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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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北国の魔窟

 翌朝、ばあちゃんの朝ごはんを食べて魔窟に向かった。安全の確認が出来ていないので、立ち入り禁止になるんだけど、おっちゃんは午後から作業するので、午前中は知らないと、黙認してくれた。朝から魔窟に潜って取りあえず、20階層を目指す。西国の魔窟で矢筒を見つけた辺りなので、もしかしたら何かあるかも知れない。

 昨日は小鬼ばかりの8階層までだったけど、いろんな魔物が、弱いヤツから深くなるにつれ少しずつ強くなる、西国の魔窟と同じようなルールみたいになっていた。9階層で西国への出入り口を確かめ、更に潜る。昨日の8階層からと同じように、暗闇に小鬼の組み合わせだった。黒い力を排除して、風香の結界の中から矢と魔力弾で制圧、15階層まで楽々と進んだ。

 16階層に降りると、魔法が効かない様で、結界が張れず、魔力弾や魔力を纏わせた矢が使えなかった。音の槍と風香の弓は有効で、愛菜は接近戦用に練習中の刀で防戦。ある程度、黒い力を処理すると、結界も魔力攻撃も復活するので、最初の少しの時間帯を乗り切れば、上の階層と同じように制圧出来た。ただ、魔法が使えるようになるまでが、下の階層になると、時間が掛かるようになって来た。なんとか20階層に到達。急いで、黒い力を処理。その間3人が持ちこたえてくれる筈なんだけど、小鬼達の攻撃は無く、黒い力を排除したあとはステージに上がり、お宝をゲット。カゴかな?鳥カゴのような物で、触ってみるとカゴは消えて無くなり、灰色のクッションみたいな物が落ちていた。拾おうとすると、逃げて唸った。カトリーヌが白猫になって同じくらいにのサイズで寄っていくと、意思疎通は出来る様で、おなかが、空いているそうだ。ご飯をあげると、警戒心パンパンのまま平らげた。ついでに僕らもお弁当にした。ばあちゃんのおにぎりは梅とオカカだった。

 満腹になった灰色猫は、さっといなくなった。お宝ゲットと思ったのに、1食提供のみだった。21階層からいつものパターンで降り続け、22階層からはワンフロアになって、ペットモードだったカトリーヌや黒猫達が本来の姿で参戦してくれたので、黒い力を処理するまでが戦い易くなっていた。

「お宝どころか、喰い逃げみたいだったね。」

「そうでも有りませんわ。」

愛菜センサーによると、一定の距離でついて来ているそうだ。

 36階層まで同じパターンで降り、西国の魔窟と同じならあと3つ。37階層に降りると、蜘蛛の巣で進路が塞がれていた。風香は金の矢で射る。西国では確実に粉砕していたのに、ほぼノーダメージ。

「背中の方が固いのかな?」

音が蜘蛛の巣を斬って、宙ぶらりんの魔物を反転させた。風香が矢を放つと計画通り、腹を捕らえた。が、結果に変わり無し。魔物は僕等を糸で攻めながら、音に近づく。愛菜は魔力弾で援護するが、感じているのかも怪しい感じ。魔物は音にジワジワ迫り、槍の間合いに入った所で音の突きがヒットすると、なぜ?って程に魔物が砕け散った。黒い力は充満していないので、薄暗い中目を凝らすと、トカゲかな?恐竜風の、三ツ首魔物が眠っていた。そっと階段を降りると、ムックリ魔物が目覚め、一本の首だけこっちを向けると、ズシンと地面が響き、巨体に似合わない俊敏な動きで僕らに迫った。風香の結界でガード、3本の首で噛み付いてくる。愛菜は魔力弾、僕は音が魔力を纏わせてくれた矢を放った。両方の前足を砕き、動きが止まったので、音が槍で襲い掛かり、首を2本斬り落とした。残った首を攻めようと、間を詰めると、落とした首の跡から、5本ずつ生えて来た。首に囲まれて、危うい所を猫達に助けられた。ジワジワと再生する前足を機能する前に斬り捨て、後ろ足も落とした。動きを止め、首に専念する。更に首を落とすとまた5本出て来るのか不安だったが、たぶん最初に増えてからは、落とした分が再生して数は、11本のままだろう。ずっと優勢を保っている気がするんだけど、再生スピードが速く、こちらの体力が持つのか心配になって来た。皆んな無傷じゃないし、風香も戦闘に参加しているので、ヒールを掛ける暇もない。疲労が溜まっていているのはハッキリして来て、完全に再生スピードに負け、11本の首が襲って来た。防戦一方になり、魔物の足まで再生してしまった。少しずつ後退して上の階層への避難を試みた。いい感じに出口を背に後退していると、魔物は飛び上がり、出口を塞いだ。次の手を考えなくちゃ!と言っても、考えるネタがない。取りあえず、襲って来る首の相手をするしか無かった。

魔物の首達が『ギュワー』と叫び、ダラリとうなだれた。魔物の背中から、灰色の塊が飛び出し、僕らの目の前に降りた。新たな攻撃かと身構えたけど、飛んで来たのは灰色猫で、魔物の首を咥えていた。自慢げに首を置くとペットモードになって、保存食の荷物の横に行って、視線で報酬を請求した。

 魔石を拾い、再生しない事を確かめてから、灰色猫におやつをあげて、僕らもおやつにした。風香は皆んなにヒールを掛けて周り、なんとか体勢を立て直した。

 38階層に降りると、また蜘蛛の巣。音がそっと近寄って、槍で一突き!あっさり撃破。メインの魔物は真っ黒な岩のような人型で身長は5メートルはあるだろう。ノシノシ歩いて踏みつぶしたり、同じくらいのウエイトのパンチがヤツの攻撃バリエーションらしい。飛び跳ねる黒猫を追ってふらついているので一通りの攻撃を試して見た。

「この魔窟って、音の槍が有効だから、最後にとっておいて、他が効くか試そうね!」

西国の魔窟では無敵だった風香の弓は全く効き目無し、愛菜の魔力弾、音の魔力の矢、僕の剣も一切効かなかった。

「槍、いってみる?」

音は頷くと、岩の魔物の足を突いた。片足を粉砕して、岩の魔物は轟音と共にひっくり返った。地面の高さになった頭部に跳び乗り、眉間を突くと全身が砕け散った。 

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