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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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東の魔窟

 支部長さんのパーティーは、Aランクの支部長さんと、普段ガイドをしている人が3人で皆んなBランク。ショートカット出来る所はどんどん飛ばして、9階層迄降りた。

「支部長さん、ちょっと待って下さい!」

音が時間を取って、プランタンは他の魔窟への出入口を探した。猛獣サイズから、人型になると、

「ここと、ここ!」

音が槍で突いたけど無反応、風香が矢筒で突いて壁を崩した。もう一箇所は音が崩したが、支部長さん達にはただ岩肌を突いただけに見えているらしい。出入口の件を説明して、

「今のままですと、一方通行なんです。この魔窟のお宝があると、向こうから通過出来る筈なんです!」

帰って来れない筈なので、そのまま確認だけで、更に潜った。


 次の魔物は三ツ首竜。北の魔窟にいた魔物と同じ種類の様だ。2人に囮になって貰い、背後から真ん中の首を落した。あっさり片付けて最下層と思われる下の階に降りた。

 入口の蜘蛛も動き出す前に触肢を攻めて、愛菜がトドメを刺してサクっとクリア。階段を降り黒い力を除去すると西国と同様、中央のステージ風の所に何かが突き刺さっていた。近寄ると細身の剣のようだった。剣を握るといつもの様に誰かの嫌な記憶が流れ込んできたけど、想定内の事なので、少し我慢してお宝をゲット。手にして見ると、東国の東の海に浮かぶ島国『日之出国』の刀だった。うっすら銀色に輝いていた。

「愛菜に丁度良かったね!」

手渡すと嬉しそうな顔で、

「鞘の無い刀なんて物騒ね!」

それもそうかと、鞘代わりに出来そうな物を考えたけど思いつかない。

「魔窟の中でしたら、このままで結構ですわ、20階層に行きましょう!そこに鞘が無かったらこのお宝は不良品ね。」

 蛇、トカゲ、亀と爬虫類の魔物の階を、姉貴が張り切って片付け、どんどん上がり、いよいよ20階層。

「魔物が6匹!」

黒い力を処理してうっすら明るくなると、灰色の魔物が飛び込んで来た。愛菜は返り討ちに構えた刀を振り?降ろさずに?捨ててしまい、魔物を抱き締めた。良く見ると、シフォンが人型になって愛菜に抱き着いていた。感動の再会を果たし、後から追って来た風香、音は僕を挟む様にハグした。

 お互いの無事を確認して、お宝を取りに台に登った。愛菜ご所望の鞘らしく、早速抜いて愛菜に渡した。刀を納めると金色に輝いていた。

「ご無沙汰ですね、永吉さん。」

風香達と一緒にいた紳士が姉貴に挨拶した。

「エリカって呼んで!」

2人では入窟出来ないので、ここの支部長さんが付いて来てくれたらしい。うちの支部長同様、姉貴とは顔見知りのようだった。

 レスキュー用の非常食を貰って、空腹を満たし、短い休憩だけで上に向かった。9階層の出入口の話を聞いていたので、先ずはそこまで頑張る。愛菜の新兵器は鋭い切れ味でバタバタと魔物を切り倒すけど、風香の弓や音の槍のような特殊な攻撃は出来ない様子だった。

火を吹く魔物を魔力弾で弱らせ新兵器で斬り捨てる。

「やっぱり不良品かしら?」

特殊攻撃が無い事がお気に召さないようだった。

 次に襲って来たのは亀だった。円盤の様に飛んで来て体当たり攻撃。愛菜は斬ったつもりでも、打った形になって亀は地面に落ちた。亀が次にどんな攻撃をするのか確認しようとしたら引っ込んだ手足と首から火が出てきて亀は焼け死んでいた。飛び道具にはならないけど、切り口や内部を燃やす機能があるようだ。愛菜は何かコツでも掴んだのか、刀に、炎を纏わせたり炎を飛ばしたりするようになった。

 愛菜の新兵器をフル活用して一気に9階層迄登り、魔窟の出入口を試してみた。既にこちらからはそれぞれ西と北の魔窟が見えていた。西の魔窟に移動して、通過した壁を愛菜が鞘で突くと、ガラガラと壁が崩れて通路になった。東に戻り、北との出入口も完成させた。12階層から地上にショートカット出来るそうなので、一旦戻り、地上に登った。


 支部に行くと支部長さんが、

「下請け料金はおいくら?」

「いえ、レスキュー費用をお支払いしなければならない位です!」

風香が答えると、

「では、魔石を差し上げますよ、黒いのは使い物にならないと思いますけど、他はいい値が付きますよ。」

有り難く魔石を頂いて、宿に向かった。黒い魔石は僕が処理してキラキラにした。大きな赤い魔石を愛菜の新兵器に埋め込み、ほかを魔石商に持ち込んだ。西と北で採った赤い魔石と今日の分で、またまたとんでも無い金額になり今回も端数分だけ現金で貰って振り込んで貰った。


「えっ!そうなの?」

奈落の小屋が爆発した時の話をカトリーヌに聞いて驚いた。小屋があった橋のような部分が落ちたんだと思っていたんだけど、谷全体が崩壊して、上から見ると塞がっているらしい。カエルを倒した時、元の坂を登る選択をしていたら、よくても無駄足、悪けりゃ帰って来れなかったかも知れないと思うと背筋が冷たくなった。

 北国の国境領主に報告の手紙を書いて、支部に出して晩ごはん。美味しい食堂を教えてもらって、東国に料理を味わった。

 宿に帰って、今後の計画を相談した。

「この辺りは、北国の文化が混ざっているから、本格的な東国料理はこの位足を伸ばさなきゃダメよ!」

姉貴が地図を指すと、

「秋さんのお郷ですね、湖畔の温泉で一年中花火を打ち上げるという!」

愛菜が反応して、すっかりその気になっていた。風香も音もそのつもりの様なので、湖畔の温泉を目指す事にした。

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