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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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耐魔試験

 49階層は、ラスボスっぽい巨大猫、黒猫達のお母さんよりも大きかった。真っ黒の巨大猫は争う気が有るのか無いのか解らない。積極的に攻めて来るかと思ったら、噛みつきのチャンスでも口を開けていなかったり、攻勢なのに逃げ出したり不可解な戦い方だった。空間の浄化が済んで、攻撃に加わると巨大猫は操られているように見えた。真っ黒だけど毛並みの黒じゃなく、黒い力のようで、鎧のように見えるのは、拘束具じゃないかと思えた。

「霧、顔に集められるかな?」

姉貴のリクエストに愛菜は返事代わりに巨大猫の顔の周りを真っ白にした。視界を遮られた巨大猫は、大きくてもやっぱり猫って感じで顔を洗っていた。姉貴は皆んなに攻撃をやめさせ、ひとりで攻撃を受け続け、

「ちー、隙きを見て浄化できる?」

メガトン級のネコパンチを姉貴が引き受けてくれるので、後ろ足に付いた黒い金属の輪っかに触ると、鉄の色になって、ガシャンと外れた。足枷が外れて、攻撃が増すかと思ったら、急に大人しくなった。姉貴が子午棒で力比べをしていた所、前足の輪っかも浄化。外れるとドンドン小さくなり、ウチの猫達の最大サイズ位になって伸びてしまった。首輪も浄化すると、真っ黒だったネコが茶色になっていた。ヒールと浄化を続けると、ペットサイズまで小さくなった。姉貴は猫を抱き上げ、モルミ液を飲ませた。


 プランタンが下へ降りる階段を見つけて、慎重に降りた。最下層のお宝部屋だった。早速壁を触って浄化。薄明るくなった空間には、何に使う物か解らない円盤?直径5センチ、厚さが1センチほどの金属の円盤。虫メガネで覗いても『便利な物』と言うだけで正体不明だった。取り敢えず、お宝ゲットと言うことで、地上に引き返す。

 茶猫がいた49階層に、下層ではお馴染みの三ツ首がいた位で、降りた時と同じ感じの魔物だった。ただ違っていたのは、魔石とかがかなり気前良く出て来た事かな?降りた時は黒い力を浄化しながらだったからかな?古の魔窟見たいな大漁ってまではいかないけど、往復でこんなに、差が出るのも珍しいかもね。


 魔窟を出たのはお昼過ぎ。残りの保存食で胃袋を、誤魔化して宿の近くの食堂を目指した。猫達も変身して定食をガッツいた。姉貴は茶猫を抱いて馬車で待っていた。急いで食べて姉貴と交代で茶猫を預かろうと馬車に戻ると、茶猫は自力でモルミ液を飲めるまで回復していた。

 姉貴が食堂に入ると、茶猫は不安そうに目で追っていたけど、背中を擦っているうちに眠ってしまった。姉貴が戻るとピクリと目を覚ました。抱っこを交代すると、苦しそうな様子になり、何も出来ずにいると、苦しみながら黒い魔石を吐き出した。少し元気に見えたけど、直ぐにまた眠ってしまった。

 宿に戻っても、姉貴は茶猫の看病で馬車に残った。人型になれる猫達は、子供料金で泊めて貰っているけど、ペット不可なので、馬車に置いておくか、ケージに入れて預ける事になる。病んでいる猫を放置出来ないので、姉貴は車中泊を選んだ。5人と6匹で泊まれるから、1人と1匹は余裕なんだけど、僕らが宿で寛いでいるのに可哀想だよね。様子を見に行ったら、お風呂の間見ていて欲しいと言って交代した。

 姉貴が居ない間、背中を擦っていると、また魔石を吐いた。虫メガネで見てみると、あと1つ呑み込んでいるようだ。背中を擦り続けていると、最後の1つを吐き出した。これで回復と思ったけど、またぐっすり眠っていた。

