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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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浄化

 早起きして、朝風呂。食事迄の暇潰しに、黒い魔石をキレイにする。黒い力は、吸い取ると嫌な記憶とかで不快になるので、慣れては来たけれど、朝の清々しい時間帯がダメージが少ない。作業を始めようとすると、

「自分に、考えがあるわ。」

音が水差しを持って来た。もう片方の手には、盗賊から取り上げた『モルミ』を持っていて、1包をコップに溶いた。透明な液体になり、そこに黒い魔石を浸すと段々浄化され、赤く輝いた。いくつか試し成功し続けたのでコップに入るだけ入れて見ると、魔石は色とりどりになったけど水は濁ってそれ以上の浄化は出来なくなった。朝ごはんに呼ばれたので、浄化された魔石を割り箸で摘んで、黒っぽく濁った水は置いて起き、食堂に降りた。

「それ、霧吹きで鎧に吹き付けてみようよ!」

風香は、殺虫剤みたいに使いたいと主張した。箸を置くと、いそいそと買い物に出掛けて行った。

 部屋に戻って実験の続き。先ずは濃い薬液を作った。1包から3包の3段階で試す。濃ければ良いって訳じゃなく1包が最速だった。

「薄めて見る?」

音は積極的に実験を提案した。今度は半分の圧勝。半分の薬液を大きめの魔石に垂らしてみたけど、殆ど反応無し。浸けて効果が有るのが解っただけでも収穫かな?残った黒い魔石を処理しようとしたら、

「やっと見つかったわ!」

風香が霧吹きを持って帰ってきた。薬液を詰めて魔石に噴霧した。小さいのはキラキラになるけど、ちょっとしたら元の真っ黒。大きめなのは、表面の黒いのが剥げる感じで、すぐに戻ってしまう。

「魔石でこの位なら、鎧だったら、効き目ありそうね!」

風香は効果を確信している。確かに、力を凝縮した魔石と比べると、薄く伸ばした金属は蓄えられる魔力は少ないし、表面積が大きくなるので、期待出来そうだ。

 浄化に使った黒く濁った廃液の処理に悩んでいた。無防備に捨てたら、黒い力が何かに染みて悪事の種になりかねない。最初にためしたコップを見てみると、いつの間にか無色透明に戻っていた。自然復旧するのかな?他の薬液を半分の濃度になる様に調整して霧吹き3つと残った分を空き瓶に詰めて、

いつもの旅支度に加えた。『モルミ薬液』をお供に海岸線を北上する。

 

 強行なら1日の行程を一泊2日にして、薬草を採りに寄る。北国と勝手が違うので、そんなに期待していないけど、ポピュラーな物なのである程度は採れる筈。めぼしい山に入ると、

「あれ!あそこ!あっちにも!」

姉貴がドンドン見つけ出す。が・・・見つけたのは超高級レア物の山菜。とりあえず、収穫には変わらないか?更に登ってお目当ての薬草をゲット。降りながらも少し見つけて、結構な大量になった。馬車に戻って、移動して良さそうな山に寄り道する。そんな行程で、次の町に着いたのは二日目の夕方。モルミで浄化した魔石を売って、足りない薬草を買いに薬局に行くと、モルミに使う薬草全てが売り切れていた。もう一軒の薬局も、同じ感じだった。

「いつもこんな感じですか?」

薬局の先生は、答えを鈍った。商人の通行手形を見せて、アテが無いか聞いて見ると、

「最近急に需要が伸びてるんです、ついさっきもコレ。」

台帳を見せてくれた。通行手形で信用してくれたようだ。買い占めて行った薬剤師の名前が、『イ・チョエン』さん。僕等の初仕事で薬草採取に行った時の薬剤師さんと同姓同名だった。見掛けを尋ねると、本人の可能性はまあまあ高いかな?って位。

「選別してないのが有るから、明日の午後なら幾らかはある筈、また来て頂ければ・・・」

「そのまま見せて貰ってもいいですか?」

裏に通して貰って、虫メガネで覗くと、分類が出来るので、サッサと分けた。雑草や他の薬草を分けて30分位。

「わ、私でも半日は掛かる作業なんです!」

選別した分の半分を売って貰って、宿に向った。

 薬草を細かく切ってお宝の壷に入れた。朝まで待てば出来上がり。お風呂に入ってごはんを食べて、明日の魔窟攻略の為、早寝。姉貴は晩酌抜きで詰まらなさそうにしていたけど、おとなしく眠っていた。

 翌朝、お宝の壷を覗くと、モルミの散剤が壷の下の方に少しと、小さい白い玉が4つ、緑色の大きめの玉か1つ。虫メガネで見ると、白いのは調合で余った薬剤で緑は抽出したカスらしい。散剤は薬瓶に移すと、50包は軽くありそうだ、霧吹きと一緒に荷物に詰めた。


