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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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昏睡

 キラキラ眩しい青空の下、魔族と天族それから人間が仲良く暮していた。天族は老人ばかり、人間は子供や若者が殆どの様だ。子供が産まれなくなった天族と、魔族と天族のミックスの人間が発生した時期らしい。

 徐々に人間達が知恵を付けて、洞窟を後にして家を建てた。畑を耕し、道具を使って、魔族に劣る爪や牙を補ってなお余りある力を身に付けていた。

 いつしか人間達は、生肉を食べる魔族を野蛮だと蔑むようになり、分かれて暮らすようになり、別々の文化を築いた。

 違う文化は諍いを産んで戦になった。何千年もの間、どちらかが死に絶えたと思うほどまで闘い、時間を掛けて盛り返し、また戦になったらしい。ここ千年程は、人間が劣勢になると、日之出国に援軍を求め、ずっと人間の勝利で、魔族は森の奥深くに極少数隠れ住んでいるだけになっている。

 父さんと母さんが戦っている現場が見えた。魔王の部屋に乗り込んだ所だった。最後の攻撃って僕の魔力なの?おっちゃんが話してくれた内容と一致しているから、そうなのかな?妖艶な美女の魔王はどんどん小さくなりキレイな美少女、かわいい美幼女になり更に縮んで水晶になっていた。

 チョエン達が、魔王復活に奔走している場面も見えて来た。封印された四天王や十二鬼将の魂を呼び起こしたり、小鬼や魔物を使って、魂の器になる身体を作ったりしていた。

 走馬灯って言うの?何千年もの歴史をダイジェストで観て、何時間経ったのかな?身体の周りにしつこく絡んでいた黒い力がちょっと緩んだので、残りを一気に浄化すると、

「あっ!ママ起きた!」

目を覚ますと、3歳位かな?小さい女の子が居た。周りを見渡すと、蛍先生の病院で、さっきまでいた診察室じゃなく、入院する病室にいるみたい。

 パタパタと走る音がして、さっきの女の子が蛍先生を呼んできた。

「あら、お寝坊さん!ご機嫌はいかが?」

「なんか、グッスリ眠れた気がします!大昔から、何千年分の夢を観ていたした!」

脈をとったりしながら、

今月(・・)は、(どれみ)ちゃんと、あらたちゃんが居るわ、直ぐに来るはずよ!」

 バタバタと走る音がして、カトリーヌ、プランタン、イヴェールが登場、直ぐ後ろを音とあらたが走っていた。

ん?『今月』って言った?あれ?音もあらたもお化粧してる?なんだろう?パーティなんて有りそうも無いんだけどな?

『?』で、病室が埋め尽くされそうなので、皆んなに説明を求めると、

「めっちゃ寝てたで、3年2ヶ月や!」

あらたは、僕が眠っていた間の事を教えてくれた。

 茜を抱いて、浄化しようとしたのは覚えてるんだけど、どのタイミングで解らなくなったのか解らない。蛍先生の説明によると、浄化を始めると、あっという間に気を失い、診察室は黒い力が充満したそうだ。愛果と愛葉が、白い霧で対抗して、モルミ薬を改良した新薬を胃に流し込んで、輝曜石で血液をキレイにする装置をフル稼働させて、皆んなでヒールを掛け続けて、十日程で黒い力が溢れ出す状態から脱却できたとの事。それから眠ったまま今日に至るそうだ。

「茜とどっちがオムツ卒業すんの早いか掛けとってな、ウチ、慈子に乗って大損したんやで!」

笑いながら、3年ちょっとの事を教えてくれた。

 僕の見張りって言うか、付き添い?に2人残って、あとは2班に分かれて、大陸にもどって魔窟に潜ったり、日之出国を山を攻めていたとの事で、最南の島にある山を残してクリアしているらしい。そのお宝は、『ちくわ』とあとは魔力補助のアクセサリーとの事。大陸班は、ちょうど東国にいたので、船の手配中。山攻め班は元々明日戻る予定になっているそうだ。

 風香は、接近戦を磨く為、明星のレプリカの短剣で頑張っているそうだ。最近では、自ら結界を張りながら、レプリカで魔力刃を撃てるようになったそうで、普通の小鬼くらいなら束で始末しちゃうんだって。

 (どれみ)も、レプリカで闘って技を磨いているらしい。雷、炎、氷、風に加え、空間を切り裂いて、敵を吸い込ませる技を身につけたそうだ。強敵も難なく倒せるけど、駆除の確証も残らないのが珠に傷なんだって。

 愛果と愛葉は、相変わらず二人のままで、毒舌合戦も相変わらず。実は仲良しって言うのも相変わらずで、連携技を開発しているそうだ。同じ魔力刃をクロスして飛ばしたり、時差で撃ったり、違う魔力刃を組み合わせたりしているらしい。

 姉貴はひかりさんの研究所で魔物グッズで培った技術を戦闘服に応用したり、東国に渡って円さんの宝飾店を手伝いながら、技術を習ったりしていたみたいで、戦闘服は更に強力になって、使っていない皆んなのオリジナルの武器は新品同様になっているそうだ。僕の日光・月光もピカピカだって。 

 ベルは飛竜の魔力を絡める技を磨いているそうだ。元々、飛竜に頼らなくても色んな魔力攻撃が出来ていたので、必殺技の開発なのかな?面倒な魔力攻撃の相手の対策としても有効だよね。

 あらたは、飛び道具の開発。放水を覚えてから、水、氷に特化して練習しているらしい。元々の巨大化しての物理攻撃と斬り口から相手を蝕む攻撃だけでも凄かったので、技が増えるだけでもメリット大きいし、他のメンバーが芸達者だから、広く浅くよりも有効かもしれないね。

 皆んなの成長を聞くと、Gランクで僕だけ取り残されていた時みたいな感覚になっちゃったけど、パーティーとしては凄い進化だよね。蛍先生は、

「ずっと寝ていたから、筋肉が落ちているわ、そっと起きてみて。」

ベッドで上半身を起こすだけでも目眩がしていた。蛍先生のアドバイス通りにゆっくりベッドに座り、落ち着いてから立ち上がった。案の定、フラフラして視界が真っ暗になっちゃった。倒れる前に座ろうと思った、ホンワカ暖かい気分になると、身体の隅々迄、力が漲った。

「蛍先生、ヒールありがとうございます!」

一瞬でスッキリなんて、流石にお医者さんだね!

「えっ?慈子ちゃん、今、自分でヒールしてたわよ!」

えっ?僕がしたの?節々の動きを確かめていたら、

「ママ!」

女の子が抱きついて来た。

「あ、茜?」

茜はニッコリ頷いた。

ラストまで、あと10話!

目覚めた慈子は活躍出来るのでしょうか?


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