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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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お兄さん達の力

 道無き道を登って、コロニーの入口に辿り着く、これだけでも結構な労力で日はかなり傾いていた。途中、小鬼の襲撃があったけど組織だった見張りとかじゃなかったようで、迎撃部隊が来る事は無かった。

 本人達の希望で、合図が出るか、ピンチになるまでは、僕らは手を出さず少し離れて結界で隠れている事になっていた。3人は洞窟の入口付近にミルクを温める竈を作り始めた。

「上!」

愛菜が叫ぶ、風香は3人を結界で護り、姉貴は魔力弾で落とされた大岩を砕いた。ただ、岩は、まだ岩のサイズで落下を続け、結界ごと3人を生き埋めにした。

洞窟から湧き出る勢いの小鬼達を飛び道具で減らす、猫達は魔物サイズになって、加勢してくれた。カトリーヌは人型のままで、

「お兄さん達が埋まってる所まで連れて行って!」

パッとネズミになると、エプロンのポケットに入った。救出するつもりだね?打ち合わせの余裕も無いので、取り敢えず言う事を聞いて小鬼を斬りながら突き進んだ。現場に付くとカトリーヌはポケットから飛び出て、岩の隙間に潜っていった。粗方の小鬼は片付いたけど、岩がゴロゴロして隠れる所がいっぱいなので、なかなかスッキリ出来ず、一旦最初に待機していた所に戻ろうとしたら地面がグラリ。竜の姿に戻ったカトリーヌが岩を吹き飛ばしながら現れた。埋まっていた3人も元気に飛び出して来た。全員で一旦引いて体制を立て直す。カトリーヌが人型になって着陸、猫達も戻って来た。

全員揃ったので結界を張って一休み。

 小鬼達は、僕らが旗色が悪くて撤退したと踏んだようで、まだこれだけ居たんだと驚くほどの軍勢で襲ってきた。二重の結界で小鬼の壁を作り、しっかり処分した。追加の小鬼が出なくなったので、洞窟に進んだ。浄化を始めると、この洞窟も奥への通路を黒い力で武装したデカイ奴が護っているのが見えて来た。

「ちょっと、待って貰って良いか?飛龍の技を試してみたいんじゃ!」

ベルは飛龍を最上段に構えると洞窟の中の黒い力が渦を巻いて剣に絡んで来た、様子を見ていたようで、10倍位の黒い剣になると一気に振り下ろした。黒い剣は渦を巻いて、デカイ小鬼を襲った。防具がどうのって話じゃ無く、岩壁に叩き付けられて動かなくなっていた。浄化の続きをして、薄明るくなると、デカイのは3匹いて、揃って壁に貼りついていた。

 次の空間は、小部屋がいくつもあって、交尾のスペースらしい。1つずつチェックして、小鬼を潰していく。オス達はさっきの戦いに参加していたらしく、小部屋にはメスしか居なかった。14匹全部始末して、更に奥が無いか調べた。行き止まりなのを確認して、元の空間に戻った。門番の居ない通路がいくつもあるけど、オス達の居住スペースらしい。全て空っぽなので、今回のミッションはクリア。もう夜なので、ここでキャンプだね。保存食で空腹を満たし、結界とテントを張った。

「この巣の大きさで、あの量は多過ぎじゃ、近くに別の巣が有りそうじゃな。そこの奴らが皆んな来てたならいいんじゃが、そっちに残ってたら夜中攻めて来そうじゃ!」

ベルはそう言うと、テントを出て作業を始めた。数分後で戻ると、

「まあ、こんなもんじゃろ。」

罠を仕掛けて来たそうだ。


 朝になってテントを出ると、罠に小鬼が掛かっていた。20匹位かな?ベルは、サクサク処分して、残った3匹を雷弾で眠らせると、首に何かを結び付けた。ヒールで起こすと、片手を斬り落として、逃げるように威嚇した。洞窟から離れて行く小鬼達を見て、

「やはり、他に巣があるようじゃ。」

簡単な朝ごはんを済ませ、小鬼を追跡する。足跡と血痕を頼りに尾根を渡った。手掛かりが無くなるとベルは何かの呪文を唱えた。見通しの効かない森の中から赤い煙が三筋上がった。

「間に合いそうじゃ。」


 煙の上がった所は小鬼の溜まり場のようになっていて、それ程知能の高い小鬼は居なかったようで、逃げて来たヤツらが首におかしなモノが付けていても、そこから煙が立ち昇っても、危機感は無かったようで、僕らが到着してもまだダラダラしていた。十数匹かな?半分位倒して残りを追い掛ると、小さな洞窟に案内してくれた。

「ハズレかのう?」

ベルはガッカリしていたけど、プツと膨らませた頬がとてつもなく可愛らしく見えた。

 ひとまず結界で入口を塞いで、ランチタイム。お兄さん達は地図を確かめ、空白に大きな『?』が書かれた場所にいる事を確認していた。

「合図の前に手を出しちゃってゴメンね!」

姉貴が一応一言。

「いえ、いえ、あのタイミング、一瞬でも遅ければ、僕らは生きていませんよ!」

客観的に見るとそうなんだけど、あんなに落ち込んでいたからね、リップサービスだね。

「なんか、格が違い過ぎって感じちゃって、落ち込んでたのが馬鹿馬鹿しく思ったら、楽しくなったんだ!仕事はきっちり片付くし、こんな山奥でもご馳走が食べられるなんて普通あり得ないよね!」

四季の姉さん達に習った保存食料理はお兄さん達にも好評だった。午後は連携で攻略する打ち合わせをしながら、腹ごしらえ完了。

 さて、洞窟を攻略。小さな洞窟に見えるけど、中が広くていっぱい居る可能性も、有るのでミルクでのおびき出しからスタート。小さい洞窟(・・・・・)では無く、小さい入り口の洞窟(・・・・・・・・・)だったみたい、次から次へと小鬼が湧きだした。3桁が見えて来た頃、ようやく新手の出現が止まり、洞窟内へ攻め入った。僕らでもゆったりの通路は、S字に曲がっていて、大きな空間に繋がっていた。

 ここの所、定番化している(?)黒い力の防具を着けたデカイ奴は居らず、下へ降りる通路があった。残党を確かめつつ、浄化しつつ更に下へ降りた。魔窟の様な階層構造になっているのかな?途中の階層からは、降り口に結界が張られていた。愛菜が赤く光る東雲をマスターキーの様に使うので、スイスイ20階層を突破。

「今の結界は、結構しっかり張れてましてよ!」

苦労した様には見えないけど、気を付けなくちゃならないね。

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