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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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懐かしい西国

 お買い物とかで時間を潰していると、

「お久しぶり!」

誰かな?アスリート系のカッコいいお姉さんが二人駆け寄って来た。

「すっかり鍛え上げて、一瞬どこのどなたって思たで!タカシマは一緒ちゃうんか?」

 ああ、あの二人!ナンパのお兄さんが、魔物の狼に噛まれて狼にされて、治療で日之出に渡る為に仔犬に見える様に若返って、泉の水で人間に戻って男の子になったんだけど、その前に魔物にやられていて、男性器から蝕まれ死に至る病だったので、魔法で性転換。ブヨブヨのお姉さんになったんだよね。2人は絞ってプヨプヨ位の時に会ったけど、3年間ですっかり別人のカッコいいお姉さんになっていた。

「タカシマは、家に引き篭もって、変身してすぐの私達よりはるかに太って、トイレに行くのも大変な生活をしています。家族と私達以外は誰とも会って無いんじゃないかしら?」

自分達が成功した、食事制限とトレーニングを勧めても全くやる気無し、強く誘うと機嫌悪くなるし、自分だけ(・・)醜い事を、八つ当たりするので、最近は殆ど会いに行っていないそうだ。姉貴は少し考えて、

「これで5歳位若返るわ、変身した時か、もう少しマシな位の体型になる筈だから、再スタートさせなさい。それでも駄目なら、もう放って置く事ね!」

一包の薬を渡した。

 巻物の解読結果を聞きに行く日を迎えた。研究施設に行くと、いろんな資料を見せてくれて、巻物の説明を始めようとしてくれた。資料を見ていると、ん?読めてる?

 改めて目を通すと、なぜか理解出来た。3年間眠っていた時に見ていた夢の内容が書いてあり、将来、魔族と人間が争った時の解決方法が書いてあった。

『魔の頭が生まれ変わった赤子を育てよ、古の墓を詣って、健やかを祈願せよ。』

 えっ?茜を育ててるのって正解なの?放り出す気にはならなかったけど、このまま育てても良いのか不安だったんだよね。お宝の巻物にいいって書いてるんなら安心だな。

『古の墓』って北国の北の島にあったアレかな?って言おうとしたら、皆んなそう思ったみたいで、一旦アパートに帰ってから、古の墓参りに行く事にした。

 天族研究のおじさんは、せっかく調べた内容を僕が読み解いてしまって、ガッカリの様子だったけど、

「他は何となく手掛かりがあって、徐々に読み進んでいるんだけど、コレはさっぱり解らないんです。」

挿し絵とかが無くて気付かなかったけど、じっくり読んでみると、新妻向けに書かれた、男性の扱い方の指南書だった。毎月の数日間や妊娠中等でパートナーの欲求に応えられない時の対処方法とかが、事細かく書いてあった。僕は、読めなかった事にして巻物を返そうとしたら、赤面がバレたのかな?

「差し上げますから、時間の出来た時にでも読んでみて下さいね。」

いつか役に立つ日が来るのかな?そう思ったら、更に耳が熱くなった。研究所を出ると早速皆んなのツッコミかと思ったら、茜のお陰かな?

「今晩、キチンと説明してくれる?」

中身を推測して、多分合っている姉貴は、ニッコリ笑って、『イエス』か『はい』の2択の質問をした。

 ランチをしていると、この前のお姉さん達が、ぽっちゃりの女の子を連れて、

「良かった!間に会った!」

予想通り?変身後に増量した分がカットされ、多分その前2年間で肥えたと思われる分もカットされて、かなりスッキリしたタカシマだった。頬の肉で押し潰されていた糸の様な目も、パッチリとまでは行かないけど、結構な大きさ。2人は強制的にトレーニングさせるつもりで、流石のタカシマも、この3年間の失敗を糧に頑張る気になっみたい。


 次のミッションが決まり、茜の心配もほぼ無くなったので、3年前に引き返した西国回りで帰国するコースを進む事にした。馬車に揺られ、途中テント泊、翌日夕方、国境に到着。手続きは茜の御札でほぼフリー、僕等もライセンスプレートを見せたけど、ちゃんと見てるか怪しい位だった。

 魔窟を回った時に通らなかった地域を選ぶ様にして蛇行しながら北上した。3年間でまた発生したのかな?盗賊の類に一日おき位に遭遇した。風香が接近戦の修行の成果を確かめたりしながら、サクサクと片付け、協会の支部に届けるパターンを繰り返し、西国の都に到着。ナベさんの支部に行って、昨日と今日で捕まえた盗賊を提出した。

「おう、お寝坊さん!王子様にキスして貰えたのか?」

ニッコリ笑って登場したナベさんは、カウンターじゃなく、パーティーメンバーの待ち合いからだった。他のメンバーを見ると、如何にも新人ってお兄さんばかり、そう言えば、僕も3年経って19歳になっているので、僕等より年下だろうな。

「支部長クビになってな、新人からやり直ししてんだ!」

カウンターのお姉さんも笑って居るので、勇退しての若手育成なんだろうな。

「大体の事は聞いているから、先ずはここに行って旨いもん喰って来い!」

ナベさんは、壁の地図の公園を指差して、僕等を追い出した。

 公園に行くと、広いスペース一杯にテントが張られて、炊き出しの湯気に長い列が出来ていた。

「旨いもんってこの列だよね?僕等も並んでいいのかな?」

「ナベさんが言うんやからええやろ!」

あらたが率先して列に加わった。数日前、竜巻と集中豪雨で、棲家を奪われた人達の仮住まいらしい。

 炊き出しの香りが強くなり、僕等の番になると、

「あら、お久しぶりね!」

四季のお姉さん達だった。炊き出しは尼寺からの差し入れだそうで、お喋りしたい所だったけど、時間は無かったし、お話ししたい事が沸き上がり過ぎて、お互いウルウルして、お手紙の約束だけで次の人の番になった。

 支部に帰って、ナベさんに起きてからの報告と北の島に向かう事を話した。ナベさんも、同行したいといい、直ぐにバラさんに連絡していた。

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