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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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輝く6年、暗黒の3年

 ずっと後になってからおっちゃんの話しは、本当の事だって知ったけどその頃はおっちゃん夫婦と僕を引き取って育ててくれているアパートの大家の老夫婦だけしか知らない秘密だった。

 僕は慈子(ちかこ)と名付けられた。慈しみ深い人に育って欲しい事と、『滋』『絆』の『糸』の上の部分を揃えての命名だった。本来なら、ヒーローとヒロインに元に産まれた筈なんだけど、お尋ね者の娘の様にそっと育てられた。じいちゃん達は、武道家で、東国の指南役迄務めたほどの実力者らしいんだけど、もう十数年前にリタイアして、近所の子供相手に道場的な事をしている。でも僕には教えてくれなかった。きっと強くなったら、お父さんとお母さんの娘だと気付かれると思ってのの配慮だったんだろうね。

 

 僕は、元気に育ち、小柄でぽっちゃりした容姿と人懐っこい性格だからかな?誰からも可愛がられた。じいちゃん達の心配を他所に、道場に通うお兄さんお姉さんの見様見真似で、あっさりと武道を身に付け、子供達では敵う相手が居ないほどに強くなっていた。学校に上がる頃には、大人の魔術師に付いて、魔物の駆除なんか迄出来るようになっていた。普通だったら魔術師の下請けは、危険な割には報酬が少ない、ブラックな仕事らしいんだけど、僕はそこでも可愛がられて、充分なお小遣いと食事やおやつを貰っていた。魔術師のお姉さん達はおさがりをくれたり、お洋服を買ってくれたりして、自分でお洋服を、買ったことが無いくらいに充実していた。学校の成績も結構良くって、魔術師志望の子は皆んな、中学を出たら僕とパーティーを組みたいと、引く手数多だった。


 中学に上がると魔力の測定があり、魔法が必須教科になる。だいたいがEランク程度だが、僕みたいなタイプだといきなりCランク位で、将来のSランク以上を期待できる力を見せることがよくあるそうなので、クラス中の注目を集めた。熱い視線の中で測定した結果は、まさかのFランク。Fのほとんどの人は、生涯Fのままで、Sなんかは夢のまた夢らしい。魔法の授業が始まると、僕はまたまた皆んなを驚かせた。魔法が使えないFランクでも、魔具を使えば、魔法じゃ無いと出来ないレベルのBランクか日常生活に使えるCランク程度は使える筈だが、どんな魔具を使っても全く魔法が使えなかった。3年間訓練しても、魔具を使っても何も出来ないままだった。小学校では人気者だったけど、将来パーティーを組みたがる子な居なくなり、()子と読み替えてG子、Fより下のGランクのG子と呼ばれるようになっていた。

 協会の仕事は、パーティーは組めないので、相変わらず下請けだったけど、しっかり働き、魔術師達からの信頼はキープしていた。宗教関係等で魔法が使えないシーンでの依頼には僕有りきでの計画が当たり前な位だった。ただパーティーメンバーになってしまうと、パーティーランクがFになってしまうため、魔術師デビューは叶わなかった。

「他の支部でも、Fで頑張ってる子が居るんじゃないかしら?」

卒業近いある日、いつもお下がりをくれるお姉さんパーティーの下請けをした時にアドバイスを貰った。

 早速、協会のお姉さんに相談すると、

「ちょうど同い年のFランクが3人いるわ、皆んな別の支部だけど、会いに行って見るといいよ、チーちゃんなら直ぐに仲良しになれるんじゃ無いかしら?」

「よし、ちょっと足を伸ばすとしましょうか!」

スカウト行脚をする事して家路についた。


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