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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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観光魔窟

 3日間もあるので、南部にある温泉に行って見る事にした。途中には中規模の魔窟があるので、新しい武器や練習中の武器の、実戦練習が出来そうだ。魔窟の前には食堂や売店もあるそうなので、荷物は最小限にして馬車1台をカトリーヌに引いて貰った。

 お昼前に魔窟に到着。早めのランチに食堂に入ってメニューを探した。ここは、定食オンリーとのことで取りあえず胃袋を満たした。味を気にしなければ銅貨2枚で満腹になれるのは、なかなかのコスパだね。

 食後、魔窟に潜る。ここは12階層迄でマップもあるし、ランクの規制も無いので、途中流しながら最下層まで降りた。比較的強いヤツや大きいヤツでも必ず魔石を落とす訳ではなく、エリカさんが言っていたプライスレスの意味が実感出来た。古の魔窟で、ガイドのお兄さんのリュックがパンパンになったのと比べるとほぼ出ないって言えるくらいだった。その代わり?ナンパに遭遇するのがやたら多く3階層迄で4回。そこ位迄は、観光気分の魔物狩りもいるので仕方が無いのかな?流石に深い階層では会う人も少ないので、めんどくさい人は居なかった。

 最下層まで来て、小さな魔石が数個と何に使うか解らない素材を大量にゲットしていた。行止りの小部屋の様なスペースでティータイム。と言っても水筒のお茶で一休みするだけなんだけどね。


「そろそろ帰ろうか?」

帰り支度をしていると、風香の矢筒が岩壁に当たって、コツン?いや、ガラガラと壁が崩れ、下層への階段が現れた。

 用心しながら降りると、12階層迄とそう変わりの無い雰囲気だった。分岐の無い通路を進み、爬虫類?恐竜っぽい魔物を倒し、18階層迄クリアした。

 19階層は様子が違い、薄暗い1つの大きな空間で、強烈なドブの臭いがした。暗さと、比較対象が無いので、ハッキリは解らないけど、体育館が10個くらいの円形で、中央に直径の半分くらいの池?沼?臭覚で判断すると、多分ドブ以上に汚れた水が溜まっている。降りて来た階段以外に出入り口は見当たらない。魔物は見当たらないが、愛菜センサーには1匹引っ掛かっているようだ。

 暗さに馴れるとドブ池の中央に島というか、陸になった所が見えてきた。

「あそこに下層に降りる所がありそうね!」

風香はそう言うと、ドブ池に近付こうとしたが、臭いで押し戻されていた。

「竜に戻ったら皆んなを、乗せて小島まで飛べるよ!」

カトリーヌの作戦を採用して、島に渡った。着陸した島は直径10メートル程の円形でドブ池の水でネバネバ、下層への出入り口も見つからなかった。ツルっと滑って手を着いたら触れた部分からジワジワと透明な水になり、茶色い岩が見えてきた。そのまま両手を地面に貼りつけていると島全体が岩を露わにした。

「皆んな、離れないで!風香、結界をお願い!」

愛菜センサーが何かを捕らえた様だ。急いで集まって、結界を張って貰った。間一髪、黒い大波を防いだ。360度から繰り返し押し寄せる大波で結界の外の地面は見る見る真っ黒にもどってしまった。魔物が波を起こしているのかな?それなら魔物を狙えばいいのかな?愛菜センサーで魔物を探って貰うと、ドブ池全体が1つの魔物の様に感じるそうだ。

 波が収まるのを待つのか、黒い水を被って脱出するのか、二択しか無いのかな?黒い水、臭いの我慢するだけならいいんだけど、そんな訳にも行かない気がする。そうなると、『待つ』の1択。風香の持久力に頼るしか無い。風香を元気付けようと、背中から両肩に手を置いた。

「慈子?なんか肩が軽くなったわ!」

打ち寄せる波には変化無かったけど、結界から池に戻る水が透明にかわり、島全体が岩肌を取り戻した。波の黒さも薄まっていき、ほぼ透明な波になると、波での攻撃をあきらめた様だ。階層全体も明るくなって池の様子も解ってきた。真っ黒だった水は透き通り、底に黒いモノが沈んでいた。黒いモノがジワジワ集まって、5メートルは有りそうな人型の魔物になった。黒い魔物は池を飛び出て結界に迫り、渾身のパンチ!・・・だったけど、肘までが水になっただけで結界はノーダメージ。次に来た回し蹴りも魔物の膝下が水になっただけだった。魔物はネバネバの黒いモノになって、また人型になった。

「一回り小さくなったわね!」

愛菜は冷静に観察していた。魔物は池の外側に飛び出てて岩を投げる攻撃になった。岩を持ち上げたところを愛菜の魔力弾で攻撃。当たると飛び散ってネバネバななるが、本体に合流して元に戻る。音も魔力刃を飛ばし、魔物が再生に専念させた。僕も風香のサポートから、ノーマルの矢で加勢しようとすると、

「私のサポートさせてあげてもよろしくってよ!」

何を言っているのかピンと来なくて戸惑っていると…愛菜は自分の肩を指差した。愛菜の肩に手を乗せ、粉砕、再生を繰り返す魔物を見ていると、今度当たって粉砕した所はネバネバじゃなく水飛沫が上がった。数発当たって手足が無くなるとまた全体がネバネバになり、人型に戻った。今回はあきらかに小さく、2メートル越え位。片手を音の肩に移して、2人の攻撃を確かめると、魔力弾も魔力刃もネバネバじゃなく水飛沫になったので、どんどんネバネバを減らすと、

「見えたわ!」

後ろから風香の声がして、金の矢が唸りを上げると残ったネバネバを寄せ集めていた魔物が金色に光った。周囲に飛び散っていた黒いモノもすっかり見えなくなると、少し水位はが下がった池には、石伝いに渡れる所が出来たので、そこを渡って魔物退治を確かめた。黒い石を拾うと、船が沈んで溺死した記憶や漂流して餓死したり、サメに喰い殺された記憶が流れ込んできて、少し目眩がした。正気に戻ると、黒い石は、紫の魔石に変わっていた。

「今度は指輪かしら?」

深い紫をみて、皆んながエリカさんのお土産だって顔をしていた。

 明るくなったので改めて下への通路を探したけどやっぱり見当たらない。あきらめて戻ろうと思ったら、島にいたプランタンが手招きしていた。

「リアル、招き猫!」

プッと吹き出しながら島に渡ると、プランタンはこちらを見ながら地面を引っ掻いていた。風香が矢筒で突くと、ガラガラと崩れ、階段になった。

 階段を降りた20階層は、いかにも最下層の雰囲気だった。岩壁をくり抜いて作った机に書置きがあった。古い文字と古い言い回しで、正確では無いけど、クスリのレシピと、調合に使う壷がこの魔窟のお宝らしい。机の書棚に分厚い1冊の本、引き出しに金色の壷が仕舞ってあった。本と壷をゲットして地上に向かった。

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