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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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ベル

 早速変身の準備をする。姉貴は蛍先生のママ?パパ?ひかりさんを変身させた経験があるので、自信満々。ただ博士はご高齢なので、変身した途端に老衰死ってのも考えられるので、予め若返ってもらう。姉貴自身の時を参考に若返りの薬を飲んで貰ったんどけと、予測より若返っちゃったんだよね。一応前回と同じ分作って、全部飲んで貰った。10分程で反応が始まり、

「眼鏡が要らんわい、腰も忘れる位の大昔みたいに快調じゃ!」

「では、そろそろ。」

 姉貴は、慎重に準備をして博士に魔法を掛けた。ふた周りくらい縮んだ博士は、しっかりおばあさんに変身した。変身前のおじいさんの時と、老けたのかどうか比較は難しかったけど、姉貴の時みたいに、ドンドン歳をとる感じではなかったので、変身自体は成功みたいだね。

「じゃあ、博士はこっちのテントですね!」

姉貴と博士と僕でお泊り。愛菜、風香、音でひと張り、それと今日ほとんど活躍していない男性陣でひと張り。

 翌朝、お日様よりも早く、女の子の悲鳴で目を覚ました。大声の主は博士?中学生位かな?小学校の高学年位かな?テントは結界で閉ざしているので、姉貴と僕以外は、博士しかありえないよね?

「博士?」

「ああ、儂じゃ。効き過ぎじゃろ?薬。」

衣装ケースから僕のお洋服を出して、可愛く変身した博士に着せて一緒に日の出を待った。お隣のテントも目覚めたようで、3人が出て来て、博士の変身を喜んでいた。

「ねえ、お名前は?」

風香は、すっかり女の子とお喋りするスタンスで聞いた。

文京(ぶんきょう) 鹿雄(しかお)じゃ。」

「女の子の名前付けましょうね!」

「そうじゃな、こんなミテクレで博士とか、鹿雄は釣り合わんからのう。」

 命名会議が始まった。本人希望があれば即決なんだけど、思い付かないそうだ。

「元カノとか、初恋の人とかは?」

「幼い時分に、姉が襲われた現場に居合わせて、トラウマっていうのかな?男女関係が性的暴行にしか思えなくてな、おなごを異性として好いた事が無いんじゃ。」

暫く頭を抱えてから、

「ほう!思い付いた!『ベル』はどうじゃ?姉が飼っていた小鳥の名なんじゃ。おなごの名じゃろ?小鳥はメスじゃった!」

皆んな賛成して決定。カトリーヌは何か言いかけたように見えたけど、言葉を飲み込んだ。賛成しているみたいだから気にしないけどね。

 山を降りる。ベルのお洋服は僕ので何とかなったけど、靴が合わない。姉貴は魔法で博士の靴を縮めて用意したけれど、直ぐ靴擦れになってしまった。ヒールを掛けて、何とか降りたけど新しい身体のコントロールが上手く出来ていないのが原因の様子。カトリーヌが竜に戻って、馬車まで飛ぶ事にした。新しい身体では剣の扱いも不安なので、安全の為姉貴も一緒に行く。猛獣サイズではお兄さん達がビビって、ペットサイズでは歩き辛くて人型で苦戦していた猫達も飛んで行った。

 僕も飛んで行って3対3にすれば良かったかな?初めて会った時のお兄さん達はかなりグイグイって感じだったのに、だんだんパワーダウンしちゃっているんじゃないかな?今朝は、おはようの挨拶ぐらいだったよね。

 なにも起きないうちに、馬車の所に到着した。3時間位かな?姉貴はベルに新しい身体で扱う剣術のレクチャーをしながら、ランチの準備もしてくれていた。ごはんを食べて、昨日の町に戻った。僕はお兄さん達と、支部に報告に行って、姉貴は、ベルの剣を物色に武器屋さん。他の3人はベルを連れて靴屋さん、それからお洋服をみたりお買物を楽しんでいたそうだ。

 宿に帰ると、姉貴は新しい剣を研いで、ベルは着せ替え人形にされていた。ワイワイ騒いで一段落付いた所でお風呂。ベルは、壁に貼られた大きな鏡に突進して、映った自分に、

「姉さん・・・」

ふた筋の涙が顎で合流して滝になっていた。

 亡くなった時のお姉さんに瓜二つ。顔は勿論、背格好もソックリだそうだ。

「涙腺も、泣き虫な姉とおんなじじゃ、この分ならば、前立腺の方も期待出来そうじゃ。」

号泣の照れ隠しなのかな?妙な感想を話していた。

「所で、儂、女湯で良いのか?昨日までジジイだった儂と一緒は不味かろう?」

「その身体で男湯の方が不味いに決まってますわ!子供のクセに(わたくし)より育ってらっしゃるんですもの!」

愛菜は吐き捨てるとベルの浴衣を剥ぎ取り、成長具合を披露した。

「姉が亡くなったのは14の歳じゃ、今の皆んなと変わり無かろう?」

「じゃあ、ベルは14歳って事ね?14歳なら、見かけとのギャップも許容範囲かな?小柄で童顔、小学生に間違われる中学生って感じでしょ!」

姉貴は、バラさんに捏造を頼むんだろうな。

「わたし、それより、お姉ちゃんの25歳の方が気になるわ!」

「自分もそう思います!」

風香と音の心配に姉貴は、

「バラちゃんが気にしてくれてね、もう手配済みよ!17歳皆んなより2つ上ね!」

ガチガチのままのベルと背中を流しあって、のんびりお湯に浸かった。

「儂、もう死んでいい歳じゃと思ってたんじゃがのう、変身させてもろうて、死にとうなくなった。欲深いものよのう。」

「きっと大丈夫です!明日病院で検査なんでしょ?早く安心したいですね!」

やっと少し緊張を解いてくれたようだった。


 翌日、病院で検査。先生は変身に驚き、どこを検査すれば良いのか困っていた。取り敢えず、手の施しようも無くなっていた巨大な癌は見つからず、他に一般的な検査をして異常は無かった。

 お昼を過ぎてやっと終了。宿に戻ると皆んな腹ペコで待っていた。協会の近くの食堂でランチ、そのままベルのライセンスプレートの申請に協会へ。

「統括から、手続き完了と伝言されました。」

姉貴は軽くお礼を言って、バラさんに繋いで貰った。ベルの話しをして、サクサクと指示すると、通信魔具をここの支部長に返した。支部長さんは、『了解です!』を何度か繰り返して、事務室に入っていった。少しして書類を持って来て、ベルにサインを求めた。魔力測定すれば、手続き完了らしい。博士の孫娘って設定で博士の財産とかも相続した形になっているそうだ、って事は尾藤鹿雄博士は亡くなったって事なのかな?

「所で、もし良かったらなんじゃがのう、儂をパーティーに入れて貰えんかのう?」

「えっ?入らない選択肢があると思ってたんですか?あとはベルのサインとランクを記入するだけです!」

パーティーの申請書を見せて、測定に押し出した。

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