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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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パーティー再編

 エリカさんは、取りあえず僕らのアパートに泊まる事にして、一緒に帰った。いつもの食堂も閉まっていて、保存食で済ませる事になった。

 ごはんを食べながら、パーティー編成の事を相談した。

「パーティーから僕が抜けて、下請けって形にすれば、Bランクパーティーになって、色んな仕事出来るようになるから、登録変更しようか?」

「自分は・・・嫌だ。」

ゆっくり、ハッキリ絞り出した言葉と一緒に、(どれみ)の大きな目から、大粒の涙が溢れた。

「リーダーがそうしたいなら、好きになさって!私も辞めるわ。引っ越し先が決まるまでここに居てよろしいかしら?ああ、私の占いもいい加減なモノね、『生涯の友』なんてそう簡単に出会える方がオカシイわよね。」

愛菜は早口でまくし立てると、プイッと歯磨きに行ってしまった。

「そうね、私も慈子に誘われたから始めたけど、その慈子が居ないなら続ける理由無いわね、ヒールの腕が上がったから、そっちのお仕事探そうかしら。」

風香は協会のチラシで求人広告を探していた。

「えっ、アタシもう失業?まあ当面はラッシーの所に転がり込むか。って慈子、余計な事、考えてんじゃ無いわよ!」

「そ、そんな積りじゃ無くて、ただ登録だけ変えたら、Bランクの仕事が請負えるでしょ?皆んなと離れるなんて思ってないよ!」

涙目の僕を見て、風香が助け舟を出してくれた。

「半月位でAランカーの年収の数倍稼いで、まだ欲張るの?魔窟の初制覇だって、一生に一度出来る一人が珍しいのに、私達、3つも制覇したのよ!協会のルールより、私達のルールでやって行くのってどうなの?」

すると愛菜は、

「撤回するのなら、今回は許してあげても良くってよ!」

音は、無言で手を握って離さない。

「アタシのクビは繋がったようね!早速、東国遠征のプラン考えましょうね!」

 F+++パーティーでもいいって言ってくれるので、お言葉に甘えて、そのままのパーティーにエリカさんを加えて活動する事にした。明日、馬車を整備に出して、その間に買い出しとお土産配り。馬車の仕上がり次第だけど、まあ2、3日で出発かな?

 馬車屋さんに行くと、1台増えた荷車と、人攫いからの戦利品の馬たちが立派だと褒めてくれた。

「武勇伝、聞かせてくれよ!」

色々話していると、

「こんなのは、拾ってないか?」

古文書の様な本を広げて見せてくれた。

「用途が解らないから、そこに突っ込んであるよ、使っくれるんならあげるよ。」

「太っ腹だな、どれどれ・・・」

魔物の影響をシャットアウトして軽くて丈夫な蹄鉄を作るレア素材がたくさんあるそうで、買い取ってくれると言うけど、エリカさんの馬も含めて5頭分替えて貰ったらどのくらい掛かるか聞いてみると、

「金貨で50でどうだ?」

ちょっと高いけど馬達の安全を考えると出せない額じゃないかな?馬車屋のオジサンは、金貨の詰まった革袋を金庫から出して来た。

「いい素材入ったから、整備はサービスしとくぜ!」

革袋をドンと僕の前に置いた。

「えっ、払うんじゃ無くて、貰えるの?」

「チー坊は欲が無いなあ、よそで買い物する時は気を付けろよ!」

アパートに帰って、エリカさんに報告すると、

「あら、良心的ね!買い取った素材で良い商売出来るだろうから黒字なのは心配無いけど、うちの5頭分は手間賃足りるのかしら!」

 エリカさんが買って来たお洋服を見せて貰った。元々持って来た着替えよりはだいぶ露出は控えめだけど、出せばエロいって訳じゃないようで、大変勉強になりました。愛菜と風香は食料調達、音は武器の手入れをしていた。皆んな帰って揃った所でエリカさんのファッションショーが始まった。しばらく堪能して、寝袋とかエリカさんの分のアウトドアグッズを買いに出掛けた。

 僕らと同じ物を揃え、支部に寄って遠征の計画を報告すると、

「ああ、丁度良かった、国境の支部まで送って欲しいんだ!」

おっちゃんは、若いママと小さい女の子を連れてきた。国境領主の奥様とお嬢様との事。戦争はしていないけど、やっぱり国境の護りは重要で位の高い貴族が治める事になっている。留学の下見に来ていたようだ。この年齢だと小学校入学から寮生活なんだろうね。貴族って大変なんだね。

「お嬢ちゃん、猫は好き?」

「うん、だいすき!」

「じゃあ大丈夫ね!」

おっちゃんは笑って、

「報酬聞かないで、猫の心配すんのか?」

「金銭感覚はちょっと鍛えた方が良さそうね。コレ、あの子達からのプレゼントなの!」

紫魔石のピアスと指輪を見せられたおっちゃんは、

「都でも家が建つぞ!」

おまけに貴族の奥様まで驚いていた。蹄鉄の装着が明後日なので、その次の日の朝スタートの約束をして、パーティーにエリカさんを正式加入の手続きをした。書類に記入していると、

「あっ、25歳な!」

出国票だけで正式な身分証明書を作るってちょっと危ないよね?この見掛けで50歳なんて言ったらちょっと不味いのは解るんだけどね。まあ、犯罪の為に身分を偽る訳じゃ無いのでまあいいかな?

「ねえ、いい加減『さん』付けやめない?」

「じゃあ、なんて呼びましょうか?」

エリカさんはちょっと恥ずかしそうに、

「姉さん、かな?」

「じゃあ、考えておくよ!」

「チー坊、意地悪ね!」

「では、お姉様で」

愛菜が宣言すると、

「いいですね、姉上!」

音、ちゃんと聞いてたのかな?

「お姉ちゃん!私、小さい頃にお姉ちゃんを亡くしてるから、嬉しいわ!」

風香も微妙にリクエストを外している。

エリカさんは戸惑っていたので、

「姉貴!そう呼びます!」

姉貴はどれかに統一すると思っているんじゃないかな?きっとそれぞれに決定だよね!

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