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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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卒業式

 馬車を選びに出掛けた。カトリーヌは白馬になって同行した。実際に引く本人(?)が気に入ってくれるのが良いと思っての行動なんだけど、おっちゃん達は馬に馬車を選ばせるなんて事は、考え付かなかったと大笑いしていた。8人乗って、8人分の一週間の荷物を積めるサイズだと、なかなかのお値段で、中古でなんとかって感じだった。その中からカトリーヌが選んだ物は荷物のスペースがギリギリでちょっと迷っていると、馬車屋のオジサンは、座席を詰めて荷室を増やすか、一回り小さい馬車に乗って、荷車を連結する提案をしてくれた。協会にも出入りしている人で、僕らの事情も知っていたので、荷車はうんと安いのにしておいて、4人を送り届けたら、西国で売っぱらってしまえば帰り道も楽ちんとオススメのようだった。そのサイズになると、選択肢が増え、カトリーヌ好みがすぐに見つかった。

「頑丈で乗り心地も最高だよ、ただ防御に関してはザル以下だけど大丈夫?多少の補強はサービスするよ!」

「じゃあ、これ使えるかな?馬車に付けたら装甲車になるって言ってたんだけど・・・」

アンヌさんに貰った鱗を見せると、

「どどど、どうしたの?国宝級だよ!流石に規格外のチーちゃんでもこんな鱗の竜なんて倒せないでしょ?」

「たまたま小鬼に襲われた所を助けたの。お礼にって貰ったんだ!カトリーヌのお母さんだよ!」

カトリーヌは元の姿になってオジサンへの説明のサポートのつもりだったが、オジサンは腰を抜かしてしまった。風香がヒールしてなんとかなり、鱗を装着してくれて、連結用の荷車は、かなりレトロな物をサービスで付けてくれた。

 ご機嫌なカトリーヌは白馬になって、馬車を引いた。アパートの空き地に駐車の許可は貰っていたので、馬車を停めてカトリーヌは幼女モードに変身した。

「ちーちゃん、ちっちゃい方、可愛く無いね!」

カトリーヌはレトロ過ぎる荷車はお気に召して居なかった。

「じゃあ、馬車と同じ色に塗ってみる?」

カトリーヌの目が輝いて、ペンキを買いに町に戻った。

 赤黒のツートンで取手や補強金具が真鍮製の馬車に合わせペンキで赤黒に塗り分け、補強金具が付きそうな所を金色で塗ってそれっぽく仕上げた。

「うん、可愛くなった!」

カトリーヌの太鼓判を貰い、DIYを終了した。

 

「嬢ちゃん達、魔力測ったらどうだ?」

おっちゃんは皆んなの顔を見て成長に気付いたようだった。3人ともDランクに昇格して、パーティーもF+++に上がる事になった。+は3つがマックスなので、僕がFのままだと、これ以上の昇格は無い所まで登った事になる。足を引っ張ってる感がハンパないけど、3人とも気にしていない様子なので、ただただ昇格を祝った。関所なんかで下位ランクだと舐められるので、丁度良いタイミングでの昇格だった。出発までには手続きしてくれると、おっちゃんはサッサと事務所に消えて行った。


 ロビーでお姉さんパーティーを会って、馬車と荷車を買ったことを話していると、小鬼偵察の時に一緒に行ってくれていたAランカーが、遠征向きかどうか見てくれると、アパートに来てくれた。馬車は合格、値段を聞いて驚いていた。

「チーちゃん、買い物上手なんだね!」

荷車を見ると、

「こりゃ酷いな、馬車の分こっちで儲けたのか?」

「いや、オマケに付けてくれたの。帰り道は4人だから、向こうで手放してもいい程度にしてもらったんだ。」

「使い捨てには勿体ないな、ちょっと手を入れたらなかなか使えるぜ!出発は明後日だよな?ちょっと借りてくぜ!」

荷車を自分で引いて帰って行った。


 翌日は卒業式。おっちゃんが正装して馬車で迎えに来た。続々と馬車が来て、バリっと正装してAランクのステータスプレートと、勲章を付けたおっちゃんの仲間たちは、風香、音、愛菜を乗せそれぞれの中学に向かった。彼等が来賓で呼ばれたら、一番の上座が用意される位なので、学校であまりいい思いをしていない、風香や愛菜にちょっといい思い出を作ろうとのサプライズだったようだ。

 立派な馬車から、おっちゃんのエスコートで降りてくる愛菜を見た先生達は驚いて、

「魔術師協会の支部長様が直々に卒業式に参加されるんですね!」

「ええ、我が支部のホープですから!学校ではFランクだったそうですね?」

愛菜は更新されたばかりのステータスプレートをチラリと見せて何も言わずソッポを向いた。

 風香の学校でも、セクハラ担任に睨みを効かせ、円滑に卒業式を済ませ、音は同級生から羨望の眼差しを集めて無事に卒業式を終えたそうだ。

 僕の卒業式は、じいちゃんとばあちゃんが来てくれて、和気あいあいの卒業式だった。明日からの遠征を聞いていたクラスメイト達が、御守を用意してくれていた。他のクラス、在校生、先生、用務員のおじさんまで、全員が一針ずつ縫った千人針だった。

「せめて、Gランクは卒業すれよ!」

冷かし混じりの応援で学校を後にした。

「シャツのボタン、全部止めたの何年ぶりだろう?」

愛菜と帰って来たおっちゃんは既にボタンを2つ外しネクタイもユルユルだった。他のおじさん達も同じような雰囲気で、主役達が集めた羨望の眼差しに満足した様子だった。

「アイナのステータスプレート見た時の先生、ちょっと気の毒だったな。」

おっちゃんはご機嫌だった。愛菜も満更でも無いようなのでおっちゃん達のサプライズは成功って事にしておこう。

「荷車、完成したぜ!」

傷んでいた車軸を替えて、いろんなオプションを付けてくれたそうだ。詳細は使って見てのお楽しみって事で教えてくれなかった。

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