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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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古の魔窟・下層部

 灯りを点けると、意外と狭い円形のスペースで真ん中にステージの様な台があり、なにか黒い物が刺さっていた。ステージに近寄ると、皆んなは具合が悪いと膝を付いてしまった。

「一応、あの刺さってるやつチェックして来るね!」

ステージに上がって見ると弓の様に見えた。掴んで見ると、黒い力が暗く冷たいイメージになって流れ込んで来た。今までにないパワーで気が遠くなって来た、じいちゃん、ばあちゃんとの楽しい思い出や、支部で楽しく過ごした事、四季の姉さん達と楽しく旅ができた事を思い浮かべ、何とか意識を保った。意識がハッキリしてくると、手には金色に輝く弓が握られていた。真っ黒だったステージも茶色の岩になり、ほんのり明るくなっていた。

 明るくなって気付くと、かなり大きな蜘蛛の魔物が蜘蛛の巣を張っていた。風香に金の弓を渡して魔物を狙って貰った。強く引いた弓から渾身の矢が放たれた。矢は魔物を貫き砕け散った魔物の背後に上への階段が現れた。辺りを見渡し下りの階段や通路は無く、注意しながら階段を登ると愛菜が、

「デカイのが5匹ね、ひとり一匹かしら?」

こちらには気付いていない様子なので、階段の途中で一休みした。

 そっと階段を上がり様子を伺うと虎かな?豹かな?暗くて模様が解らないけど、ネコ科の猛獣が4頭だ。しかもデカかった。丸くなって寝ていたのでサイズは見当付かないけど、相当の大きさだ。起こさないように、出口を探した。愛菜の検索で、少し離れた岩場に蜘蛛の巣が張ってあり、さっきの階層にいたのと同じ蜘蛛の魔物がいるのを確認した。そこが上への出口かも知れないので、そっと近付いた。岩場を伝って歩くと風香が足を滑らせ、お兄さんが抱きとめた。何とか体勢を立て直したが、お兄さんの手が、風香の豊かな膨らみを包んでいる事に気付いて、驚いたお兄さんが坂を転げ落ちてしまった。猛獣達が、目を覚ましたので慌てて追って結界で護るつもりだったが、間に合わず、猛獣に取り囲まれた。爪が来るか、牙が来るか、緊張が走ったが、タオル位はありそうな舌で風香を舐めると、おなかを上にしてゴロゴロと、たぶん甘えてるんだろう。風香が撫でると、更に嬉しそうにゴロゴロした。

「もう行くからね!」

おとなしく見送ってくれた。

金の弓で蜘蛛の魔物を粉砕して階段を登った。


 次の階層の魔物もおとなしいとは限らないので、慎重に探った。愛菜のセンサーには2匹引っかかっている。出口の蜘蛛が一匹なら、もう一匹だけの筈。見回しながら見通しのいい所を探した。岩場を少し登ると、すぐ隣の岩が砕けた。余りの速さで良く解らなかったが、さっきの猛獣が仔猫に見えるほどの大きなネコ科の魔物だった。目が見えていないのか、音に反応して、当てずっぽうに攻撃しているようだ。風香は大きな声で、

「目が痛いのね?見せて!」

魔物は落ち着いて、風香の近くの地面に顎を着けた。風香は両眼に刺さった大きな棘のようなものを抜き取り、治癒魔法で眼を癒やした。しばらくして風香を舐めた舌は今度はバスタオル?、風香は巨大な鼻を撫で、

「下に居た4頭ってあなたのお子様かしら?」

ピクリと動いて嵐の様に吠えると、下の階から仔猫?巨大な子供が上がって来た。楽しそうにじゃれ合っていたけど、地響きが酷いので、急いで蜘蛛退治。今度の蜘蛛は脚が6本しか無かった。母猫?の眼に刺さっていた2本かも知れない。金の弓で退治して階段を登った。


 次の階層には蠍。立てた尻尾の高さで1メートル程はあったので、毒の量を考えるとゾッとした。攻撃の気配の無い蠍に対し、風香の結界の中から飛び道具と言う、僕らのスタイルでどんどん始末して、安全に踏破した。出口の蜘蛛の巣は無く、階段を登ると、また蠍の階層だった。ここの蠍も全く動きが無いので、登りの階段までそっと進んで見た。蠍に変化があれば直ぐに結界を張れるように準備して慎重に進んで、階段を半分登った瞬間、蠍達が騒ぎ出した。慌てて駆け上がると蠍達は階段には上がって来なかった。蠍の階は全部で10階層あって、2つ目以降は、そっと通過する作戦でクリアした。降りて来る相手に反応するのかな?

 次の階層はムカデ。巨大なムカデがいきなり襲って来た。結界でガード、音が放つ魔力を纏わせた矢は弾かれ、愛菜の魔力弾も効果無く吸収されてしまった。魔力弾を氷にすると当った部分が凍り、数発で頭部が凍って動かなくなり、音が槍でトドメを刺した。ムカデの階層は続き、階が上がると小振りになるが、数が増えた。音の弓も愛菜の魔力弾も効くので苦戦はしなかったけど時間は掛かった。5階層分のムカデを退治して上がった階層は雰囲気がガラリと変わった、これまでは巨大なワンルームだったけど、洞窟が大小の部屋のようになった所と迷路の様な通路で構成されている。

「ガイドマップに載ってる分の一番深い所かそれに近い階層だと思います。そうだったら熊の魔物がいる筈です!」

早速現れたのは5メートルはありそうな熊の魔物で、外で見る魔物の倍位かな?しかも俊敏。間一髪、細い通路に逃げ込んで難を逃れた、魔物は前脚を突っ込み僕らに迫ったけどギリギリ届かず、引っ込めて覗き込んだ。目が合った瞬間、風香の金の弓が炸裂、魔物の目から脳を貫いた。愛菜センサーではこの階層には他に魔物はいないので、上の階層に登った。

 これまでのパターンだと熊の階層が続くと読んでいたけど、最下層のような暗さでほとんど何も見えず、何かが動き回る音がカシャカシャ。結界を張って様子を見ようとしたが、全く機能しない。愛菜と音も魔法を試したが発動しなかった。目が慣れて来ると、カニだろうか?ノソノソの寄って来てハサミを振り上げた。剣で受けると、刃を合わせたような金属音が響いた。魔法無しの剣でなんとか倒した。足元が滑り、壁に触ると触った部分が茶色い岩の色になって直ぐに真っ黒に戻った。ベタっとも触って黒い部分を減らしていくと、最下層のようなステージが見えて来た。僕らのいる所が段々明るくなるとカニ達は反対側に逃げて行ったので難なくステージに登り、筒のようなものに触って見た。すっと金色に輝くと部屋中の黒いモノが消えて、下の階層と同じような岩の壁になった。行き場を失ったカニ達は登り階段付近にかたまり、魔法が復活した愛菜が大玉の魔力弾で一掃した。

「あんなに大きいのって凄いね!」

驚いて褒めると、

「小さく集中させる手間を省いただけよ、ぼんやり弱い攻撃だけど、ここに住み着いている魔物なら魔力攻撃に弱そうだと思ったのよね!」

 金色の筒は矢筒で最下層で見つけた弓とセットのようだった。今回はたまたま下から攻める事になったので、良かったけど、弓が無くて矢筒だけだったら、有り難み無いよね?僕らの場合は結果オーライって事で、気にしないでおこう。

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