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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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古の魔窟・帰還

 階と登るとまた熊の階層。迷路になっているので、遭遇したりしなかったりで登り階段を見つけ5階進んだ。魔物のサイズは上層になるにつれ小さくなり外で見るものと同じくらいになった。

「ガイドマップにある最下層まで来ました。ここが15階層です、もうすぐ地上に出られます!階段の位置も把握出来ていますから、安心ですね!」

ガイドのお兄さん、強力な魔物に麻痺したのかな?初心者なので今日は7、8階層を目処にしようって言ってたのをすっかり忘れているみたい。

「その前に、気になる所がありましてよ!」

愛菜はガイドマップを指差して、

「魔物が集まってますの、どなたか襲われているのでは?」

急いで向かうと、3頭の熊の魔物が獲物を囲んでいた。獲物が確認出きるまで近付くと、上の階層で絡んで来たガラの悪い奴らだった。

「あら、あの方達でした?お邪魔でしょうから、上に行きましょうか?」

愛菜はそう言いながら僕らに目配せして1頭を魔力弾で撃ち抜いた。残った2頭が迫って来て、愛菜の餌食になった。風香がヒールを掛けようと駆け寄ると、ガイドのお兄さんが、

「意識を先に戻して!」

女医さんにコツを聞いた時、意識を失った怪我人の場合、先に損傷を治してから意識を戻すと、意識が無いうちは麻酔代わりになるって言ってたよね?

「魔物と戦っていた時は、その順番だと、意識が戻った途端、闇雲に反撃っていうか攻撃してくる事が多いんで、意識をハッキリさせた後に怪我を治すのが魔窟でのセオリーなんだ。僕が意識を戻すから、怪我の方を頼むよ!」

 回復した人達は全員Cランクの4人パーティーで僕らに嫌がらせをした時に、自分達も床が抜けてこの階まで落ちたそうだ。今まで10階層が最深記録だった所、いきなりの16階層で手も足も出せなかったみたい。申し訳無さそうにはしていたけど、有り難うも、ごめんなさいも無かった。まあ、そんな奴らなんだろうと、気にもしなかったけど、ガイドのお兄さんがキレて叱りつけていた。同行はしないと断言して、先に行けと追い立てた。

「またレスキューとヒールの手間が増えるのも迷惑ですわ、視界に入らない程度について来ると良いですわ。」

ガイドのお兄さんも、後で捜索隊を出す事になるのも面倒なので、同行する事になったけど、

「やっぱり、俺達と一緒がいいよな?」

調子に乗って、愛菜にハグしようとしたら、感電して失神してしまった。

「お目覚めになったら付いて来てもよろしくってよ!」

愛菜はさっさと階段を登り、結局は別行動になった。相当怒っているようで、愛菜センサーを駆使して、一匹の魔物も倒さずに、13階層まで登った。

「3階層までショートカット出来ますけどどうします?」

「是非お願いするわ!」

3階層から上もセンサーで散歩の様に通過した。


 魔窟を出て出張所に帰還の報告をする。最下層のお宝ゲットを告げると、係のオジサンがポカンと口を開け、何か言おうとしているようだけど、ハフハフとしか聞こえなかった。

「魔石は途中リュックがパンパンになったから、熊の魔石は最初のデカイのだけしか持ってこれなかったよ!どれもデカイんだけど熊以外は全部真っ黒で使いモノになるのか解らないよ。」

結構ハードだったのにしっかり回収してくれてたんだね。一番大きいのを手に取っても見ると、最下層で見たイメージが流れ込んでどんよりした気分になり少しするとパッと気持ちが明るくなり、持っていた魔石が白銀に煌めいていた。他の魔石も触ると色とりどりに光り、買取査定をお願いすると、初めに上層階で採った物以外は、『鑑定不可』か『支払不可』で、都の専門店への持ち込みを勧められた。大きめなのをいくつかガイド料代わりにお兄さんに渡そうとすると、そのなかで一番小さいのだけ受取り、

「これだけでも、ガイド料何十回分か解らない位の高額報酬だよ!」

素直に他の魔石は引っ込めて、係のオジサンに、

「16階層で死にかけたパーティー助けたんですけど、ソリが合わないので、別行動で帰ってきたんです。たぶん自力では帰って来れないと思うんで、捜索隊の費用に充ててください。」

大きめの魔石を渡した。さっきのでガイド何十回分なら、レスキュー何十人分にはなると思うので、出張所は潤うし、見捨ててきた罪悪感が薄れるので、遠慮するオジサンに事情を話して受け取って貰った。

「優しいんだね、オジサンだったら、ヒールじゃ無くトドメだろうな。」

物騒な冗談?で笑って受け取ってくれた。

 マップより、下層の話しをして盛り上がっていると、仔猫を4匹連れた黒猫が、ヒョイとカウンターに乗った、並べてあった魔石の一つを呑み込んで、ヒラリと飛び上がったと思ったら宙に消えてしまった。仔猫達は魔石には興味無い様で消える事もなく、風香にジャレ付いていた。お腹を見せてゴロゴロするスタイルは、ずっと下層にいた猛獣達の仕草そのものなんだけど、同一人物?イヤ同一猫?馬車にもついて来るので一緒に連れて行く事になった。

「お名前、付けましょうね!」

風香の提案にカトリーヌが即答、

「プランタン、エテ、オートヌ、イヴェールだよ!」

「何か意味あるの?」

「竜の国の言葉で、春夏秋冬だよ!お姉さん達いなくなって、ちーちゃんベソかいていたからね!」

そう言って、パッと白猫になって一緒にジャレ始めた。全員一致でカトリーヌの命名で決定した。ただ、4匹の区別が付かないので首輪を用意する事にして都にもどった。

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