 風呂上がりの姉貴は、

「ちーも病み上がりなんだから、お部屋でしっかり休みなさい!」

と言って馬車から追い出されてしまった。言付け通り、部屋で就寝した。


 翌朝、朝ごはんの交代のつもりで様子を見に行くと、栗毛の女の子が、姉貴の枕元にちょこんと座り、タオルを絞っておでこに乗せていた。

「茶猫ちゃんなの?」

コクリと頷く、

「お名前は?」

首を横に振った。

「お名前無いの?」

今度は縦だった。

 姉貴が目を覚ますと、栗毛の女の子は抱き付いて喜んでいた。

姉貴は人間用のご飯が食べられるかを確かめ、慌てて着せるものを探した、前に風香がオマケで貰ったワンピがあったのを思い出して、荷物から発掘した。サイズも問題なく、二人で食堂に向かった。僕は部屋に戻って皆んなに報告して、食堂に追いかけた。

 朝ごはんを食べながら命名会議。

「日之出国で食べた、他の大陸のお菓子、この子色と一緒じゃなかったかしら?」

「ああ、チョコレートね!そうね、濃い茶色が似てるわね!」

風香が思い出してくれた。

「ねえ、カトリーヌ!竜の言葉でチョコレートってなんて言うの?皆んな竜の言葉でしょ?」

「『ショコラ』だよ!」

「可愛いわね、いかがかしら?」

茶猫ちゃんはにっこり頷いた。


 トライアングルを制覇して、東国の魔窟はあと1つ。岬にもあるのかも知れないけど、協会で把握して居ないので、取り敢えず、数には入れないで考えている。サクっと片付けて、魔窟トンネルて西国に行こうと姉貴が提案。ショコラの変身対応よお洋服を作りたいそうだ。


 部屋に戻って、ショコラが吐いた魔石を浄化する。魔晶石だけど、それほど大きく無いので、僕の力って言うか、耐魔繊維の下着の効果を試そうと思っている。

 普通のお洋服に、下着は上下耐魔を着けている。先ずはそのまま1つを浄化すると、スッと透明になった。浄化の時に感じる嫌な雰囲気や、誰かの嫌な記憶も殆ど感じなかった。

 次は両方外してみる。ブラウスを着たままホックを外してモゾモゾ試したけど無理だった。落ち着いて考えたら、部屋には僕一人なので、ササッと脱いで、ブラウスを羽織り直した。下はスカートなので特に苦労もせず準備完了。普段はあり得ない着方なので、違和感満載だけど、実験を進めた。

 耐魔の効果はしっかり効いていたようで、嫌な気分になるダメージは雲泥の差。もう一つあるので、上だけ着けてみた。いつもは当たり前に着けているけど、久しぶりにしない状態でウロウロした後だと、有り難みをひしと感じた。(C)でも荷物感があっから、風香()ならリュックサックを前にぶら下げてる見たいな感じかもね。

 実験は、半分くらいのダメージだったので、上下それぞれ機能しているのが確かめられた。

「ちー、お客さんよ!」

姉貴に呼ばれてロビーに行くと、支部のオジサンと、おにいさん達が来ていた。黒い力を使っての犯罪を調べているチームらしい。僕らが捕まえたり、浄化した事で、黒い力の組織はかなりのダメージらしく、壊滅も夢じゃ無い所まで漕ぎつけているそうだ。いろんな情報が聞けたけど、ふと気が付いてしまったのが、さっきの実験のあと、スカートの中は、実験の時のまま!気が付くまでは、全く普通に思えていた男性陣の視線が、ちょっと低過ぎ無いかとか、脚捌きに問題は無かったかとか気になって、話が入って来なくなっちゃった。不審者のように席を外し、ちゃんと穿いてからロビーに戻った。

 一週間後、岬にあると思われる組織の中枢部を一斉捜査する計画で、僕らにも参加して欲しいと言うのが、今日の用事だったらしい。西国と北国からの助っ人と、大陸中のモルミとその原料を集めているそうだ。

 東国で残っている魔窟は、岬の付け根当りなので、ショコラのお洋服を調達してから、岬の捜査に参加して帰りに魔窟ってルートに変更して、早速(いにしえ)の魔窟経由で西国に向かった。

 

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