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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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北国へ

 ずいぶん長居してしまっけど、魔窟のお宝や高額な魔石、盗賊や人攫いを捕まえた報奨金なんかで、ビックリするほど稼いでいたんだね。じいちゃん、ばあちゃんと支部の人達にお土産を買って、帰路についた。

 帰りは最短距離の山ルート。途中、小さい魔窟があるので、ちょっと寄ってみる。7階層だけなんだけど、風香の弓で新規開拓の可能性も考えられるので、ちょっとだけ欲張ってみる。

 朝日を合図に馬車に揺られ、夕日を合図にテントを張った。2日目のお昼、小さい魔窟に到着。協会の出張所は無く、商品を売っているのか、棚を展示しているのか解らない位の売店のオバちゃんが、受付をしていた。

 早速魔窟に潜った。最下層まで降りても、古の魔窟の2、3階層程度の魔物しかいなくて、魔石も素材もパッとしなかった。7階層をふた周り。行止りを弓で突いたりしながら、新階層を探したけど、収穫は無かった。まあ、今までが当たり良過ぎたんだよね?

 地上に戻って売店のオバちゃんにキャンプにオススメな所を聞いて見た。近くにキャンプで賑わう河原があるそうだけど、今はオフシーズン。ただ泊まるだけなら使えるらしい。水場とトイレがあるそうなので、今夜の宿が決まった。

 四季の姉さん達に習った料理もなんとなくサマになって来て、『行きは良い良い』状態にはならなくて済んている。晩ごはんの勢いで、朝とお弁当の準備までやっておいて、移動に専念。2日頑張れば、宿のある集落に辿り着けそうなので、お風呂はちょっとお預け。水浴びにはもうちょい気温が足りないからね。

 予定通り小さな集落に辿りついた。1軒だけの宿はガラガラで、無事お風呂にありついた。今日は覗きのオジサンもいないし、意外と広々のお風呂でのんびり出来た。お部屋も古いけどキチンと手入れされて、テントでは取れない疲れが取れる気がした。この後の行程は魔物や小鬼の出没が予想されるので、しっかり充電して行こう。


 いつもの癖で朝日と共に目が覚めた。皆んなを起こさない様にそっと布団を抜け出ると、皆んなも同じ事を考えていて、揃って朝湯に浸かった。朝ごはんを食べていると、外が騒がしくなった。

「やっと追いついたわ!」

馬上にはキレイなお姉さん。明らかに僕達に向けて手を振っていた。不思議そうに見ていると、

「アタシよアタシ!」

まさかと思ったけど、深い紫の魔石が両耳、首、右手に光っている。エリカさんだよね?

「変身した姿を、見てもらおうと思ってね、店も家も手放したし、しばらく旅でもする事にしたのよ!」

詳しく聞くと、闇魔法の副作用で、もうこの世にいる予定じゃ無かったので、お弟子さんにお店を譲ったそうだ。アパートも解約して、バッチリ終活を済ませていたんだけど、予定が変わってしまい、お弟子さんは、話しは無かったことにしようって言ってくれたけど、折角なので新しい生活を選んだそうだ。色々処分した現金と武器と鎧、それと少しの着替えと日用品を詰め込んで馬上の人になったそうだ。

「無職になったから、下請けで使ってくれる?」

旅の仲間が1人増えた。

 夜を日に継いで走って来たエリカさんは、クタクタなのに、僕らの予定に合わせて直ぐに出発するって言ってくれるけど、可哀相過ぎるし、急ぐ旅でも無いのでもう一泊する事にして、のんびりする事にした。他の予約が無かったのですんなり泊めてもらえた。

 エリカさんはお部屋で爆睡。風香と音は狩りに行って、僕は愛菜と釣りに出掛けた。湖の時は全然だったけど、川釣りは入れ食いであっという間に、人数分をクリア出来た。宿に持ち帰って晩ごはんのおかずに加えて貰った。狩りの獲物は野生化した鶏で、爆睡で回復したエリカさんが燻製にしてくれた。保存食になるし、お酒のおつまみに丁度いいそうだ。

 

 エリカさんは、僕らとお風呂が被らないように気を使っているようだったので、エリカさんが入っている時に4人で奇襲。

「アタシと一緒でイヤじゃ無いの?」

「何が?」

最近までオジサンだった事を気にしているんだろうけど、今はすっかりお姉さんなので、解らないフリしてみると、エリカさんは、説明しようとした。

「大昔の事でも気にしてるのかしら?ココなんて、羨ましい位ですわ!」

愛菜はエリカさんの膨らみを確かめ、風香と音と比べた。

「風香には負けてるわね。」

「あなたにだけは言われたく無いでしょうね!『あいな』だからAカップなんじゃない?『バカ』とかに改名したらBになれるんじゃないかしら?」

いつの間にか現れたシフォンが愛菜並の毒を吐いた。喧嘩になるかと思ったら、なぜかご機嫌で、愛菜はシフォンの髪を洗っていた。黒猫達も入ってきて定員オーバーなので、急いで洗って交代しようとすると、風香の奪い合いがまた始まって、エリカさんが1人面倒見ようとしたら、3人はパッと風香の影に隠れた。店もで初めて会ったときも相性悪そうだったけど、すっかり別人みたいなのに、やっぱりダメなんだね。

 部屋に戻って、明日からの計画を少し練ってから布団に潜った。エリカさんの衣装って言うか着替えが、ほとんど無いし、有る物が露出が多過ぎなので、次の集落で調達する事にした。部屋に戻っても、エテ、オートヌ、イヴェールの風香争奪戦は収まらず、プランタンは音、シフォンは愛菜の布団で寛いていた。カトリーヌは場を読んで、エリカさんの布団に移動した。少しすると、今日の敗北者なのかな?イヴェールが僕の布団に潜り込んで来た。まあ落ち着いたので、安心して眠りについた。

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