 魔窟に着くと、小さな売店があり、店番のおじいさんが、魔窟の管理人を兼ねていた。

「最近、15階層から下に、今まで居なかった黒い魔物が出るから、無理しちゃダメだよ。」

と言って、皆んなの分の飴玉をくれた。僕のステータスプレートを見て、初心者の遠足程度に見えたんだろうね。

 最下層までマップがある魔窟なので、愛菜センサーを活用して、14階層までほぼスルーの駆け足で降りた。15階層からは、黒い力が満ちていた。真っ黒の壁にモルミスプレーを掛けると、岩肌が現れ、元には戻らな買った。ただ僕の手で浄化する方が何千倍も速そうなので、いつものパターンで空間から黒い力を排除した。

 のそのそとオオトカゲが近付いた。ソイツは鼻か口か良く見え無かったけど黒い霧を吐いた。結界で遮っていたのでノーダメージだけど周囲の床と壁面が黒く染みてもとに戻ってしまった。

 愛菜は東雲を振るいオオトカゲを斬り倒すと、モルミ楽液を詰めた竹筒を放り上げ、東雲で斬り割いた。飛び散った薬剤は床の一部から黒い力を浄化したが、それよりも、目を見張ったのは東雲で、眩しく光ったかと思ったら、刃が、霧で包まれるようになり、ひと振りすると、霧が立ち込め、黒く戻った床や壁面、オオトカゲの死骸まで、黒い力を浄化した。

 19階層まで同じパターンで進み、いよいよ最下層。細い通路から覗くと、如何にも悪人ヅラの男が黒い鎧を着込んで20人位。

「アイツ、奈落の小屋にいたヤツ!」

出口はここだけなので、結界で塞ぎ、僕は壁を触って黒い力を浄化、愛菜は白い霧を送り込んで鎧を浄化した。壁、床は奥の方を除いて、黄土色の岩肌になった。鎧の浄化も終わった頃、ビリビリ、じゃない、雷弾でバタバタと眠らせていった。

 全員拘束して浄化されていない泉を調べてみた。濃度が違うのか、触ったときの嫌なイメージが、離れていても感じられた。竹筒のモルミ液剤を頭から被って、愛菜が送る白い霧に包まれながら泉に近付いて、今朝出来上がったモルミ散剤を一気に投入した。

 泉は直ぐに無色透明になり、底に黒い魔石が沈んでいるのが見えた。魔石の周囲から徐々に黒ずんで来たので、急いで拾い上げた。今までに見た魔石の中でも群を抜いて大きいのが5つ、比べると目立たないけどかなり大きいのが3つ、小さいの迄は数える気にならなかった。

 魔石を取り出した泉は、澄んだままで、巨大な魔石も1個ずつならいつものように浄化出来た。辺りを調べると大量のモルミらしい白い粉と大量の金貨が見つかった。

 愛菜はその間に、お尋ね者リストで報奨金を調査、ここのボスは載っていなかったけど、ナンバー2っぽいヤツで金貨50、見つけられただけで、金貨300位にはなっていた。

 下っ端の方から8人起こして、戦利品と幹部クラスの盗賊達を運ばせた。もちろん、手枷足枷の他、パンツの中には姉貴特製の言う事を聞きたくなく針金を仕込んであった。

 猫達が猛獣モードになって気配を消すのを止めると、帰り道はスイスイ。一度の遭遇もなく地上に到達。協会の出張所に盗賊達を突き出した。金貨304枚分を振り込んで貰い、運んできた金貨一千枚の木箱2つを検めて貰って貯金した。武器や防具を売りに行っていた風香と音は、

「虫メガネより高く売れたわ!」

金貨、18プラスアルファの予測で20になったそうだ。話しを聞いていた受付のお姉さんは、

「お向かいの雑貨商でしょ?あそこのおじさん、巨乳好きで有名なの。私だったら、いいとこ15枚ね!」

愛菜風のプロポーションで笑っていた。

 魔石を売りに行っていた姉貴と愛菜は、

「やっぱり大きいのは扱えないって。」

特大5つと大3つは持ち帰りで、残りだけで45枚と銀貨と銅貨。ほぼ虫メガネ通り。

「お隣はロリ好きだからあなた達で行けばよかったのよ!」

僕と愛菜を指して微笑んでいた。黒い魔石を魔石の端数分で売って貰った。

 宿に戻って魔石を浄化。虫メガネで金貨96とちょっとの査定だった。翌朝、愛菜と二人で魔石商を訪れると、

「切のいいところで金貨100でいかがでしょう?」

他の魔石商のおじさまと同様のジェントルマンだったけど、裏が見えちゃうと、ちょっと面白いね。振り込みにしてもらって、旅を続けた。特大魔石は自分達のお宝にしてもいいかな?大きいの3つは珍しい虹色なので、大きな町の魔石商でうんと高く買って貰えばいいよね。

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