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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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繊維業の集落

 お昼を食べて少し走ると、繊維の集落に到着。早速、洋品店を探したがどこも閉店中。歩く人も疎らで、やっと話を聞けたおばあさんに依ると、魔犬の群れが集落のすぐ上に住み着いて、そこより山に有る桑の畑に入れ無いので、カイコが育たずに死に掛けているそうだ。家々は各自結界が張っているが、外はノーガードなので、昼間慌てて用事を済ませたり、買い物したりするそうだ。

 協会の出張所に行って様子を聞いて見ると、だいたいおばあさんの話で合っていて、近くの支部に駆除要請をしているらしいが、しばらく音沙汰ないので、伝令が襲われて伝わって居ない可能性が高いそうだ。群れは8頭でボスでも大型犬のサイズらしい。強力なヤツになると、馬や牛のサイズになるので、魔犬としてはそう強い方では無い。地図に今時点で解っている巣の情報なんかを書き込んで貰い駆除に向かった。

 巣は農家の馬小屋を乗っ取って、ボス犬らしいヤツは敷き藁でゴロリと寛ぎ、ぐっと小さめな2頭が毛並みを整えていた、お妾さん1号2号かな?巣にはその3頭だけなので、他の5頭は出掛けているようだ。先ずは弓で攻撃。お妾さん達は一発で倒したが、ボス犬の毛皮は矢を通さなかった。結界でこちらは見えていない筈なんだけど、矢の出どころをみて突進して来た。至近距離からの矢はなんとか刺さったが、ダメージはあまり無かったようで、雄叫びを上げ、結界の手前で後ろ脚だけで立ち上がった。振り下ろされた前足にカウンターで愛菜の魔力弾を撃ち込むと、付け根まで粉砕した。そこを狙い動きを封じた所で音の槍が喉笛を斬った。

 ボスの雄叫びを聞いての帰還だろう、ボスよりはやや小さめなヤツらが5頭、連携して来るので始末が悪い。分散させる為、僕らは離れて矢を射た。ボスよりはダメージあるようだが逃げながらの矢は的中率が悪かった。魔力を纏わせた3本を確実に撃ち込み、なんとかダウンさせた。音と愛菜も何本か命中させ、弱らせた相手と戦っている。風香は結界で耐えているが、時折飛び出す矢は、魔力なしのノーマルな攻撃だった。結界の制御をしながらの魔法攻撃は難しいようだ。先ずは、風香の負担を減らす為、1頭に矢を撃ち込み、気を引いて逃げ回った。残った1頭が白く光ったかと思うと、グングン上空に昇って行った、眩しくて解らなかったが、カトリーヌが竜の姿に戻って魔犬を捕まえて飛び上がったようだ。急降下で僕が対峙していた魔犬にぶつけ2頭纏めてダウン。トドメを指して残りの援護に向かったが、カトリーヌの大技にビビった2頭は逃げ腰になりその隙きを音と愛菜がトドメを刺した。情報以上に魔犬が居ないか、仔犬は居ないか等を調べ、馬小屋の横にあった荷車に8頭積み上げ、カトリーヌに馬になって引いてもらった。

 出張所に届け、駆除証明書を発行してもらった。支部に提出すると報奨金やパーティーの実績にカウントしてくれる。荷車を返しに、さっきの農家に戻ると恐る恐る、中を覗いている若夫婦らしき二人がいたので、駆除の報告と荷車を借りたお礼を言った。

「いやいや、荷車のお礼なんて、アイツらやっつけて貰ったお礼の方が、どんだけ大きいか計算できん位ですよ!」

そう言って貰えるとは思っていたけど、一応は無断借用だからね!

「それで、こんな田舎になんか用事あったの?」

「実は・・・」

カトリーヌの変身に対応したお洋服が欲しくて立ち寄ったと打ち明けると、旦那さんが指笛を鳴らした。集落のあちこちでも指笛が響き、出張所の前に男の人が集まっていた。馬小屋を占拠されていた旦那さんが、魔犬の駆除の報告と、カトリーヌのお洋服の件を話すと、あっという間に、皆んな居なくなり、代わりに洋品店のおばちゃんとお姉さんがやってきて、採寸とデザインの打ち合わせが始まった。いつの間にか、出張所に避難していた四季の姉さん達も加わって楽しそうに話していた。途中、夏さんが手招きするので、僕も参加。ピンクとブルーで決めかねて居たようだった、銀髪の天使風の美少女は、どちらも似合うと思うけど、瞳の色に合わせたブルーに一票。どうやらそれで決定したらしい。夏さんがお姉さんに一言言うと、更に僕を呼んだ。サイズが合わなくなった下着を新調するために採寸してもらった。

「なんとか在庫の有るサイズで良かったね、あっちのお嬢さん達のは、大きな街じゃ無いと置いて無いだろうからね!」

お姉さんは、風香と音を見て少し微笑んだ。

 お洋服が出来上がるまでと、集落の長老の家に案内され、さっき集まって散って行った人達がご馳走を抱えて集まって来た。断わる方が失礼な雰囲気になったので、遠慮なくご馳走になって、今夜のお宿まで提供してもらっちゃった。魔犬の駆除は、報奨金が貰えるのでそんなに歓待されると心苦しく思ったけど、集落の人も楽しそうなので一緒に宴会を楽しむ事にした。早い人が酔い潰れて来た頃、カトリーヌのお洋服が完成。きがえて貰うと、ファッションショーかと思う位の歓声が上がった。白に近い薄いブルーで、襟、袖、裾がグラデーションで濃いブルーになっている。お洋服を、着たがらないカトリーヌなので、締め付けの少ないAラインのフワっとしたワンピに仕上がっていた。ファッションショーと共に宴会もお開き。

 大広間に8組布団を敷いてのびのびと寝る場所が確保できていた。四季の姉さん達が怖い夢を見た時の対策で結界で防音して灯りを消した。

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