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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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小鬼の女王

 四季の姉さん達を送って4人減り、1人と猫5匹が増えた。護るのはエリカさんだけに減り、猫達は戦力になるし、風香は弓をゲット、音の槍も進化。僕以外は魔力アップしているので、油断さえしなければ、往路の海沿いよりは危険な山ルートも問題無い筈。エリカさんも魔法同盟に参加して北国に向かう。

 宿を出て小一時間で最初のミッション?武装した小鬼が現れた。数は6匹、

「アタシに任せて!」

エリカさんはパッと馬車を飛び出すと、髪から簪を抜き、ひと振りすると、2メートル程の棒になった。飛びかかって来た1匹を突いて鎧ごと貫き、次の3匹はひと振りで首が3つ転がった。斧を持った2匹が同時に襲い掛かると、棒は2本に別れ両手でそれぞれの斧を受け止め、次の瞬間、頭頂部から棒がめり込んだ小鬼はもう動かない。2本の棒を真っ直ぐに繋げ1本に戻すと、笹薮から矢が飛んで来た。エリカさんは予測していたかの様に払い落とし、藪に向かって棒を付き出すと、棒は一瞬光って、藪の中から小鬼の呻きが聞こえた。慎重に辺りを見渡し、残党がいない事を確認して、道端の地面を突いて、穴をあけると、もうひと振りし、簪に戻した。手鏡で髪を確かめて簪を刺して、小鬼の耳を回収し始めた。手際良く片付け、死骸を穴に放り込む。呆気にとられ、ただ見ていた僕らはやっと正気に戻り、スコップで穴を埋め戻した。

「やっぱり、オンナの筋力だとパワー不足ね、戦闘スタイル考えなくっちゃ!」

汗1つかかず、呼吸もいつものままのエリカさんは、何事も無かったように馬車に乗り込んだ。

「もしかしてエリカさん、ステータスプレート持ってます?」

「有るって言えば有るケド、無いって言えば無いわ。」

そう言いながら見せてくれた、一回り大きい古いタイプのプレートには『Eikichi Ebisu 恵比寿 永吉』と刻まれていて、ランクはA。

「エリカでプレート作りたいのよね、国境とか困るから一応持って来たんだけど。」

ちょっと別な話題が相応しい様な空気になったので、

「次は僕らが働きます!戦い方を見て下さいね!」

「そうね、初めて潜った魔窟を攻略しちゃう腕前、楽しみだわ!」

陽気なエリカさんに戻り、早速僕らの出番が来た。小鬼が2、30匹の大群だ!

 風香の結界の中から、音の魔力刃、愛菜の魔力弾で数を減らした。人間サイズで鎧を纏い大剣を持ったボスらしいヤツとすばしっこく逃げ回るヤツだけ残った。僕はボスを足止めして、風香は結界をガードでは無く、すばしっこいヤツの捕獲に使って、自由を奪った所を魔法刃で仕留めた。愛菜センサーが残り1匹を確認したので、力まかせに振り下ろす大剣を躱し、腕を落とし、ひっくり返った所、鎧の隙間からトドメを刺した。

「やっぱり、運だけじゃ魔窟攻略なんてムリよね?自分達の長所を活かしたスマートな作戦ね!」

小鬼の始末を手伝いながらエリカさんが褒めてくれた。

 少し進んでは小鬼退治、また少し進んで小鬼。ちょっと飽きてきた。最近襲われた様な馬車があったりするので、少しでも退治した方がいいのは間違い無いんだけどね。

「小鬼の女王って知ってる?」

エリカさんは不思議なことを言い出した。極稀に生まれるメスの小鬼が群れを作り、小鬼を産み続けていると言う話があり、伝説なのか真実なのかは解っていないけど、幾つもある噂の1つでは、この近くに女王の巣があるそうだ。本当にあるなら、この小鬼の量も納得だし、こうしょっちゅう足止めされるのなら、本陣を叩いた方が手っ取り早い。早速、噂の巣を目指した。

 街道から山道に入り、馬と馬車を隠してカトリーヌに留守番を頼んだ、沢伝いに山を登ると少し見通しが良くなり、怪しさ満点の洞窟が有った。愛菜はセンサーで見張りを見つけ、魔力弾で片付けた。洞窟の中は黒い力が充満していた。黒い地面を触り、黒い力を排除していく。洞窟全体が、茶色い岩肌を現すと、あちこちの凹みに無数の小鬼が潜んでいた。

「風香、結界よ!」

エリカさんの指示で結界を張ると、エリカさんは二重に結界を張った。無数の小鬼がエリカさんの結界は素通りして、風香の結界に貼り付いた。小鬼はどんどん増え、結界の外に壁を作った。小鬼達が離れて行かないのを不思議に思ったら、エリカさんの結界から外に出られないようだ。

「そろそろね!」

エリカさんは、簪を棒にして小鬼の壁を粉砕していった。

「皆んなも派手にやってね!」

サクサクと壁を崩し愛菜センサーが殲滅を確認して、結界を解いた。

「もう耳はいいわね?」

屍の輪を越えて、洞窟の奥を調べると、下に向かう通路が有った。魔窟の様な階層構造になっていて、また黒い力が満ちていた。いつもの様に黒い力を排除し、真っ黒な洞窟を岩肌に変えた。この階層は数が少ないので、愛菜の魔力弾でササッと片付けた。同じ様に階層をクリアし、10階層に到達した。

 黒い力を処理していくと、小鬼と呼ぶのに違和感のある巨大な小鬼がゾロゾロ現れた。猫達は元のサイズになると、小鬼達を分散して戦い易くしてくれた。パワーだけでスピードも知性も無さそうなので、力任せの一撃だけ気を付ければ、第2の攻撃の構えるまでに始末してしまえば特に怖い敵ではない。僕とエリカさんが囮になって、ひと太刀躱した所を魔力弾、魔力刃、風香の金の弓で片付ける。どんどん潰して、猫達の加勢と思ったけど、すっかり片付けていた。奥の方にもうひと区画あって、そこには女王と思われるでっぷりと肥えたメスの小鬼がいた。小鬼でも無抵抗の相手を攻めるのには抵抗があり、少し躊躇っていると、

「あなた達の弱点見つけたわ!」

エリカさんはそう言って小鬼の女王を倒した。

 地上を目指しながらエリカさんは、

「ああいう時に躊躇っていると、命取りだからね!優しさって、たまに邪魔なのよ。」

戦いのノウハウってより、生き方や考え方を教わりながら地上に出ると洞窟の出口には無数の小鬼が集まっていた風香の結界の中からの攻撃にエリカさんも加わりバタバタと倒し続けた。小鬼達は既に女王が倒されているとは思わずに、陣地奪回の積りで逃げる事なく攻めてくる。必死な小鬼達は、エリカさんの結界トラップに嵌まり、敢え無く散りあっという間に殲滅した。

 馬車に戻り街道に出た。馬車を進めると、今度は小鬼の邪魔は入らず夜までノンストップだった。

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