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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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身の上話

 花火と本格東国料理を堪能して、星を眺めながら露天風呂。

「こんなに贅沢してバチが当たらないか不安です!じいちゃんとばあちゃんも連れて来てあげたいです!」

「そうね、でもあのお年で長旅は辛いでしょうから、北国で探したほうがいいんじゃないかしら?」

風香は、ヒール魔法同様に優しい気配りをしてくれる。

「温泉旅行も結構ですけど、お住まいを人並みにする方が優先すべきじゃないかしら?」

愛菜はかなり具体的にアパートの建替え計画を熱弁した。魔窟での収穫や盗賊逮捕の報奨金や戦利品なんかで、普通の家なら何軒も建てられる位は稼いだけど、愛菜プロデュースのマンションを建てたら、全部使っても足りるかどうか解らない。

「そんなに掛かったら、皆んなの分前無くなっちゃうよ!」

「私はいいわ、マンションが出来たらそこ借りるわ!家族も居ないから、慈子の所が実家みたいに思えるの。」

ニッコリ笑って風香は愛菜のメモを覗いて、

「お庭も出来そうね!」

一緒に盛り上がっていた。

「自分も賛成です、店子の部屋は古いけど、ちゃんと手入れしてあるのに、大家さんの部屋、後回しにしてるでしょ?暖かいお部屋にしてあげたいです。」

音はメモに道場を追記して、建設会議に参加していた。

「面白そうね、アタシも一口乗るわ!」

肝心の、じいちゃん、ばあちゃんの意見が聞けないので決定って訳には行かないけど、ドンドン具体的な話になっていた。

 愛菜は、ゴージャスな部屋でオシャレに紅茶でも飲んでるのが似合いそうだな。風香はカワイイ部屋かな?音はきっとシンプルな部屋だろうな。どんな計画なのか僕も参加した。

「今と変わらないです!いいのこれで?」

お風呂、トイレ、キッチンを付けて、ちょっと広くしたくらいに見える。しかも4人部屋。姉貴はずっと一人暮らしなので、ワンルームで一人部屋がいいらしい。皆んなが来る前の僕の部屋位で、シャワーがあればベストだそうだ。

「広けりやいいって訳ではございませんですの!」

皆んな自分のこととか、全然話さないので、愛菜はどこかのお嬢様で事情があるって言うより、一人暮らししてみたいって感じなのかと思ってたけど、家族の事を話してくれた。

 愛菜の実家・浅草家は、首都の隣の領主だったそうだ。お父様は、平民に義務教育を適用したり、犯罪奴隷を除く一般奴隷を禁じたり、税率を下げたりして、領地は栄え、経済活動が盛んになって、大幅減税しても税収が上がり、領民に大人気の領主様だったそうだ。有力な商人や、優秀な学生が流出した他の領主や、既得権益を脅かされた一部の貴族達から反感を買い、王家転覆の謀反を企てたと、身分を剥奪され幼い子供だった愛菜以外の血族は処刑されたそうだ。メイドさん達がこっそり自分の子供達と一緒に屋敷を脱出してくれて、後に冤罪と解ってからは、お父様のお友達の屋敷で暮らして中学から一人暮らしをしていたそうだ。ちょっと気不味い雰囲気になると、

「じ、自分は・・・」

 音も身の上話を始めた。代官山家はご両親共に学者さんとの事。開発していたのは平和利用すればこの上なく便利だけど、兵器に流用出来る物騒な物だったらしい。断固平和利用に拘っていたので、兵器開発関係者に暗殺されたそうだ。研究所に盗賊が押し入っての殺害だったが、国家権力並みの力が働いていたらしい。自宅は研究所と離れていたので音は無事で、それからはお祖父さんと2人で暮らし、2年前お祖父さんが亡くなってからは一人暮らし。

 自然と風香も身の上話。船橋家のお父さんは、物心付いた頃には亡くなっていて、お母さんと、歳の離れたお姉さんと三姉妹で4人家族。風香が小学校に入った頃、お母さんとお姉さん達は拐われてしまい、それからは親戚の家を転々としていたそうだ。どこかで生きていると信じていたけれど、最近になって知った事実は、拐われてすぐに、人拐いと人身売買の組織の幹部を倒し、協会の調査に協力して、組織を解体に追いやったそうなんだけど、組織の残党に殺されてしまったそうだ。

 姉貴は3人の話を号泣しながら聞いていた。僕も話そうと思ったら、

「ちーの話しなら、先ずはパパとママの話しからね!」

姉貴に発言権を奪われた。

「千代田隊長は西国一の騎士で一番隊の隊長だったのよ!」

王様の警護がメイン業務らしい、二番隊の隊長はうちのおっちゃんこと五十嵐総支部長でお姫様の警護担当。

三番隊隊長は、西国の田辺統括支部長で、五番隊隊長が、東国の柏原統括支部長。それぞれ重要なポイントを任されていたそうだ。

「四番隊飛ばしたの、突っ込んでくれないの?」

不満そうな姉貴に、

「この流れなら、姉貴に決まってます!」

僕が言うと、他の3人も頷いていた。

 魔族との決戦で、魔族領に立ち入る事が出来たのはほんの100人程、黒い力に阻まれて無理に入っても戦力にならなく諦める事になり、その中でも城に踏み込めたのは8人だけ。更に魔王の間に到達したのは、父さんと母さんだけ。

「あと2人はどんな、方でしたの?」

愛菜は、シビレを切らしたように催促した。

「まだナイショ!」

それから、父さん、母さんと胎児だった僕とで魔王を封印したそう。この辺りからは、おっちゃんから聞いて、お伽話だと思っていた内容と一致していた。

「じゃあその後からは、ちーが話して!」

姉貴からバトンを渡された。何を話そうかと考えていたら、皆んなから僕のウワサが本当かの確認になり、ほとんどが実話で改めて驚いていた。

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