妹騎士
パーティーを終え、僕達はゲスト達を送り、支部長に挨拶に行った。
「し、支部長!」
「おっちゃんでいいって!酔ってるか?」
「ううん、あんまり美味しいと思えなくて、舐めた位だよ。」
「飲み潰して襲うのも古典的な手口だからな、少しは飲めるようにしておけよ。」
奥様はお茶を淹れてくれた。
「あの鎧なんだがな、モノはいいんだけど、縁起が悪いから、話を聞いてイヤじゃ無かったら貰って欲しいんだ。」
おっちゃんは昔話を始めた。
「魔族の狙いは姉姫だ、東の塔を固めろ!」
西国の城に魔族が攻め入った。騎士隊長は、魔族を斬り倒しながら第一王女が暮らす東の塔を登った。姫の部屋まで登ると、ボスクラスが居ると思ったが上に行くにつれ雑魚ばかりになった。
「不味い、西だ西の塔だ!」
残していた手勢は、多勢に無勢だが、かなりの魔族と刺し違えていた。魔族と部下達の屍を乗り越え、第二王女の部屋にたどり着くと既に扉は破られていた。部屋の中には魔族とメイドの死骸が転がっていたが、妹姫を護る結界は活きていた、魔族が4体、姫の警護の女騎士を犯している最中だった。魔族が人間の女性を襲う時は、身動き出来ない程度の怪我を負わせ、犯しながら、衰弱を楽しみ、抵抗しなくなったら首をもぐ。結界が活きて居ると言うことは、四人の中の誰かは生きている、急いで魔族達の首を落としたが、両手をもがれた女騎士は、
「ごめんお兄ちゃん、姫様に怖い思いさせちゃったよ。」
結界は解けてしまった。
第二王女を部下に任せ、騎士隊長は女騎士とメイドの腹と裂いた。妊娠した場合、母体が亡くなっても、魔族ハーフは子宮を喰らい、内臓を喰らって産まれて、殺戮を繰り返す。成長して『小鬼』となって災いの種になる。その防止に、魔族に襲われた女性は子宮を取り出し処分する。火葬は罪人の処置なのでなので、土葬するにはそうするしかない。幼い頃から生活を共にしていた騎士達を一度に失った妹姫は、病に伏せた。
「この人がお城から連れ出してくれなかったら、狂い死にしてた筈ね。」
「それでな、妹達にあつらえていた鎧が宙に浮いたって訳だ。これを着けていたら生きていたかも知れんって、要らない鎧を後生大事に取っておいたんだ。」
「って、その騎士隊長っておっちゃんなの?」
おっちゃんは頷き、
「妹姫って・・・」
「私なの。そして私を護って亡くなった4人はうちの人の妹達なの。」
「おっちゃん、そんな大切な物、頂いていいの?」
「おう、イヤじゃ無かったら使ってくれ!」
愛菜、風香、音も是非使いたいと、お揃いで使わせて貰う事になった。
「で、お姫様はもう元気なの?」
おっちゃんは派手に頷いたが、奥さんは俯いた。取り敢えず触れない方が良さそうなので、鎧を頂いて家に帰った。