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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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魔物のお洋服

 都に戻り、宿を取って店を回った。ペットショップで首輪を選んでいたら、

「お客様、そのコ達の首輪は当店ではちょっと。」

申し訳無さそうな店員さんに、

「いえ、コレが可愛いと思って、色を考えてたの!」

「申し訳ございませんが、それは普通の猫ちゃん用です。巨大化した時、切れてしまいますし、首を痛める事もございます。」

ん?やっぱり魔物なの?

魔物向けのグッズの店の地図を渡してくれた。

 可愛らしいペットショップとは違い、魔物を使役する為の道具等、極々実用的なモノばかりだった。お店のお兄さんに用件を告げると、奥の倉庫みたいな所に案内されて、

「まあ!可愛いわね!」

オジサンかオバサンか判断が難しい店員さんが迎えてくれた。

仔猫を撫でようとすると3匹は毛を逆立てて唸り、1匹はその後ろで小さく丸まっていた。

「大丈夫、怖くないよ!」

カトリーヌがそう言って、白猫の姿になって、オジサンかオバサンか微妙な店員さん、エリカさんの肩に乗った。黒猫達は警戒モードは解いたけど、撫でられ心地が良くない様子。

 カウンターから出てきたエリカさんは間違えなくオジサンだった。細身の長身で、紫の髪はポニテして、チャイナドレスを着ていた。アトリエと言っていたけど、体育館みたいに広くとったスペースの中央に猫達を連れて行くと、エリカさんは、

「1番大きくなって!」

解らないのか、無視しているのか、黒猫達に変化は無かったけど、カトリーヌが説明して理解したのか、魔窟で最初に見た時のサイズになった。エリカさんが首周りを計って、

「次は人型ね!」

カトリーヌが宙返りをして人型になると、黒猫達も真似て宙返り。床なのかな?ミシっと不安な音がして、黒髪の少女がフワリと着地した。えっ?変身も出来るの?

 驚く僕らの反応を不思議そうに見たエリカさんは、肩に掛けていたマントを4人に掛けて、少し離れて見ていた僕らの所に戻り、カタログを広げた。分厚い本の中から、パラパラをページを捲り、

「オススメは、この辺りね!コレなら白のお嬢ちゃんと色違いっぽくできるわよ!」

早速頼もうと思って、金額を聞くと一着金貨60枚。キチンとした宿に夜朝付で泊まっても金貨1枚で大抵はお釣りが来る位なのでかなりの高額に驚いた。

「あら、殆ど原価よ!あなた達でしょ、アタシの田舎を魔犬から救ってくれたの?ウチで使う生地は全部あそこから仕入れているから、廃業寸前だったのよ。お陰様で復活できたから、大サービス!」

ぼったくりでは無さそうだし、魔石を売ればその位はなんとかなりそうなので、

「魔窟で採ってきた魔石を売ってからでもいいですか?出張所の人に専門店に持ってくように勧められたんです。現金はそんなに無いから。」

「ええ、それなら協会の隣に行くといいわ!」

取りあえず、デザインとかサイズを決めてから、宝石店に向かった。支部の前を通ると、受付のお姉さんが退勤して出て来た所で、ちょっと立ち話。

「黒猫ちゃん達の首輪を探していたら、魔物用じゃないと駄目って言われて、専門店に行ったら、人型になれるのが判ったの。人型の時のお洋服と猫の時の首輪に対応すると金貨240枚するんで、コレ換金しに来たの。」

「ちょっと待って、支部で色々お願いしてるエリカさん(・・・・・)に頼んだら100枚位で作ってくれると思うよ、一緒に行ってあげようか?」

「えっ?今エリカさん(・・・・・)の所から来たんです。倍以上吹っ掛けるなんて、酷いです!」

「エリカさんがそんなコトするなんて聞いたこと無いのよね、4着で960枚って何か事情でもあるのかしら?」

「ち、違うよ、4着で240、1着60枚でほぼ原価って言ってたよ!」

「まあ、やっぱり!エリカさんに限ってそんな悪徳商売すると思わなかったわ!」

 エリカさんの疑いは晴れ、宝石店に入った。大きな石だと金貨数千枚にもなり、取りあえず、240枚を現金で貰って風香が猫達を連れてエリカさんの店に向かった。宝石店のおじ様は、僕の刀を見て、

「日光、月光のレプリカですね?柄の所に魔石が嵌められるようになっていませんか?」

丸い模様だと思っていた所を確かめると、カウンターに並べた魔石の中から、ダイヤ風の大粒を2つ拾って、

「この位ですね。魔力が蓄積出来るようになったり、魔力媒体としての効率が良くなりますよ。」

魔力を纏わせる物を魔力媒体と言うそうだ。音の魔法で纏わせて貰っているけど、魔石に蓄積した魔力って僕でも使えるのかな?見掛けもキレイなので丸い模様に魔石を当てて見ると、吸い込まれるようにしっかりと嵌り、刀全体の輝きが増したように感じた。

 おじ様は、青い石を1つ、緑の石を2つ選んで、槍、弓、矢筒に勧めてくれた。青い石を受け取った音は、僕と同じように、槍に近付けると柄の飾りにキレイに嵌っていた。風香が置いていった弓に愛菜が、矢筒に僕が緑の石を嵌めた。どれも風格が増したように見えて、音が槍を構えると、

「ここで試さないで下さいね!店が吹き飛んでしまうかもしれませんから。」

おじ様は、冗談かどうか微妙な反応で音を制した。

「東国へお越しのご予定は?」

「いえ、特には・・・」

おじ様の説明によると、各国に古の魔窟があって、最下層にお宝が眠っているそうで、南国の魔窟には魔王が封印されていて、北国では見つかっていないらしい。お宝ゲットの可能性が高い、東国の魔窟にチャレンジする事を進められた。魔窟同士は繋がっていて伝説では、あっという間に行き来が出来るらしい。

「赤い魔石は東国で人気なので、ここより高く売れますし、喜ばれますよ!」

赤以外全部で7千枚を超え、金貨250枚と端数分を現金で貰って、残りは振り込んで貰った。

 宿に戻ると、風香は人型になった5人とロビーで待っていた。

「もう出来たの?」

「ううん、普通の子供服よ、大きくならなかったら大丈夫でしょ?7着で金貨1枚、お買い得でしょ!間違って2着多かったの、返そうと思って店員さんに言ったらオマケでいいって!」

間違えて着たまま変身して破っちゃうかもしれないので、予備も有ったほうがいいかもししれないよね


 皆んなでご飯を食べに行って、明日また魔窟に潜る計画を話した。元気な3匹の黒猫達は風香を奪いあって、おとなしいプランタンは音に甘えていた。競争に敗れ第2希望なのかな?普通に音がいいのかな?幸せそうなので問題無いんだけど、愛菜は人気無いのかな?3匹の争いよりラクそうなのにな。カトリーヌが気を使ったのか、慌てるように愛菜に絡んでいた。愛菜はいつもの憎まれ口無しでカトリーヌを撫でていた。3匹の争いは一応決着がついたのか、風香にムリヤリくっついておとなしくしていた。そろそろお部屋にいって明日に備えよう。

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