がたって、風香と愛菜が応援してくれて無事に倒した。

 昨日のコロニーと比べて規模が小さく、洞窟は1つで、隅っこに交尾の仕切があり、メスだけ7匹残っていたを子午棒が7回光って制圧完了。メスとデカイ奴だけ耳を取って、あとは焼却。あっという間の完了だった。

 仮設基地に戻ってもまだ3時前。あまりにも時間があるので、次に進もうか迷ったけど、

「次のコロニーまで、まともにテントを張れるスペース無い気がします!」

新の勘に乗って、少しのんびり休む事にした。

 お茶を淹れておやつにしてお喋り。

「俺、ちょっと・・・」

トイレかな?女子ばかりで行き辛いのかな、ゴソゴソ藪に入って行った。

 しばらく帰って来ないので、

「長いのう、様子を見てくるか。」

藪の中で立ち上がった新を見つけ、

「大きい方じゃったか、スマンスマン、事故では無いかと思ってな。」

無事二人で帰って来た。

 お互いの身の上話をしたりしてのんびり晩ごはん。これで温泉でもあれば最高なんだけどね!冷凍しておいたイノシシで焼き肉。おなかいっぱいになって早めに寝袋に入った。

 翌朝、朝日と共に起きて、おにぎりを齧って出発。整備の名残りが有る道を進んで、お昼もおにぎり。休憩もそこそこに再出発。1時過ぎにコロニーが見えてきた。恒例の見張り潰しから始まり、二重結界でのザコ処理、洞窟に入ると、魔窟のような階層構造になっていた。各階層にザコがわんさかいて、都度処理してまた潜る。角無しの比率が高くなって来て、4階層では全部が角無しだった。5階層には角無しのデカイ奴がゾロゾロ、苦戦を覚悟していたけど、鎧だけで、兜を外しているのがほとんどだったので、飛び道具で瞬殺。残りは1匹で、

「ではそろそろ『登鯉(とうり)』の試し斬りじゃな。」

新は、正面で間合いを詰めずに突いた。届かない筈の刀が巨大化し、鎧ごと貫いていた。黒い力がどうこうってレベルじゃなく、物理的に破壊しちゃった感じで、新本人が1番驚いているようだ。

「ウチが・・・オ、俺が殺ったんだよね?」

 耳を回収して、次の階層に降りた。デカイ奴の次は交尾のスペース。だいたいのお決まりなんだけど、ここはでは僕らに気付いた奴がいて、警報らしい声を上げると、オス達が飛び出て来た。ほぼ人間の姿で全裸の角無しは、股間も交尾中そのままで、直視したくない状況だったけど、サッサと倒すのが手っ取り早いので、割り切って斬り伏せた。1人2、3匹で余裕だったけど、全裸の角無しに嫌悪感を1番現していたのが新だった。耳の回収をしていても、仰向けで倒れている奴は、あからさまに天井を向いていたりして、僕らよりずっと乙女っぽく見えた。メスの始末を姉貴とベルが済ませ、地上を目指した。

 まだ陽は落ちていなかった。


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