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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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ご隠居

 お金持ちのご隠居様が老後の道楽で、旅をしている事になっているそうだ。エロジジイが若い娘達を、護衛と称して連れ回している設定らしい。

 岬も名目としては東国の一部なので、入国の手続きも無いし、特別なチェックはされない。リーダーの僕が、Fランクのステータスプレートを見せて、他のメンバーは見習いだと言うと、見習いと言う名目の娼婦だろうと、フリーで通してくれた。

 情報では、岬の先の方の魔窟に本拠地があるそうなので、急いで南下する。途中、魔物との遭遇は少ないけど、小鬼はちょくちょく出没した。いつもの緑のヤツや、魔窟にいる黒小鬼、本で読んだだけで初めて見る『角無し』もかなり出ていた。普通の小鬼なら、いかにも鬼って感じなんだけど、『角無し』は、人間のおじいさんの風貌で身長1メートル位。倒した時の後味が悪い。

なるべく人に会わないようテント泊。馬車には寝台が付いていて、ホントのエロジジイが女の子といつでも仲良くする為のスペースなんだけど、今日はナベさんが仮眠、夜の番に備えていた。ナベさんが見張り、おっちゃんは仮眠、バラさんは馬車の寝台、僕らはテントで眠った。

 昼間の小鬼の処理は僕らが担当して、夜の番はおっちゃん達が交代で担当。4泊5日で目的の地域に到着した。


「所で、永、んん、エリカ、また随分と雰囲気変わったな、この前の変わり具合と比べりゃ大したことねえけど。」

おっちゃんの質問に、お風呂での襲撃、日之出国に渡っての治療と耐魔戦闘服の事を説明して、戦闘服が似合う年齢まで若返った事を話した。

「歳だけじゃ無く、雰囲気も全然違うだろ?」

「そこは、解らないわ。」

おっちゃんの言う通り、この前までは女子の僕からみても、セクシーで男の人を惹き付ける艶っぽさが滲み出ていたんだけど、2度目の変身からは、僕らの学校の先輩か、クラスのしっかり者のお姉さん役の優等生キャラって感じになっていた。見事なEカップは健在なのに、えっちな雰囲気がかなり感じなくなっている。

「なんだ、前の姿でも充分若かっただろ?」

「でも、コレよ!」

姉貴は、チクワを仕込んだ衣装ケースからメイド服を取りだすと、ササッ脱いでと下着姿。

「お、おい、ちょっと!」

おっちゃんが狼狽える。

「あら?ラッシー欲情しちゃった?」

淡々とメイド服を纏って、靴下を引っ張り上げる時はおっちゃんに向かって必要以上に脚を上げていた。

「解ったって!ちゃんとレディ扱いしますから、勘弁して下さい!」

おっちゃんが白旗を上げた。ナベさんとバラさんは、姉貴を僕等と同様に女子として扱ってる感じがするけど、おっちゃんは、永吉(・・)扱い。呼び方も、気を抜くと永吉になりそうで口籠る事がしばしば。

 取り敢えず勝利に浸る姉貴に、

「チー坊達ぐらいの美少女になったんだから、さっきみたいのは反則だぞ!」

おっちゃんは無駄な抵抗を試みる。

ん?気のせい?

「おっちゃん、今、僕も美少女の括りにしてくれた?」

「そりゃそうだろ?」

「ホント?姉貴と風花と音と愛菜と同じグループ?ポメラニアンとか豆柴とかのグループじゃ無くて?」

「そう言や、ちょっと前なら、そっちの括りだっかもな!」

おっちゃんの大笑いで、仮眠中のバラさんが起きてしまった。

 野営地を決めて、晩ごはん。明日は黒い力を操る組織に潜入と言うか、ほぼ殴り込みだよね?万全の体調で明日に備える。姉貴はおっちゃん達に何か配った、小さな紙袋を開けると、トランクスが3枚ずつ。

「耐魔素材で作ったからね!あなた達なら、かなりの魔力に耐えられるはずよ!洗替えも用意したからちゃんと毎日代えて洗濯するのよ!」

「サイズも良さそうだな!自分の分は大丈夫なのか?」

「あたしはこんなの履かないわよ!見たいの?」

おっちゃんは、また地雷を踏んでしまった。まあ、姉貴も怒ったふりして楽しんでるんだろうけどね。

 さて潜入当日、魔窟の受付は大陸のそれと同じ感じで協会の出張所があって、同じように受付をしてくれた。ガイドマップもあったけど、岬語で書かれていたのでサッパリ解らない。取り敢えず解ったのは最下層が26階層らしいって事くらいかな?

 最初の階層から、小鬼ばかりで魔石も何も出て来ない。ザクザクの円盤はポーチから出していたけど、収穫は無かった。

「ゼロに何を掛けてもゼロって事ですわ!」

愛菜が不機嫌に言い放った。確かにその考えで計算は成立しちゃうよね。

10階層辺りから、黒小鬼が増えて、結界の中から飛び道具で済ませる省エネ作戦が効かなくなってきた。愛菜が白い霧で黒い力を浄化していくと、

「そんな事も出来んの?」

百戦錬磨のおっちゃん達でも信じられない技のようで、ビックリよりも呆れた感じだった。

「リアルでご隠居か?」

ナベさんが溜め息をつくと、バラさんは

「私は、成長してからの彼女達から見てますから、それほど驚きませんよ!取り敢えず、ご隠居ゴッコは続け易いのでいいじゃ無いですか?」

結界、白い霧、魔力刃で普通の小鬼の時よりは手間が掛かるけど、順調に潜り進んだ。

 20階層くらいからは、空間が黒い力が支配していて、出て来たのは角無しばかり。空間の浄化は、僕の出番。今日初めてのお仕事。これにもおっちゃんたちは驚いていた。潜るにつれて角無しは、強力に黒い力を取り込んだ防具を装備し、黒い力が籠もった武器を操るようになり、白い霧では浄化出来なくなってきたので、結界で拘束しながら霧で浄化、隙きを突いて、直接防具に触って浄化したり剣で斬りつけたりして、黒い力を削いで行く。この階層の最後は、角無しにしては大きく、僕と変わらないヤツだった。上手い具合に剣を弾き飛ばせたので、お宝砥石で研いだ短剣を試してみる。真っ黒い鎧を斬る。えっ?鎧はビクともしないのに、角無しの胴体は2つになっていた。おっちゃんはまた溜め息をついていた。

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