巻物
通路は下りながらクネクネと伸びて、少し大き目の空間に繋がった。魔窟の様な雰囲気で、雰囲気通りに魔物が出てきた。サクサク片付けるので、弱い魔物かと思ったら、古の魔窟でも結構な下層でてるようなレベルに見えた。皆んなの成長の成果なんだね!
魔窟と違うのは、下の階に降りるって感じじゃ無く、クネクネと通路を降りると偶に広い空間に出てそこに魔物が待っているって感じだった。3つ目を片付けた時、
「「そろそろディナーのお時間ですの!」」
先は長そうなので、晩ごはんにしてテントも張ることにした。
多分朝。目を覚まして朝ごはんの支度。カトリーヌがお手伝いしてくれると、茜も真似してお手伝い(してるつもり)。起きて来た皆んなに、
「そろそろ僕にもリハビリさせて!」
皆んなは頷いて、
「茜はアタシが見るわ。」
姉貴が子守を代わってくれた。
通路を降りて次の空間には狼っぽい魔物。魔力刃を最小火力で飛ばしてみた。威力は充分で、6発放って、4頭仕留め、岩壁に大穴を6つ開けてしまった。魔力弾も試し、6発放って、5頭仕留めた。岩壁の損傷は軽微なものだったので、洞窟内では、魔力弾がいいみたいだね。残った1頭は他より一回り大きい、ボスっぽいヤツで、魔力刃の時も、魔力弾の時も、上手く躱していたので、間を詰めて闘ってみた。身体の動きは、前のまんま軽やかだった。風魔法を纏わせた日光・月光は剛毛で護られた狼の首を、チーズを切る手応えで斬り落とした。
「動きは合格ね!魔力刃の調整はもうちょいかしら?」
姉貴は、飛ばす時の感覚とか魔力刃をコントロールするコツなんかを教えてくれた。前は、何を言っているのかサッパリだったけど、何となく解ったように思えた。次の空間も同じように狼だったので、飛ばし方に気を付けて魔力刃を放った。相手との距離を考えて、それ以降の距離では消滅するのが便利との事。感覚か解らずに、魔物の手前で消滅してノーダメージだったけど、ビビって固まっていた。動かない相手なので、改めて落ち着いて撃つとキレイに6頭倒し、洞窟は無傷だった。残りもサクっと斬り伏せた。
「今度は合格ね!」
姉貴は茜を僕に戻した。あとは見学って事かな?どんどん降りて、どんどん始末。一日闘って皆んなそれぞれ磨いていた闘い方の成果を確認できた。どこまで降りるのか解らないけど、取り敢えず晩ごはんにしてテントを張った。
朝(?)起きてまた降りる。今日は魔物の空間はなかなか出て来ない、ただただ通路を降りて、腹時計を信用したらお昼を過ぎたかな?やっと広い空間に出た。
現れたのは三つ首で、魔窟ならプレお宝フロア。
「ウチの出番や!」
魔力刃を飛ばすと、両方の前足を斬り、再生する筈の三つ首だけど、登鯉の斬り口からジワジワと蝕んで、そのままゲームセット。
次の空間は割と直ぐに出て来て、今度は魔物も出ず、お宝置き場っぽい机に古そうな巻物が置いてあった。中を見ると、多分、天族の言葉で書いてあった。
お宝を回収して通路を進むと、降りている感じじゃなく、同じ高さですすんでいるように思えた。しばらく進むと行き止まり。取り敢えず遅いランチにして、引き返す事にした。
戻る前に、
「突き当り、突いて見たらどや?」
あらたの提案に、姉貴は子午棒で岩壁を突いた。ガラガラと壁にが崩れ、見たことのある空間が現れた。
「ん?姉貴が作ったバスルームです!」
どれだけ潜ったか解らなかったけど、また山頂まで登って、またまた降りて来ると思っていたので、凄く近道した気分だった。
お湯を張り直して、のんびりお風呂。この前、お姉さん達と採りに行った辺りを回って山菜を採ったり、美味しそうな魔物を探したりしてディナーの準備。幸い、シビレ鹿を見つけたので、焼き肉かお鍋かな?キノコもいっぱい採れたし、虫眼鏡でちゃんと食べられるのを確かめてあるから、安心だしね。
巻物は見直してもやっぱり読めないけど、
「南国の研究施設なら天族の研究者もいるんじゃないかしら!」
風香が思い付いたように叫ぶと、
「新陸からじゃったら、南国が1番近いぞ、茜に会った時に逆戻りってのはどうじゃ?」
そうそう、南国から西国を回って帰る予定だったんだよね。その予定にして、今日の所は、パーティーに専念することにした。夕暮れから開宴して、のんびり味わってお酒も結構飲んじゃった。翌朝は皆んな二日酔いで、しっかりお湯に浸かってアルコールを抜いてみた。姉貴はこれが効くって言うけど、あんまり効果は感じられなった。
登山口の馬車に戻って、港に走った。南国便は明日の朝だったので、また一泊。お土産屋さんを物色して、晩酌のお供を調達したりして時間を潰した。本物のお風呂でリラックス。ちゃんと食器でご馳走をいただいた。新陸の料理は、日之出風なんだけど、ちょっぴり辛くて、新しい感覚でなかなか美味しかった、お部屋でちょっと二次会をして、お布団でノビノビして明日に備えた。
早寝早起き、やっぱり早目に港に着いた。南国便の船は、今まで乗った中で圧倒的にボロかった。錆び錆びで、板張りの甲板は足元を気を付けなければ、引っ掛けそうだし、踏み抜きそうだった。その代わり?魔動力が強いのか、かなり速く走っている様だ。距離も近いから、夕方には港に着いた。地図で見ると東国からの航路と比べると、5割増位のスピードだったんじゃないかな?
宿をとってから、音の弟達に会いに行った。天族の研究者を、紹介してもらって、そのまま連れて行って貰った。巻き物を見せると、目の色を変えて齧り付いていた。少し時間が欲しいとの事で、明後日また来る約束をして、巻物をあずけて宿に帰った。