表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
40/142

 狭いけど、まあ快適な車中泊で入窟の朝。日の出と共に目を覚ました。出張所に行って届けを出して早速潜る。27階層が最深到達階層で、まだその下が有るのかは解らないけど、27階層の情報を聞いた雰囲気から、他の魔窟の最下層とは違うような気がするので、もしかしたらって、また欲張ってみる。愛菜は刀を育てる気合い満々。の、筈だけど、

「不良品の尻拭いなんねうんざりだわ!」

いつもの悪態をつきながら、ドンドン階層を進めた。

 浅い階層で現れる魔物達は、魔法攻撃は出来ないらしく、愛菜の刀は新しい能力は得られなかった。アイテムも魔石も殆ど落とさないので地味な戦いだったけど、刀よりも愛菜のウデの方が着実に成長していた。5階層からはほとんど他のパーティーに会うことはなくなり、最後にすれ違ったのは、20階層位だっかな?その辺りから、出て来る魔物は徐々に強くなり、アイテムも多少は増えて来た。

 愛菜のお目当ての魔力攻撃する魔物には遭遇しないまま、27階層に到達した。この階層には、黒い力が染みていて、魔物は格段に強くなった。カマキリの魔物は真っ黒で人間の身長で2メートルくらいの高さに逆三角の頭があった。素早く飛び回り、1メートルは軽く越えるカマを振り回す。ひと振りで3箇所か3回ダメージを受けるようだ。風香の結界の中から愛菜と音が飛び道具でダメージを与え、頃合いを見て愛菜が刀でトドメをさす。2匹目以降は要領が良くなりサクサクと片付け、

「この階層はこれでお終いよ!」

愛菜センサーが終戦を検出した。その間に僕は黒い力を除去。全体の岩肌が見えるくらいに薄明るくなった階層をプランタンが調査。行き止まりの岩壁を愛菜が鞘で着くと、ガラガラと崩れ下層に向かうスロープが現れた。

 真っ暗な坂を少し降りるとほぼ垂直の壁になった。

「ここは、一匹だけね!ラスボスかしら?」

魔物に動きが無いそうなので、先ずは黒い力を浄化していく、見かけは思いっきりディープな感じだけど、古の魔窟と比べると、嫌な記憶とかのダメージは軽かった。凸凹を足場に壁を降りると巨大なカマキリが目を覚ました。さっきの階層のヤツよりも大きいが、動きが緩慢なので戦い易い。お約束のパターンで風香の結界の中から飛び道具で攻める。的はデカイし、ノンビリな動きは容易に予測がつくので、ガンガン撃ち込む。そのかわり?あんまり効いていないようだ。

 ジワジワ寄って来るので、至近距離で仕留め・・・る積もりだったけど、何とか片方のカマが上がらなくなったかな?次は、結界に弾かれてバランスを崩したところを狙う。

 大カマキリが振りかぶると、カマが赤く光った、

「皆んな、引いて!」

姉貴はそう叫ぶと自分は前に出た。赤く鈍く光った大カマが風香の結界を破り、姉貴に迫る。姉貴が棒を大きくしてカマを受け流すと、僕らの目の前の地面が抉れた。カマが突き刺さり、抜けなくなっていた所を愛菜が魔力刃を飛ばすと、両方の触覚をが同時に落ちた。滅茶苦茶に暴れ地面に刺さったままのカマは付け根からもげた。硬い殻は破れそうに無いので、中身が見えるウデの付け根に愛菜が炎の刃を突き刺した。大カマキリは火を吹きながら倒れた。

 間一髪、倒れた大カマキリに潰されずに済んだ愛菜の手には、赤く鈍く光った刀が握られていた。

「手間の掛かる刀ね!」

迷惑そうに鞘に納めた。


 プランタンはすっかり自分の出番を心得て、早速下層への通路を探していた。しばらくすると、ドーム状になっている空間の中央付近に穴が開いていて、複雑な岩壁を足掛かりに降りれそうな所を見つけてくれた。ヒヤヒヤしながら降りて行くと、黒い力が強くなって来た。少し平なスペースでひと休み。

「ここには魔物は居ないわ、黒い力だけよ!」

「じゃあ、片付けるね!」

岩壁を触ろうとすると、

「お待ちくださる?あなたを斬ったらその能力もコピー出来るのかしら?試してみましょう!」

愛菜は人差し指を立てた。僕も真似して指を立てると、愛菜は刀を抜いた。

「チクっとするわよ。」

注射を打つ看護師さんみたいな台詞を言って僕の指先を切った。

「うっ!新しい能力を覚えた感覚ね!」

そう言うと、刀を地面に突き立てた。僕が触った時の様に刀の周りから、黒い力が消えていった。直径で2メートルほどを排除すると、愛菜は失神してしまった。風香が急いでヒールを掛けたけど、目を覚まさない。熱はどうかとオデコで確かめると、グッと嫌な記憶が流れ込んで来た。目を覚ました愛菜は、

「あなた、毎回こんなキモチ悪い事してたの?二日酔いなんて極楽ね!」

不満たらたら悪態をついたけど、明らかに、僕の負担を心配しての行動で、

「ゴメン、止めようとしたんだけど・・・。」

済まなさそうな表情で音が謝った。

音は以前、黒い力を纏った剣を拾って動けなくなった事があったので、怖さを想定していたようだった。

 残り、99.数パーセントの黒い力を処理するとスリ鉢状の地面の底の部分に机くらいの台があって、何か置いてあった。慎重に近付くと、虫メガネ?形は一般的な虫メガネなんだけど、大きく見える訳じゃ無かった。まあ、お宝なんで大切に持ち帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