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世界でひとりだけのGランク  作者: グレープヒヤシンス
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魔王城跡到達

「魔王城跡に近づいたようね。」

姉貴は道端の木々につけた目印で、同じ所を巡回する迷路結界に嵌まっている事に気付いた。

「薄っすらだけど、黒い力を感じるかもです!」

地面に触って浄化すると、森の中だと思っていたのに、岩場の周りをグルグル歩いていたみたい。

いくつかのグループが彷徨っていた様で、遠くからおっちゃんの声が聞こえた。

「また、ちー坊がなんかやったのか?」

たまたま職員室に用があった問題児の様な扱いで、再会の約束を果した。

「前の時にはな、教皇だの何だのって、機動力の無い部隊を待ってから、お祈りで片付けて貰ったから、1ヶ月以上掛かったんだ。」

他のグループも集まって来た。ナベさん、バラさんもやって来て、

「お手柄だな!コレなら結界を破るのも数日で出来そうだな!」

ナベさんが魔王城跡の結界について解説してくれた。

「結界の要になっている所を壊すんですね!」

要がどんなモノなのかは解らないんで、怪しいモノを片っ端から潰して行くそうだ。なかなか壊せないけど、要を攻撃すると、結界が乱れ、空気が変わるそうなので、そこを集中砲火で突破するそうだ。前回は見つけるのに10日、壊すのに2日掛かったとの事。気長に探すしかないと打ち合わせていたら、

「慈子!手伝ってくれへん?」

あらたが駆け寄った。

 プランタンが見付けた通路に強力な結界が張ってあり、愛果と愛葉の合わせ技も効かないそうで、連携攻撃を試す事になっていた。

 標的の正面にベルが立ち、斜め左右から、愛果と愛葉が赤い魔力刃を飛ばし、ベルが飛竜で魔力を搦めて増幅。その時僕はベルをサポートで魔力アップさせて標的を破る作戦。

 愛果と愛葉から赤い魔力刃が飛んで来るとベルの頭上でクロスした。飛竜が振り下ろされると、刀身が真っ赤に輝き、ほぼ同時に標的も眩しく輝いた。周りの空気がガラリと変わった。

 ただの岩場だと思っていた所は魔王城の塀だった。門が開いているのを見て姉貴は、

「次はあらたよ!」

おっちゃん達駆け寄って、

「近寄るな!人喰い門だ!」

あらたは門を潜らず、開いた空間を特大になった登鯉で突いた。刃が通過した所が光ると、ジリジリと弱い光が広がって、門に光りが伝わると、ガラガラと崩れて、城跡が見える様になった。

「それも一撃か!」

おっちゃんは息を切らして魔力を漲らせた剣を構えていた。

「あの時、アタシも一緒だったでしょ?どれだけ悔しい思いをしたと思ってるのよ?」

 やっと見付けて、やっと破った結界、勇んで踏み込んだ兵士達が14人も喰われたそうだ。姉貴は勿論覚えていて、登鯉での攻略は想定済み。作戦通り門を通過。

「黒い力に気を付けろ!」

おっちゃんは更に心配していたけど、地面に触れて浄化、愛果と愛葉も白い放水で濃い所を手伝ってくれた。魔晶石が幾つもセットされていて、一気に浄化するのは無理っぽいので、手分けして耐魔繊維の袋に入れて、周りの黒い力をしっかり浄化した。

「あの時は、俺達以外、この黒いヤツでヤラれちゃったんだよな!」

パンさんも追い付いて、僕等の浄化作戦に驚いていた。

「城の形にはなってますね、僕等は入っただけでやっとだったんだ。」

バラさんも、中の危険を教えてくれた。

 城の扉はフリーで、中はバラさんが言っていたように、濃厚な黒い力で満たされていた。かなり気分が悪くなる位に浄化を頑張って、魔王の部屋に進んだ。更に濃い状況を予想していたけど、意外と普通?薄暗い部屋に誰か倒れていた。

「「角無しですわ!」」

部屋を浄化して、角無しを調べると、既に死んでいて、左腕が無かった。

「魔王の新しい身体を育てていた器ね。魔王の雫が回収したんだわ!」

 城中を調べたけど、魔王の雫もチョエンも居なかった。城と言っても、城跡に建てた大きめな家って感じなのですぐに調べ尽くし、ついでに浄化して魔晶石も撤去した。封印された魔王の魂を迎え、新しい身体で復活を遂げる準備をしていたらしい。

 3国から攻め入ったおっちゃん達と報告し合うと、魔王の雫は、百零の決闘で作った身体と、さっき見付けた角無しから取った、イヤ、貰ったのかな?その左腕と、漆黒盾を持っていると推測出来た。ここの結界の強さや、魔晶石の数、黒い力の濃さを考えると、凄い勢いで力を取り戻しているようだ。

「これだけ厳重な護りだから、ここが決戦の地だと思ったんだかな、まんまと騙されちまったな。」 

おっちゃんが見た事無い位の落ち込み様だった。

「まあ、今から追っても無駄ね!ココで一泊して、明日にしましょう!」

姉貴は、城の中で寝泊まりしやすい所を見付けて、シートを広げた。

 おっちゃん達は『こんな所で?』って

顔していたけど、僕等が晩ごはんの支度を始めると、大広間に寝床を確保していた。

 早寝して真夜中に起きた。

「ソロソロだね!」

皆んなを起こして城の外を見ると、デカイ魔物が集まっていた。うちの猫達が、元のサイズになっても、大型件と仔猫ちゃんってサイズ感の狼の魔物がウヨウヨ。ただスピード的に、猫達には敵わない様で既に数匹倒れていた。

 残りを飛び道具で始末して任務完了かと思ったら、黒い竜が残っていた。

邪竜(じゃりゅう)ね!実在してたのね。」

魔物の王と言われる、伝説上の存在と考えられていた。黒い力の根源とされている。

 屋外なのに、黒い力が充満して、猫達はぐったり。カトリーヌは上空に逃げた様で、攻撃の機会を狙っている筈。魔力攻撃は吸収されてノーダメージ。ノーマルの矢は届くけど、あまり気にしていない様子だった。

「届くんなら、数撃ちゃ何とかってヤツだな!」

おっちゃん達が、加勢して来た。

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